今年で73回目を迎える小学館児童出版文化賞は、9月12日(木)に行われた、5名の審査員(荒井良二、鈴木のりたけ、舘野鴻、富安陽子、森絵都、50音順・敬称略)による最終選考会において、次の2作品を受賞作に決定しました。
第73回小学館児童出版文化賞
受賞作
『じゅげむの夏』
最上一平/作 佼成出版社/刊
『ゆうやけにとけていく』
ザ・キャビンカンパニー/作 小学館/刊
なお、贈賞式は、11月14日(木)、都内にて挙行の予定です。
正賞としてブロンズ像「わかば」(笹戸千津子・作)、副賞として賞金100万円が授与されます。
【受賞作】
『じゅげむの夏』
最上一平/作
佼成出版社/刊
発行 2023年7月30日
【概要】
山ちゃん、シューちゃん、かっちゃん、ぼくの仲よし4人組は、天神集落で同じ小学校に通う4年生。かっちゃんは筋ジストロフィーという病気だけれど、ぼくらにとって、特別な存在ではない。親友のひとりだ。迎えた夏休み。ぼくらは「夏を冒険する」ことに決めて、何をするか相談したのだけれど……。
死という確かで曖昧なものを共有しながら、めいっぱいいのちを謳歌する少年たちの夏の日をみずみずしく描いたさわやかな作品。
【著者プロフィール】
1957年、山形県生まれ。児童文学作家。『銀のうさぎ』で第18回日本児童文学者協会新人賞、『ぬくい山のきつね』(共に、新日本出版社)で第41回日本児童文学者協会賞と第19回新美南吉児童文学賞、『じぶんの木』で第21回ひろすけ童話賞、『たぬきの花嫁道中』(町田尚子・絵/共に、岩崎書店)で第24回日本絵本賞受賞。読み物の作品に『あらわれしもの』(新日本出版社)、絵本の作品に『いのちがかえっていくところ』(伊藤秀男・絵/童心社)、『すずばあちゃんのおくりもの』(黒井健・絵/新日本出版社)ほか多数。
【受賞作】
『ゆうやけにとけていく』
ザ・キャビンカンパニー/作
小学館/刊
発行 2023年7月18日
【概要】
だんだんと沈みゆく太陽を背景に、ジャングルジムで遊ぶ男の子、ふくれっ面で石を蹴る女の子、買い物帰りの親子などが描き出されます。夕焼けはどんな子のところにもやってくる。それぞれのシーンのいろいろな感情を、夕焼けがやさしく包み込み、誰にでも静かな夜がやってきます。
【著者プロフィール】
阿部健太朗と吉岡紗希による二人組の絵本作家、美術家。1989/1988 年、ともに大分県生ま
れ。大分県由布市の廃校をアトリエにして、絵本・立体造形・アニメーションなど様々な作品を生み出し、国内外で発表している。『だいおういかのいかたろう』(鈴木出版)で第 20 回日本絵本賞読者賞、『しんごうきピコリ』で第23回日本絵本賞読者賞、『がっこうにまにあわない』(共に、あかね書房)で第28回日本絵本賞、『ゆうやけにとけていく』(小学館)で第71回産経児童出版文化賞産経新聞社賞と第29回日本絵本賞大賞を受賞。主な著書に『ほこほこのがっこう』『ゆびさしちゃん』『ほーほー』『にょっ!』『ねんねこ』(以上、小学館)などがある。
【第73回小学館児童出版文化賞 選考経過】
今回は、2023年3月から2024年2月までに発表された、絵本(創作絵本・写真絵本など)、童話・文学(フィクション・詩・シナリオなど)、その他(ノンフィクション・科学絵本・図鑑・事典など)の出版物(翻訳・キャラクター・コミックスなどは除く)で、幼年ならびに少年少女に推薦したい優れた作品を対象として、事務局内に予選委員会を設け、選考にあたってまいりました。
選考に先立って、審査委員・作家・画家・写真家・各出版社・新聞社・児童文化団体・図書館・書店児童図書担当者・読者からの推薦を募りました。それに事務局が収集した作品を加えて予備選考を行い候補作を選出いたしました。
これらの作品を、審査委員の荒井良二、鈴木のりたけ、舘野鴻、富安陽子、森絵都(50音順)の5名の先生方にご審査いただき、9月12日の最終選考会におきまして、受賞作を決定いたしました。
【小学館児童出版文化賞について】
「小学館児童出版文化賞」は、児童出版文化の向上に貢献すると認められる作品および作家を毎年選定し顕彰するものです。本賞は1952年に小学館創業30周年を記念して「小学館児童文化賞」として創設され、1960年に「小学館文学賞・絵画賞」に改め、1996年以後は 「小学館児童出版文化賞」に引き継ぎ発展させてまいりました。未来を担う子どもたちのために、多くの優れた作品が出版されることを願います。この賞がそうした出版活動に少しでも寄与できればと考えます。
◎小学館児童出版文化賞 公式サイト https://sho.jp/cpc_award