■高騰しているかのように見える、一都三県中古マンション成約平米単価
グラフ1:レインズタワー発表首都圏中古マンション価格推移
レインズタワーによると2024年7月の一都三県中古マンション成約平米単価が最高額を更新し、一年前と比較して約6.6%高騰しました。(グラフ1参照)。このデータだけみれば、一都三県中古マンション価格はまんべんなく高騰しているかのように思えます。では、実態はどうなっているのかを紐解いてみました。
■一都三県エリア間の二極化はすでに明確
グラフ2:一都三県都道府県別中古マンションみなし成約価格推移
グラフ2では当社の調査により、一都三県の成約したとみなされる中古マンションの平均成約坪単価の推移を示しています。東京都が上昇しながら、前年比で約7%増加しています。
一方で埼玉県・千葉県はいずれも横ばいからやや増加して、前年比で約2%増加しています。
一方で神奈川県は4.5%減少しました。
エリア間では、全体が均等に上がっているというよりは、取引件数も多い東京都が成約坪単価を引き上げており、エリア間の二極がすでに起こっていると推察されます。
■東京都23区の取引物件価格内訳にも大きな変化
更に、取引物件価格にも大きな変化が見られました。
グラフ3:東京都23区:3億円以上のみなし成約価格の物件が含まれる割合
前項同様当社の調査により、東京都23区で成約したとみなされる中古マンションの価格を調査しました。2024年7月に特に際立った特徴が見られたのが、成約とみなされる中古マンションの内3億円以上を超えるものの割合です(グラフ3)。急激に上昇し、昨年7月と比較しても3倍に跳ね上がりました。
従って、東京都の中でも、23区内での中古マンション取引価格の二極化も顕著になってきました。
【考察】
昨今の中古マンション価格は、高騰の一途を辿っており、どこを見回しても上がっているという論調です。しかしその構造を紐解いてみると、エリア間だけでなく物件間の複数要素間の2極化が顕在化していることが分かります。すべての中古マンションが高騰しているわけではなく、極端な話をすれば、いずれは「特定エリアの特定物件だけが高騰する。」という風になるのかもしれません。
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