株式会社東急文化村が主催するBunkamuraドゥマゴ文学賞は、1990年の創設以来、毎年かわる「ひとりの選考委員」によって受賞作を決定してまいりました。第34回となる2024年度の選考を務めたのは桐野夏生氏で、受賞作に選ばれたのは、高野秀行氏『イラク水滸伝』です。
桐野氏による選評はホームページに掲載しています。
▼選評はこちら
https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/winners/34.html
名称 |
第34回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 |
受賞作 |
『イラク水滸伝』 (2023年7月 文藝春秋刊) |
受賞者 |
高野 秀行 (たかの ひでゆき)氏 |
選考委員 |
桐野 夏生 (きりの なつお)氏 |
賞 |
正賞:賞状+スイス・ゼニス社製時計 副賞:100万円 |
主催 |
株式会社東急文化村 |
【受賞者プロフィール】
高野 秀行(たかの ひでゆき/Hideyuki Takano)
ノンフィクション作家。1966年東京都生まれ。ポリシーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」。『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。『ワセダ三畳青春記』で酒飲み書店員大賞、『謎の独立国家ソマリランド』で講談社ノンフィクション賞等を受賞。2024年、『イラク水滸伝』の旅が高く評価され、山田高司氏とのコンビで植村直己冒険賞を受賞。他の著書に『辺境メシ』、『幻のアフリカ納豆を追え!』、『語学の天才まで1億光年』などがある。
【選考委員プロフィール】
桐野 夏生(きりの なつお/Natsuo Kirino)
1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、10年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、11年『ナニカアル』で読売文学賞、21年に早稲田大学坪内逍遙大賞、23年『燕は戻ってこない』で毎日芸術賞と吉川英治文学賞を受賞。24年に日本芸術院賞を受賞。21年から日本ペンクラブ会長を務める。
【受賞作内容】
世界最古のメソポタミア文明発祥の地の至近にある、ティグリス川とユーフラテス川に囲まれ、2016年にユネスコ世界遺産にも登録されたイラクの巨大湿地帯〈アフワール〉。馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組むその土地は、まさに“現代最後のカオス”だった。
取材・執筆に6年、3回にわたる渡航の中で出会った数多の魅力的な人物と、そこに根付く豊かな暮らし、食、手工芸、宗教、生態……。現地に赴いたからこそ解き明かされる中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録が凝縮された空前絶後のノンフィクション大作。
【Bunkamuraドゥマゴ文学賞とは】
パリの「ドゥマゴ賞」のユニークな精神を受け継ぎ、1990年に創設。権威主義に陥らず、既成の概念にとらわれることなく、先進性と独創性のある、新しい文学の可能性を探りたいと考えています。受賞作は、毎年交代する「ひとりの選考委員」によって選ばれ、選考委員の任期は1年です。
次回、第35回(2025年度)選考委員は最相葉月氏です。