特殊詐欺やフィッシング詐欺の対策サービスを提供するトビラシステムズ株式会社(本社:愛知県名古屋市、以下「トビラシステムズ」)は、2024年8月に当社調査で確認された詐欺電話や詐欺SMSに関する独自調査レポートを公開します。(調査期間:2024年8月1日〜8月31日)
また、直近の当社調査で確認された傾向についてもお知らせいたします。
<調査サマリー>
◉ 迷惑電話番号の割合は国際電話が減少、一方で固定電話が急増
◉ 「+90(トルコ)」からの着信増加、NTTファイナンスかたる架空料金請求詐欺か
◉ 末尾「0110」の警察をかたるとみられる国際電話着信が約17倍に増加
◉ 金融機関をかたるフィッシング詐欺で、地方銀行名を悪用したSMSが多発
◉ 「料金未納で停電」や「光熱費削減アンケート」電力会社をかたる詐欺に注意
1. 詐欺電話レポート
○迷惑電話番号の割合は国際電話が減少、一方で固定電話が急増
2024年8月に新たにトビラシステムズの迷惑電話番号データベースに登録された番号の種別割合は、前月に大きく増加した国際電話番号が42.2%(前月比−31.4%)に減少し、6月と同じ水準まで戻りました。一方で、固定電話番号の割合は前月から急増し35.0%(前月比+30.0%)となりました。特定IP電話番号(050番号)と携帯電話番号の割合はともに前月から横ばい傾向となりました。
特殊詐欺の犯行は、大量の電話番号を使い捨てながら行われる傾向がみられます。また、時期や社会情勢によって、犯行に利用される電話番号にもトレンドや移り変わりがあります。携帯電話不正利用防止法の改正により2024年4月から契約時の本人確認義務の対象となった特定IP電話番号は、犯行における利用が減少傾向にあり、代わって国際電話番号が増加しています。
○「+90(トルコ)」からの着信増加、NTTファイナンスかたる架空料金請求詐欺か
当社の調査で、2024年8月に着信件数が多かった国際電話の国番号は、上位からアメリカ合衆国やカナダなどの北米地域、トルコ、国際フリーフォン、イギリス、ルーマニアでした。
北米地域の「+1」、国際フリーフォンの「+800」(注1)からの着信では、中国語の自動音声ガイダンスによる不審な電話が発生しました。
2024年8月は新たに「+90」から始まるトルコの電話番号からの着信件数が2位となりました。トルコの番号からの着信では主な手口として、NTTファイナンスをかたり「未納料金があるため法的措置に移行する」「オペレーターにつなぐ場合は○番を押してください」などの自動音声ガイダンスが流れる架空料金請求詐欺が発生しました。
<参考>
NTTファイナンスをかたる自動音声ガイダンス(トビラシステムズYouTubeより)
<参考資料>
「NTTファイナンス」を名乗る架空料金請求詐欺にご注意ください!(NTTファイナンス)
https://www.ntt-finance.co.jp/lp/scam/
(注1)通話料金を着信者が負担する着信課金電話番号。いわゆる世界共通のフリーダイヤル番号。着信課金電話番号への着信に適用されるものであり、着信課金電話番号から発信された場合の通話料金は着信課金電話番号(発信者側)が負担する。
○末尾「0110」の警察をかたるとみられる国際電話着信が約17倍に増加
末尾が「0110」の国際電話番号を使って警察の電話になりすました「オレオレ詐欺」の事案が発生しています。末尾が「0110」の電話番号は主に国内の警察署で多用されていることから、各都道府県警察が注意を呼びかけています。
トビラシステムズの調査で、2024年7月に急増した末尾が「0110」の国際電話番号からの着信件数は8月も多発が続き、6月から約17倍に増加しました。国番号別では、使用されていない国番号「+803」からの着信が急増しました。また、これらの番号の中には、国番号を除いた部分が実在する日本の警察署の電話番号と一致するものも確認されています。
末尾が「0110」の国際電話番号を使った詐欺では、警察官になりすました人物が「あなたの携帯電話が不正利用されている」「あなたの口座が犯罪に利用されている」などと言い、資産の調査や預金の保護などの口実で金銭をだまし取る被害が発生しています。また、電話から「LINE」などのメッセージアプリに誘導し、取り調べと称してビデオ通話を行ったり、偽の警察手帳や逮捕状の画像を送信したりする手口も発生しています。
<参考資料>
警察をかたる詐欺が発生!(高知県警察)
https://www.police.pref.kochi.lg.jp/news/2024022700029/
警察官をかたるオレオレ詐欺に注意!(大阪府警察)
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/ochikakunokeisatsusho/keisatsushobetsujoho/57/2/sagi/18352.html
2. 詐欺SMSレポート
○金融・決済サービスや電力会社をかたるSMSの割合が増加傾向
トビラシステムズの調査で、2024年8月に確認されたフィッシング詐欺のSMSの種別割合は、金融・決済サービスをかたる手口が最も多く60.7%となりました。その他の事業者をかたる手口の割合は前月から増加し36.8%で、主に電力会社をかたるSMSの多発が続いています。なお、宅配事業者をかたる手口の割合は前月に続き減少し、1.2%となりました。
○地方銀行をかたる詐欺SMSが多発
実在する企業やブランドの名前をかたる詐欺SMSについて、2024年8月は地方銀行をかたるSMSが多発しました。特に、「北海道銀行」「岩手銀行」「関西みらい銀行」などの地方銀行をかたる詐欺SMSの発生が目立ちました。
そのほか、都市銀行の「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「りそな銀行」、イオングループの「イオン銀行」「イオンカード」をかたるSMSも発生しました。
