二十世紀ロシアを代表するウクライナ出身の作家、ブルガーコフ。彼の代表作『白衛軍』は1918年の革命直後のキーウを舞台に、時代に翻弄されるひとつの家族を描いた作品です。『白衛軍』は1924年、小説として初めて発表され、1926年に作家自身が戯曲『トゥルビン家の日々』としてモスクワ芸術座で上演。「第二の『かもめ』」と評され成功を収めました。
1924年に小説として発表してから、記念すべき100年を迎える今年、新国立劇場では、2010年に英国のナショナル・シアターで上演されたアンドリュー・アプトン版に基づき上演いたします。
この物語で描かれる内戦の混乱は、今ウクライナで起きていることに地続きでつながっており、まさに今、時宜を得た公演といえるでしょう。演出の上村聡史と、19名のキャストが贈る、激動の時代を生きた家族のドラマにどうぞご期待ください。
この度、上演を記念し、ブルガーコフに焦点を当てたスペシャルトークイベントを開催します!この『白衛軍』は、実はブルガーコフの自伝的要素が色濃く反映されており、実際、彼も白衛軍に軍医として従軍しました。
20世紀ロシア文学を専門とする大森雅子氏をお迎えし、演出を担う上村聡史と共に、ブルガーコフがどんな作家で、どんな生涯を送ったのかを紐解き、『白衛軍』の作品背景に迫ります。
『白衛軍 The White Guard』スペシャルトークイベント~ブルガーコフってどんな作家?~
<イベント概要>
[日時]2024年10月20日(日)15:00~16:00(予定)
[会場]新国立劇場・オペラパレス ホワイエ
[登壇者]上村聡史<演出/新国立劇場 演劇芸術参与>、大森雅子<千葉大学大学院 准教授>
[料金] 無料・自由席(要予約)
[受付開始]2024年9月24日(火)10:00~
<登壇者プロフィール>
上村聡史(演出/新国立劇場 演劇芸術参与)
2006年 文学座座員となり、18年に同劇団を退座。現在は新国立劇場演劇芸術参与。09年より文化庁新進芸術家海外留学制度において1年間イギリス・ドイツに留学。第22回・第29回読売演劇大賞最優秀演出家賞、第17回千田是也賞、第56回紀伊國屋演劇賞を受賞。24年9月より新国立劇場演劇芸術参与に就任。近年の主な演出作品に、『夜は昼の母』『My Boy Jack』『野鴨-Vildanden-』『ガラスの動物園』『森 フォレ』『Oslo(オスロ)』など。新国立劇場では、『デカローグ』『エンジェルス・イン・アメリカ』『斬られの仙太』『オレステイア』『城塞』『アルトナの幽閉者』を演出。
大森雅子(千葉大学大学院 准教授)
千葉大学大学院人文科学研究院准教授。専門は20 世紀ロシア文学・文化。著書に『時空間を打破する――ミハイル・ブルガーコフ論』(成文社、2014年)、論文に「ブルガーコフは「ウクライナ嫌い」の作家か」(『三田文學』152号、2023年)などがある。そのほか、訳書に『ウクライナの大作家 ミハイル・ブルガーコフ作品集 権力への諧謔』(文化科学高等研究院出版局、宮澤淳一、杉谷倫枝と共訳、2022年)、『新装版ブルガーコフ戯曲集 1・2』(東洋書店新社、村田真一監訳、秋月準也、佐藤貴之と共訳、2017 年)などがある。
『白衛軍 The White Guard』公演概要
【公演日程】2024年12月3日(火)~12月22日(日)
【会場】新国立劇場 中劇場
【作】ミハイル・ブルガーコフ 【英語台本】アンドリュー・アプトン
【翻訳】小田島創志 【演出】上村聡史
【出演】村井良大、前田亜季、上山竜治、大場泰正、大鷹明良/池岡亮介、石橋徹郎、内田健介、前田一世、小林大介/今國雅彦、山森大輔、西原やすあき、釆澤靖起、駒井健介/武田知久、草彅智文、笹原翔太、松尾 諒
【一般発売日】2024年10月12日(土)
<あらすじ>
革命によりロシア帝政が崩壊した翌年──1918年、ウクライナの首都キーウ。革命に抗う「白衛軍」、キーウでのソヴィエト政権樹立を目指す「ボリシェヴィキ」、そしてウクライナ独立を宣言したウクライナ人民共和国勢力「ペトリューラ軍」の三つ巴の戦いの場となっていた。
白衛軍側のトゥルビン家には、友人の将校らが集い、時に歌ったり、酒を酌み交わしたり…この崩れゆく世界の中でも日常を保とうとしていた。しかし、白衛軍を支援していたドイツ軍によるウクライナ傀儡政権の元首ゲトマンがドイツに逃亡し、白衛軍は危機的状況に陥る。トゥルビン家の人々の運命は歴史の大きなうねりにのみ込まれていく……。
新国立劇場
新国立劇場は、オペラ、バレエ、ダンス、演劇という現代舞台芸術のためのわが国唯一の国立劇場として、1997 年秋に開場しました。オペラパレス、中劇場、小劇場の特色ある3つの劇場を有し、年間約250ステージの主催公演を実施しています。
オペラ部門は2018年9月に世界的指揮者の大野和士が芸術監督に就任し、世界の主要歌劇場と比肩する水準のオペラ公演を年間およそ10本上演すると共に、高校生のためのオペラ鑑賞教室の実施等を行っています。
次代を担うアーティスト育成も新国立劇場の事業の大きな柱の一つであり、オペラ、バレエ、演劇の3つ研修所を擁し、充実した研修を実施しています。
所在地:東京都渋谷区本町1-1-1
https://www.nntt.jac.go.jp/