この度、習慣化プラットフォームを開発・運営する株式会社WizWe(ウィズウィー、所在:東京都港区、代表取締役CEO:森谷 幸平)は、日本心理学会第88回大会にて、WizWe習慣化研究所 主任研究員 丹野宏昭 Ph.D.による「フィットネスクラブ新規入会者を対象としたLINE対話型伴走サポートによる来館促進の効果」についての論文を発表いたしました。
■論文要旨
フィットネスクラブ新規入会者を対象としたLINE対話型伴走サポートによる来館促進の効果
【目的】
・日本では、2000年より厚生労働省が健康日本21を推進するなど、国民が主体的に取り組める新たな健康づくり対策を推進している。健康日本21では「食生活」「睡眠」と併せて長期的な運動習慣の形成が重要視されており、運動習慣形成のリソースとしてフィットネスクラブは期待がされてきた。しかし、フィットネスクラブの入会者の多くは半年から1年程度で退会する者が多く、運動習慣維持には至っていないことも指摘されている(根本 他,2022など)。
・上記の問題を受け、運動の習慣化のためにスマートフォンを利用した運動実施者の伴走支援の検証が行われている。例えば内藤・伊勢・佐田(2022)は、ステージB心不全の60代男性患者を対象にスマートフォンを活用した運動プログラム提供と遠隔面談の定期実施によって、運動への不安解消、運動習慣獲得、疾病の自己管理に対する不安解消につながったことを報告している。小野 他(2024)は、高齢2型糖尿病患者を対象にスマートフォンを活用した遠隔運動指導を12か月間実施することで、身体活動量の促進に一定の成果が得られたことを報告している。
・近年ではスマートフォンを利用した伴走サポートにより、運動習慣形成を支援する試みが増えている。フィットネスクラブのユーザーにおいても、スマートフォンによる遠隔伴走サポートにより運動習慣形成が促進され、早期退会防止に機能することが期待される。
・丹野(2023)*はフィットネスクラブ新規入会者を対象とした調査から、入会後4週間の累積来館数が8回以上(週2回来館ペース)であるユーザーは、7回以下のユーザーに比べて早期退会リスクが低いことを明らかにしている。このことから、フィットネスクラブの継続可能性は初期の来館ペースから推測できることを示している。
本研究は、スマートフォンを用いた遠隔伴走サポートがフィットネスクラブユーザーの来館促進にどのように寄与するか探索的に検討することを目的とする。
①サポート有無による来館頻度の比較を行い、サポートの効果を検討
②ユーザーのメッセージプロトコルのテキストマイニングにより、来館頻度の高いユーザーの特徴を探索的に検討
【調査方法】
・同一の管理運営母体が展開する首都圏のフィットネスクラブ3店舗の新規入会者を対象に調査
・2023年6月~12月に入会した428名のうち、無料伴走サポートサービスを希望した112名(男性50名、女性62名)を対象に、スマートフォンアプリ”LINE”を用いた3か月間の伴走サポートを提供
・伴走サポートはサポーター*からLINEを通じて以下の対応を行った。
①来館状況に応じたフォローメッセージの送信(週1回)
②フィットネスTIPS記事の配信(週1回)
③フィットネスクラブや運動プログラムに対するQ&A対応
*行動継続を支援する担当者
・ユーザーは期間中にLINEを通じてサポーターと自由に会話ができた。
【結果】
●サポート対象者の平均来館数は非サポート対象者より多い結果に
・サポート対象者の入会後4週間の累積平均来館数は8.5回。この来館頻度は非サポート対象者の平均来館数6.9回より有意に多かった(t(426)=3.13, p=.002, d=0.35)。また、入会後4週間の累積来館数が8回以上のユーザーの割合も、サポート対象者(56.8%)は非サポート対象者(35.8%)よりも有意に多かった(χ2(1)=14.95, p=.000)。
●来館数が多いユーザーの特徴語は「ありがとう」
・サポート対象者が期間中に一度以上LINEを通じてサポーターにメッセージを送信したユーザーは全体の70.5% (79名、スタンプでの返信を含む)。平均のメッセージ数は8.32通
・来館数ユーザーからのメッセージプロトコルを形態素に分解し、入会後4週間の累積来館数が8回以上のユーザー(週2回以上群)と7回以下のユーザー(週2回未満群)のそれぞれの特徴語を抽出した(表1)。その結果、週2回以上群のメッセージから「ありがとう」が特徴語として抽出された。
【考察】
本研究の結果より
①フィットネスクラブ入会者を対象としたスマートフォンによる遠隔伴走サポートは、初期来館頻度を促進させる効果があると示唆された。
②来館数の多いユーザーのメッセージの特徴語として「ありがとう」が抽出された。
➡サービスに対して恩恵を感じているユーザーには伴走サポートが有効に影響し、来館頻度促進に寄与して早期退会を防ぐ効果が期待されると示唆された。
丹野宏昭Ph.D.
WizWe習慣化研究所 主任研究員
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 心理学専攻(博士) 社会調査士。博士号取得後、東京福祉大学心理学部にて講義および研究に従事。また、学外活動として社会人を対象とした「ゲームを用いたコミュニケーショントレーニング講座」も担当。
<主な研究>
・ゲームを用いたコミュニケーションスキルトレーニングに関する研究
・対人関係と適応に関する研究
・対人関係ゲームによる小中学校のクラス作りと不登校抑制のプログラム研究
<著書>
『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学-嘘と説得、コミュニケーショントレーニング』(新曜社)
会期:2024年9月6日(金)~8日(日)
会場:熊本城ホール
<習慣化プラットフォーム「Smart Habit」とは>
Smart Habitは、社会心理学・行動経済学の専門家が4万人の行動データから導き出した習慣形成理論により、世の中から三日坊主をなくす行動継続プラットフォームです。習慣化サポーターとユーザー間に会話によるラポール(親密な信頼関係) を築くことで、離脱因子を徹底的に取り除き、行動の継続を促します。また、リアルなサポーターの伴走と自動化されたプログラムの組み合わせにより、1人のサポーターが同時に3,000名のユーザーを担当することが可能となり、低価格での行動習慣化を実現しました。2018年のサービス開始以来、ユーザー数は順調に増加し、現在では累計4万人のお客様をサポートしています。語学など教育分野の学習習慣化で多くの大手企業様に導入していただき、学習完了率70%以上の実績を上げてきました。2021年からはこれらのノウハウの横展開をスタートし、サブスクリプション事業者向けにお客様のチャーン防止・LTV向上をサポートする「Smart Habit LTV」や、ヘルスケア業界の習慣化をサポートする「Smart Habit Healthcare」をローンチ。フィットネスおよびヘルスケア領域でのサービスの拡大を図っています。
【会社概要】
会社名:株式会社WizWe
代表者名:代表取締役CEO 森谷 幸平
所在地:東京都港区虎ノ門二丁目2番1号 住友不動産虎ノ門タワー5階
設立:2018年5月
資本金:1,118,450,200円(資本準備金含む)※2023年1月31日現在
事業内容:1. Smart Habit事業 2. 教育、ヘルスケア、その他の習慣化事業 3.サブスクリプションの離脱防止およびLTV最大化事業
会社ホームページ:https://wizwe.co.jp/