<参考資料>
当行を名乗ったショートメール(SMS)によるログイン通知に注意願います(北海道銀行)
https://www.hokkaidobank.co.jp/news/campaign/detail.php?id=3658
フィッシング詐欺に関するご注意(岩手銀行)
https://www.iwatebank.co.jp/warning_phishingwebsite_2.html
【重要】関西みらい銀行を騙った不審な電子メール・SMSにご注意ください(関西みらい銀行)
https://www.kansaimiraibank.co.jp/kinkyukeisai/K20240816133950/K20240816133950.html
フィッシングによる不正送金被害が急増しています!(三菱UFJ銀行)
https://www.bk.mufg.jp/info/security/caution_phishing.html
当行をかたり個人情報を入力させるメール・ショートメッセージ(SMS)にご注意ください(三井住友銀行)
https://www.smbc.co.jp/security/attention/index36.html
【重要】りそな銀行を騙った不審な電子メール・SMSにご注意ください(りそな銀行)
https://www.resonabank.co.jp/kinkyukeisai/R20210508141840/R20210508141840.html
不審なメールなどを受信した場合(イオン銀行)
https://www.aeonbank.co.jp/news/2019/1108_01/
「イオンカード」・「イオンフィナンシャルサービス」・「イオン銀行」の名前を装った不審なメールにご注意ください。(イオンカード)
https://www.aeon.co.jp/security/anti_phishing/
詐欺SMSの検知状況をリアルタイムに観測し可視化する「詐欺SMSモニター」で、詐欺SMSに関する最新情報をご確認ください。
詐欺SMSモニター
3. <トピック>電力会社をかたる詐欺多発、不審な電話やSMSに注意
生活に身近なサービスを提供する様々な企業やブランドになりすました詐欺が発生しています。中でも、重要なインフラの一つである「電力」に便乗し、電力会社を名乗る不審な電話やSMSが多発しています。
○不審な電話の例
電力に関する自動音声ガイダンスを使った不審な電話が多発しています。トビラシステムズの調査で、2024年8月における自動音声ガイダンスを使った電力関連の迷惑電話の着信件数は、5月から約13倍に増加しました。
【電力関連の自動音声ガイダンスの例】
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「光熱費の削減診断アンケート」の名目で住居、年齢、同居家族、電気代などに関する質問が流れ、ダイヤルで回答を促される
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「電気料金の未払いで数時間後に停電する」「○番を押すと担当者につながる」などの音声が流れる
電力会社の中には「自動音声ガイダンスによる電話案内は行っていない」と注意喚起を行っている事業者もあります。このような自動音声ガイダンスに対応すると、悪意のある者に個人情報や住居に関する情報が知られたり、有人オペレーターにつながって特殊詐欺やトラブルに巻き込まれたりする可能性があります。
<参考>
不審な電話アンケート|「光熱費 削減診断」の自動音声(トビラシステムズYouTubeより)
<詐欺電話の対策>
◉電話で「お金」や「キャッシュカード」の話が出たら、まず詐欺を疑う
◉あやしいと感じたらすぐに電話を切り、家族や信頼できる人、最寄りの警察署、警察相談専用電話(#9110)などに相談する
◉迷惑電話対策サービスを活用し、特殊詐欺や悪質商法などの電話を自動で遮断
○不審なSMSの例
電力会社をかたるSMSによる「フィッシング詐欺」が多発しています。「未納料金がある」「送電を停止する」などと記載されたSMSから、電力会社のウェブサイトを装った偽サイトに誘導し、個人情報やクレジットカード情報を盗み取る手口が確認されています。
<詐欺SMSの対策>
◉身に覚えのないメールやSMSが届いた場合、文面に添付されたURLに触らない
◉日頃利用するサービスは、公式アプリやブックマークしたサイトから情報を確認
◉迷惑SMS対策サービスを活用し、フィッシング詐欺などの不審なSMSを自動で遮断
<参考資料>
【ご注意】東京電力を装った自動音声ガイダンスによる電気料金に関するアンケートにご注意ください(東京電力)
https://www.tepco.co.jp/ep/archive/20171214.html
関西電力を装った不審業者に関する注意喚起(関西電力)
https://kepco.jp/information/notice_swindle/
中部電力関係者を装った不審電話や訪問などにご注意ください!(中部電力)
https://www.chuden.co.jp/publicity/important/1203634_3507.html
九州電力を騙った自動音声ガイダンスによるご連絡にご注意ください(九州電力)
https://www.kyuden.co.jp/company_attention_10.html
4. トビラシステムズについて
テクノロジーで社会課題の解決を目指し、特殊詐欺やフィッシング詐欺、グレーゾーン犯罪撲滅のためのサービスを提供しています。詐欺電話・詐欺SMS等の情報を収集・調査してデータベースを構築し、自動でフィルタリングする「迷惑情報フィルタサービス」は、固定電話、モバイル、ビジネス向けに展開し月間約1,500万人にご利用いただいています。
公式サイト: