株式会社游藝舎(本社:東京都渋谷区、代表取締役:今井昂洋、以下:游藝舎)は、2024年9月21日発売の書籍『ガチ存在価値-あなたの姿勢で勝ちが決まる-』”はじめに”を全文公開します。
▼下記著者コメント
初代NewsPicksキャスターを務めさせていただきました奥井奈々です。
初著書『ガチ存在価値 -あなたの姿勢で勝ちが決まる-』が、9月21日にスタートしました。
振り返ることも恥ずかしい失敗や葛藤していた過去の自分に向き合い、魂込めて書き上げました。
「自分はここに居ていいのだろうか?」
そんな自身の存在価値に悩める多くの人に届けられるよう、本書の”はじめに”を全文公開します。
転職1年目の方には、道しるべとしても活用していただける内容になっています。
それでは、ご覧ください!
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▼下記本文
はじめに
この本を手に取ってくださったあなたへ。
もし、あなたが次のどれか1つでも当てはまっていたら、きっとこの本は役に立つ、それこそあなたにとって「ガチで存在価値」のある本になるはずです。
・新しい環境に移ったけれど、期待される成果を出せずに悩んでいる
・職場での役割が曖昧で、自分の存在価値が見えない
・なんのためにこの職場にいるのかわからない
・職場でコミュニケーションがうまく取れず、孤立感を抱いている
・自分の能力を発揮できず、成長が停滞している
・キャリアの方向性が定まらず、将来に不安を抱えている
いかがでしょうか。思い当たることがあった方は、この本を読後、次のような変化を実感できるでしょう。
・自分の存在価値を理解し、それを活かせるようになる
・自信と責任感が備わり、どんな状況にも動じなくなる
・新しいことに対する恐れがなくなり、積極的に挑戦する意欲が湧く
・失敗を成長の糧と捉え、前向きなマインドセットを持てるようになる
・仕事へのやりがいやモチベーションが高まり、毎日が充実する
・自分を誇りに思えるようになる
本書は一言でいえば、
「自分はこの職場で本当に価値を提供できているのだろうか?」という問いを持ち、悩みを抱えている人に向けたガイドです。
現代社会を生きる多くの人々は、自分の存在価値について深く悩んでいます。
「大きなことを成し遂げたい」
「何者かにならなければいけない」
「仕事でバリューを出さなければ死んだも同然」
このように思い込んでしまっているのです。そしてこの悩みは、静かに心を蝕んでいき、放っておくと鬱などの深刻なメンタルヘルス問題に発展することすらあります。
「自分には存在価値があるのだろうか?」
という悩みを持つ人は、いつの時代もたくさんいたことでしょう。
ですが、昨今のSNSの普及によって、その悩みはより大きく、より過酷なものになってしまいました。
つまり、自分の存在価値に対する悩みは、SNSが拍車をかけた病、いわば「現代病」なのです。
もしかしたら、SNSは一見、自分の存在価値を出すための「サプリ」のように思えるかもしれません。
たしかに、肩書をやたらに増やしたり、横文字のそれっぽい言葉を使って自己表現したりすることで、まるで自分が影響力のある何者かになったかのように見せることができるといえます。
けれどそれはカン違い。ほとんどの人にとっては一層悩みを増すだけの逆効果。
私自身もかつてはこの悩みに散々とらわれ、くわしくは後述しますが一度は改名までしてしまったくらいです。
そうして精神的にも金銭的にも高い代償を支払い、数多くの失敗と苦難を乗り越え、ようやく私はこの病の治し方に気づきました。私がこの病に対処するために何をしてきたか、いわば処方箋のようなものをこれから書いていきたいと思います。この本が、存在価値という現代病にお悩みの方の一助となれば幸いです。
ここからは、簡単に私の自己紹介をさせていただきます。
1993年、兵庫県淡路島で生まれ、 歳までずっと島で育ちました。その後、島を離れ大学に入学。在学中にフロリダ大学へ留学しました。2015年に大学を卒業後、大手アパレル企業に勤務しましたが、2017年に退職し、ベンチャー企業に転職したことを機に上京。
