株式会社帝国データバンクは、「美容室」の倒産動向について調査・分析を行った。
<調査結果(要旨)>
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「美容室」の倒産急増、前年比1.5倍で過去最多ペースに
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「赤字」経営が4割、コスト高と節約志向が打撃 「ヘアスタイル」変化も影響
集計期間:2024年8月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
※調査結果は下記ホームページにも掲載予定
https://www.tdb.co.jp/report/index.html
美容室の淘汰が加速している。2024年に発生した美容業(美容室)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、8月までに139件発生した。23年の同期間に比べて約1.5倍となったほか、年間で最多だった2019年(166件)を大きく上回る勢いで推移している。このペースが続いた場合、通年の倒産件数は過去最多を大幅に更新し、初めて年間200件台に到達する可能性がある。
美容室の倒産が急増した背景には、新規開店が続いたことによる店舗間競争の激化があげられる。加えて、円安や原材料高の影響によるシャンプーをはじめとした美容資材の価格高騰、スタイリストなどの獲得難を背景とした人件費などの各種コストアップが追い打ちとなった。こうしたコスト高を理由に、各美容室では施術費用の値上げなどを行っているものの、値上げをしても利益が「不変・減少」となったケースが8割を占める(日本政策金融公庫調べ)など、メニュー料金の引き上げに失敗し、不安定な経営が続いている美容室も少なくない。2023年度における美容室の業績を見ると、損益面で「赤字」となった企業は4割を占めた。
また、物価高による家計の節約志向に加え、女性のヘアスタイルの流行が洗髪しやすいショートカット系へとシフトし、「カットは好調だがパーマネントなど高単価の施術メニューが厳しい」といった声も聞かれた。実際に、支出額ベースではカットに比べてパーマネントの減少傾向がみられた。
足元では、顧客離れを懸念して値上げを見送る美容室も多く、相次ぐコスト増に耐え切れない美容室で市場からの退場がさらに進む可能性がある。