2024年夏季 溺れ事故の実態調査:https://uminosonae.uminohi.jp/report/data/index.html
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2024年夏季溺れ事故報道調査サマリー
①報道された今夏の溺水事故は212件、溺水事故者数は230人。
溺水者は7割弱が死亡しており、事故の6割が海域で発生。
②年代別の溺水者数は、19歳以下と20代、70代が多い。
③男性の溺水者数は、全体で女性の約5倍。どの年代でも女性よりも男性の溺水者が多い。
④溺水時の行動は遊泳時が最も多く、次いで川遊び、釣りが続く。
30歳未満では遊泳・川遊びが多く、60歳以上では釣りが多い。
⑤午前より午後の方が2.2倍事故が多い。一方、年齢別では50代と60代で午前の事故が多い。
⑥外国人の溺水者は全体の約1割。事故を起こした水域は河川が半数弱、海域が4割程度。
一部抜粋
・2024年7月1日~8月25日における溺水事故は212件、溺水事故者数は230人。
溺水者の68%が死亡、22%が生存。溺水事故が多い水域は海岸43%、次いで河川33%。
海域(沖合、海岸、港・漁港)は59%であり、溺水事故の半分以上が海域で発生。
・男性は女性の約5倍。どの年代でも男性の方が溺れた人数が多い。
・遊泳時の溺水事故が多く、次いで川遊び、釣りが多い。
12歳以下、13〜19歳、20〜29歳の溺水前の行為は遊泳・川遊びが多い。
60〜69歳、70歳以上の溺水前の行為は釣りが多い。
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海水浴場での救助実態調査サマリー
①今夏の救助件数は385件。意識のない人を含む中等症・重症の人の救助は7件で、約2%。
利用者数に対するレスキューの割合は、昨対比1.3倍。
②男性の救助数は女性の約2倍で、いずれの年齢も男性の方が多い。
要救助者では12歳以下が最も多く3割強を占める。
③例年、自然要因は離岸流、風の順だったが、今年は風が1位。
個人要因は泳力不足が53%、次いで疲労、パニックの順。
④小学生の救助では、自然要因の陥没・急深の割合と、
個人要因のパニックの割合が他の年齢と比べて高い。
⑤要救助者のうち、離岸流が要因の場合は6割強、風が要因の場合は8割強が浮具を利用していた。
一部抜粋
・利用者数は約80万人少ないが、利用者数に対するレスキュー割合が昨対比1.3倍。
・救助の自然要因は風、次いで離岸流である。
例年は離岸流、次いで風であったが、2024年は風が主要因である。
救助の個人要因は泳力不足(53%)。次いで疲労、パニックである。
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考察と今後に向けて
◎釣りによる溺水事故の多さと救助リスク
19歳以下や20代に加えて、70代では釣りを原因とする溺水事故が目立つ。
若い世代と比べて体力が劣るため、釣りの際にライフジャケット着用は必須。
また報道は少ないが、溺水者救助を試みた二次的な溺水への注意喚起も必要。
◎外国人の溺水事故が目立つ
外国人の溺水事故が全体の約1割を占め、海域、河川での事故が多く、遊泳禁止区域など、
安全管理が行き届かない場所での事故も目立ち、注意喚起の多言語対応を含めて、対応が必要。
◎安全に水辺を楽しむ教育の必要性
溺水の主たる個人要因は泳力不足で、水辺を安全に楽しむために
自分の泳力を把握し、危険を回避する教育が幼少期より必要。
学校で水泳授業が減少する中で、スイミングスクール等との連携が必須。
◎自然要因として風の危険性の訴求強化
陸から海に吹いていく風=オフショア(海風)の存在についての理解と、
どの程度の風力で、どの程度の危険があるのか、科学的な検証も含めて、
正しく情報を伝えていく必要がある。
◎風、離岸流の事故は浮き具と関係がある
要救助者は、風の影響で流されたり、離岸流で流されることが多いが、
浮き具がその危険性を助長している可能性があり、
風や離岸流の危険性とあわせて、浮き具の適切な使用方法の訴求が必要。
◎小学生世代にみられる溺れの傾向
小学生の溺れの傾向に、陥没や急深など、地形的な要因で足がつかなくなり、
パニックを引き起こし、溺れにつながる傾向があることが推測され、
子どものライフジャケットの着用の徹底が必要。
<2024年夏季溺れ事故報道実態調査>
・調査期間:2024年7月1日~8月31日
本速報では、7月1日~8月25日までに起きた溺れ事故について、計2,548件の報道記事より集計・分析したものを公表
・事故対象:上記期間内に起きた水辺の溺れ事故
・対象範囲:日本全国
・対象水域:海域、 海岸、 港・漁港、 河川、 湖沼、 プール、 その他(用水路、公園内の水域)
・調査方法:全国紙(1社)、地⽅紙(45社)、ヨミダス、47newsのデジタル新聞、
放送局オンラインニュース(5社)、補填としてWebサイトのAPI検索によりデータ収集
・調査件数:期間内の報道記事2,548件 ※災害による溺水事故、⾃殺は除く。
・調査機関:(公財)日本ライフセービング協会
・調査協力:中央大学研究開発機構
<2024年 海水浴場での救助実態調査>
・調査期間:2024年7月~8月
・対象水域:日本ライフセービング協会が管轄する海水浴場の中で、
上記期間に活動のあった224ヶ所※の海水浴場
・対象範囲:日本全国
・調査方法:ライフセーバーのe-logシステムへの入力によるデータ収集
・調査機関:(公財)日本ライフセービング協会
・調査協力:中央大学研究開発機構
※2024年7月~8月の夏季にライフセーバーが活動する全国224ヶ所の海水浴場での救助実績のうち、集計が完了している193ヶ所のデータをまとめたもの。ライフセーバーが日々記録するe-logデータをもとに集計。
<団体概要>
うみらい環境財団、日本ライフセービング協会、日本水難救済会の3者が推進し、日本財団が企画・統括する、日本初(※)のコンソーシアム型プロジェクト。これまで様々な水難事故対策が唱えられてきたにも関わらず、それでも毎年増え続けている水難事故の現状を分析し、3カ年計画で「海のそなえ」の新しい常識の浸透を図ることを目標としています。(※複数団体による水難事故防止のためのプロジェクトにおいて)
海のそなえプロジェクト始動リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002612.000077920.html
6月19日には1万人以上を対象とした調査結果を公開いたしました。
「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリー:
https://uminosonae.uminohi.jp/2024/report/assets/pdf/20240619_01_report_summary.pdf
※ご使用の場合は、「日本財団 海のそなえプロジェクト」と出典明記をお願いいたします。
また、広報までご一報ください。
このプロジェクトは次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。