福島県郡山市にある社会医療法人あさかホスピタルは創立60周年(2023年3月)を迎え、長年の感謝とともに大きな節目を迎えました。また、2019年より進めてきた森の棟建築工事も完了し、病院全体が新たなステージへと生まれ変わりました。
この記念すべき年に、私たちは「mingle」というテーマのもと、スタッフが年齢や職種、立場を超えて交流し、相互理解を深め、未来を語り創るための60周年記念プロジェクトを1年以上をかけ実施しました。このプロジェクトの一環として、森の棟のこどもの心外来へと続く廊下に、大きな壁画を制作いたしました。
壁画制作には、国内外で活躍中のアーティスト、淺井裕介さんをお迎えしました。淺井さんは「野生」をテーマに、その土地の土を使用した「泥絵」の技法で、地域の特性を反映した作品を制作します。今回の制作には、あさかホスピタルの敷地や関連施設など27か所から採取した土を使用しました。この土は乾燥させ、細かく砕き、絵の具として使用しました。また、あさかフェスなどのイベントでは地域の皆様にも土づくりに参加していただきました。
14日間にわたる滞在期間中、淺井さんはあさかホスピタルやグループ法人の職員、患者さま、利用者さま、そして多くの関係者の協力を得て、延べ100名以上の方々と共に壁画を完成させました。このプロジェクトを通じて、私たちは地域との絆をさらに深め、共に未来を創るという意識を高めることができました。
ウォールアート完成までの道のり
2015年
淺井裕介さん はじまりの美術館にて滞在制作《手と絵と目を信じてる3》
(企画展「TURN / 陸から海へ」)
理事長 佐久間啓が、淺井さんの作品と出会う
2016年
森の棟 基本構想がスタート
2017年
佐久間啓 イタリア、イギリスの病院を視察し森の棟へのホスピタルアートの考えをまとめる
2019年
淺井さんの作品《野生の合奏》(後に加筆され《野生の大合奏》)が猪苗代中学校に完成
(ウォールアートフェスティバルふくしまin猪苗代実行委員会による招聘)
2020年
森の棟1期工事 竣工
2022年
佐久間啓《野生の大合奏》鑑賞。淺井さん招聘への想いを強める
2023年
60周年の記念プロジェクト始動
・1月 アートチーム編成
・5月 淺井裕介さんとの顔合わせ
・9月 グループの全施設からの土採取・乾燥
・10月 あさかフェスでの土づくり
・11月 院内の職員・患者さまとの土づくり
・12月 7日~20日、森の棟 こどもの心外来へと続く廊下にて制作
完成したウォールアート
大地の泉ーひかりの木
Sprouting of the Earth – Tree of Life
淺井 裕介 ASAI Yusuke
1981年東京都生まれ。 マスキングテープとペンで植物を描く「マスキングプラント」、現地で採取した土と水を使って描く「泥絵」シリーズなど、 屋内外のさまざまな場所に、 身近な素材を用いた作品を制作している。
社会医療法人 あさかホスピタル
世代や障害を越え、互いの存在を受け止め、支え合う、思いやりに溢れた社会の実現を掲げる社会医療法人あさかホスピタルは、精神科領域を専門とする医療機関としては福島県内有数の規模を持つ。子どもから高齢者迄、心と脳を総合的に診療するという方針を掲げ、専門外来を含む19の診察室の他、総合相談支援室や心理室、言語療法室を一体的に配置。診療や様々な相談の他、検査やリハビリプログラム等をスムーズに提供する為の体制を整えている。
所在地:福島県郡山市安積町笹川字経坦45
開 設:昭和38年3月
開設者:理事長 佐久間 啓
管理者:院 長 佐久間 啓
許可病床数:470床
診療科目:総合心療科(精神科・心療内科・児童精神科)/内科/神経内科/脳神経外科/放射線科/歯科/小児歯科/矯正歯科
協力:はじまりの美術館