そこから私の人生は一変します。
メディアアーティストの落合陽一さんがホストを務める「WEEKLY OCHIAI」という NewsPicks の番組がありました。2018年、この番組で「女子アナのアップデート」というテーマを掲げ、オーディションが行われました。
「プロアナ(プロフェッショナル・アナウンサー)」のオーディションです。
ちなみにこのプロアナオーディションでは、空気を読んで迎合したり忖度したりすることなく、自分の意見をしっかりと言えそうな人を選出しようとしていたそうです。
台本を読むだけではなく、ジャーナリスティックな意見も発言していくアナウンサー。そんな人材を選ぼうとしていたと後で知らされました。
最終試験では、数回の選考を勝ち抜いた候補者たち4人が番組に生出演し、落合さんや佐々木紀彦さん、元テレビ東京アナウンサーの大橋未歩さんたちからの面接を受けました。
それに合格した私は、「プロアナ」として初代 NewsPicks キャスターとなったのです。
その後、「WEEKLY OCHIAI」のみならず、NewsPicks のいろいろな番組のMCを務めることになりました。たとえば、堀江貴文さんの「HORIE ONE」や古坂大魔王さんの「The UPDATE」など。
2023年に NewsPicks を卒業。現在は、ネット番組でMCやファシリテーターを務めるほか、ヘルスケア・体調管 理に特化したメディア「WellNaviAI(ウェルナビアイ)」を立ち上げ、日々忙しくも充実した日々を送っています。
……と、このように書くといかにも順風満帆な人生を歩んでいるように思われるかもしれません。
ですが、実際には私の人生は苦難と失敗の連続で、常に自分に自信を持てずにいました。
実家では心豊かに過ごしていたものの、雨漏りしてクーラーもないほど。そのため、小さいころはお小遣いを稼ぐために庭に咲いている花を首飾りに編んで売ったり、砂場の砂をきれいな瓶に詰めて「星の砂」として売ったり。
好奇心が人一倍強い子どもだった私にとって、幼少期は退屈で、人生を無駄にしているように感じていました。
大学に入学してようやく島を出ることができましたが、大学生活も期待していたほどではなく、もっとおもしろいことをしたいと思い、フロリダ大学に留学しました。
この留学が、生まれてはじめて楽しいといえた経験です。
大学卒業後、大手アパレル企業に就職しましたが、激務で体調を崩すなど、わずか2年で退職。知人の紹介で東京のベンチャー企業に転職するも、試用期間でクビに。その後は、173センチの高身長が活かされるかもしれないと思い、モデル事務所に所属したけれど鳴かず飛ばず。
単発バイトを掛け持ちしながら、
「この先どうしようか……」
と悶々としていたところ、たまたま見た YouTube の NewsPicks でプロアナオー ディションがあると知り、あまり深く考えずに応募したら受かり、アナウンサーとしてのキャリアをスタートさせました。
とはいえ、当初はアナウンスの経験も知識もないにもかかわらず、「オーディショ ン合格者は年収1000万円」という触れ込みだったため、いきなり実力に伴わない 高収入を得てしまい、周りからの目も気になり、常にオドオド、恐縮しっぱなし。
プロアナに求められていたのは、空気を読んで迎合したり、忖度したりせず、自分の意見を持った芯のある人。そして、台本を読むだけでなく意見も発するアナウンサー。
でも実際の私は、切り込むタイミングが最悪で、他の人と比べて落ち込んでばかり。勉強不足で意見も軽薄。台本は棒読み。しかも元来の早口とボソボソしゃべる癖のダブルパンチ。
また、番組収録の経験なんてゼロだった私は、カンペすらまともに読めず、カンペに書かれた「次のコーナーへ」という指示書きすらそのまま読んでしまい、ひんしゅくを買ったことも。
そんな私がはじめて担当した番組はわずか4回で打ち切り……。
その後は他番組で「ツイート(現Xの投稿)をただ読むだけの係」に格下げされてしまいました。
これは、放送中につぶやかれる番組に対する感想や意見を選び出して読み上げるというもの。出演はわずか数分。
きっと、たいしたアナウンススキルも、番組を仕切るファシリテーション力もない私をどう使っていいのかわからず、
「あんなダメなヤツでも、これくらいのことならできるだろう」と判断したのだと思います。
完全にお荷物。鳴り物入りでMCになったのに……。当時は、これ以上不相応な報酬を受け取ることに耐えられず、収録時に出される弁当すら手をつけなくなっていました。
このころは、「好きな女性アナウンサーランキング」上位で絶対に人を悪く言わなさそうな女性アナから、「あの人、自分で『プロアナ』とか言っちゃって何様? 他の女性アナはプロじゃないってこと?」などと陰口をたたかれたこともあります。
オーディションでは、「生命力がある」と評価されていたのに、いざ現場で仕事を任されてみると、自分の実力のなさを痛感し、死んだ魚の目。生命力も何もない。
「あいつ、何やってるんだっけ?」
「いったい何ができて合格したんだ?」
と常にだれかから陰で言われているような妄想を抱いていました。
縮こまってしまい声がうまく出せない。
そんな状態でアナウンサーの仕事なんてうまくできるはずない。
さらに、何をどうしたらいいのかもわからず、ひたすら指示待ち。
アナウンサー志望の女子大生インターンのほうが私よりスキルがあり、そんな状況がますます私を追い詰めました。
このような無能に存在価値はなく当然、仕事を振ってくれるはずがありません。悪循環がひたすら続きました。
会社員は日曜夜になると憂鬱になる「サザエさん症候群」というのがあるといいますが、私は1週間ずっと憂鬱でした。
当時は自転車でスタジオまで通っていて、帰りはいつも泣きながらペダルを漕いでいたくらい。
知り合いには「毎回の収録が映画『8Mile』です……」と話していました。
ちなみにこの映画は、貧困や家庭内の問題、そして自身の不安や恐れと闘う主人公エミネムが、猛獣ぞろいのラップバトルの大会に挑戦し、敗北を重ねながら少しずつ成功していくというストーリー。
ラッパーたちを番組出演者に、エミネム演じる主人公を私に重ね合わせていたのです。
情けない、消えたい、役立たず……、
そんな無力感に苛まれながら、それでもどうすることもできないまま、
「早く1日が終われ」
と、ただただ時間が過ぎるのを待っていました。
ですが、そんな私にもついに転機が訪れます。
2020年3月、ある特番で再びMCを任されたのです。
佐々木紀彦さんと古坂大魔王さんがMCを務め、私はサブMCとして番組を進行しました。
その番組はソニーがスポンサーとなり、若者がアイデアを出し、コンテストで優勝すれば、ソニーのノウハウを活用してアイデアの具現化を支援するというもの。
私は、若者が発表したアイデアに対して有識者からコメントをもらうコーナーを1人で担当しました。
世界のソニーの特番ということで、関わる人数も非常に多く、大手広告代理店など関係者もやたら収録に立ち会っていたのを覚えています。通常の放送よりもかかっているお金が明らかに違っていました。
「この番組でミスったら本当に終わりだ……」
とてつもないプレッシャーでした。
ただ、私にとって良かったのは、それまでの「ツイートを読む係」は生放送だったため、なかなか事前準備ができなかったのですが、その特番では事前にしっかりと準備ができたこと。
台本を読み込むのはもちろん、出演者のプロフィールやコンテスト出場者の情報をしっかりと頭にたたき込み、イメージトレーニングも何度も行いました。
その結果、番組は滞りなく終わり、私は、「何の落ち度もなく終えることができてよかった」と感じました。
今だったら、ただ台本通りに進行するだけでなく、もっとおもしろいコメントを引き出すようにしたり、視聴者に飽きさせないような工夫をしたりできたと思います。
ですが当時は、とにかく何事も事故が起こらず、滞りなく番組を進めることに全力を尽くしたのです。
その結果、佐々木さんやプロデューサーたちからは、 「奥井も成長して、番組を回せるようになった。またMCをやらせてみてもよさそうだ」と判断してもらえたのでしょう。
この特番をきっかけに、再びMCを担当させてもらえる機会が増え、本来のプロアナの役割だった「The UPDATE」のメインMCに返り咲きすることもできました。
やっとスタート地点に戻れたことで自信がついたとはいえ、プロデューサーやディレクター、共演者、ゲストといった周囲の人々は、すごいキャリアや経験、専門性があるのに、私には何もない。
「運が良かっただけでオーディションに受かり、ポッと出てきた私なんて、いてもいなくても一緒だろうな」
という気持ちは頭の片隅にずっと残っていましたし、決して苦悩しなくなったわけではありません。ですがそれでも腐ることなく、特番のときと同様に徹底的に準備を行い、さらにいろいろな試行錯誤を繰り返しながら自分の存在価値を出そうと必死でした。
そのおかげで、2023年に NewsPicks を卒業するまでMCを続けることができたのです。
その間、堀江貴文さん、落合陽一さん、キングコング西野亮廣さん、幻冬舎の箕輪厚介さん、武井壮さん、ROLANDさん、MEGUMIさん、猪瀬直樹さん、辛坊治郎さんといった猛者を相手に議論を仕切ることができました。
私の NewsPicks 卒業回の後、いつも厳しいプロデューサーから、
「奥井さん、ようやくプロになりましたね」
と言われ、はじめて自分の存在価値が認められたと感じ、大きな自信となりました。
このように存在価値ゼロから始まった私だからこそ、存在価値の出し方・高め方、 この現代病の克服方法について書けることがあると思い、この本を書かせていただこうと決めたのです。
実は、最初にこの本の企画を出版社からいただいたとき、断るつもりでした。当初の企画が「プロアナの奥井が伝授する、コミュニケーションや対話の上手なやり方」というものだったので、私にはとても書けないし、もっと適した人がいくらでもいると思ったからです。
ですが、いろいろと打ち合わせを重ねるうちに、「存在価値」というテーマがポンと出てきたとき、プロアナオーディションを勝ち抜いて華々しく入ってきたものの、思うように結果が出せず、
「自分にはここにいる存在価値がないのでは……」
と悩んでいたことを思い出しました。期待に応えられない自分への落胆。
でも目の前には乗り越えなければならないプレッシャー。
そんな中で成長の停滞に直面し、自信を失い、この先のキャリアも不透明に感じていたのです。
しかし、それでも這い上がった私だからこそ、お伝えできることがあるのではないだろうか。私なら、存在価値を高める方法を、だれにでもできるような再現性をもって伝えることができるはず。
そう信じて、こうして一冊の形にすることができました。
本書の内容を紹介します。
第1章は、そもそも存在価値とはどういうものなのか。ある人とない人の違いや、存在価値がないとどうなってしまうか。また、存在価値を高めるとどう変わっていくか、などを説明します。
第2章、第3章では、存在価値を高めるために必要な「スタンス」「アクション」 について、私自身の経験も盛り込んで具体的に紹介していきます。
第4章では、「フィジカル」について、姿勢を正す、呼吸を変えるなど、今すぐに 実行できて、かつすぐに効果も実感できるものをいくつかお伝えしています。
お読みいただいた皆様が、「自分には存在価値がある」と心から思えるようになり、 それを支えに責任感と勇気を携えて人生が好転する。本書がそのきっかけとなれば幸いです。
▼ガチ存在価値-あなたの姿勢で勝ちが決まる-
奥井 奈々(おくい なな)
初代NewsPicksキャスター / WellNavi AI代表取締役
1993年生まれ、兵庫県出身。 2018年、NewsPicksの番組オーディションで選出され、初代NewsPicksキャスターとなる。 『TheUPDATE』、『HORIE ONE』、『WEEKLY OCHIAI』などに出演。 現在は、ネット番組を中心にMCやファシリテーターとして活躍する一方で、ヘルスケアや体調管理に特化した動画メディア「WellNaviAI(ウェルナビアイ)」の代表を務める。
初著書「ガチ存在価値-あなたの姿勢で勝ちが決まる-」9月21日全国の書店およびオンラインストアで発売。
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