株式会社帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算し分析を行った。
総務省「小売物価統計」から、カレーライスの具材となるじゃがいもなどの材料や、電気・ガス代など水道光熱費の全国平均価格を基に、それぞれの分量や各調理工程の分あたりエネルギー使用量を配分し、算出した。
<調査結果(要旨)>
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カレーライス物価、7月は1食342円 「コメ急騰」で最高値更新
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「カレーライス物価指数」は124.8 前年同月比14.7%増、14カ月連続のプラス
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8月のカレーライス物価も最高値更新、1食350円突破の可能性 しばらく高値が続く見通し
[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指標
各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)、2024年6月確定分まで
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移。なお、前年同月比の計算式は下記に準ずる
(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100
カレーライスの材料・エネルギーの定義は下記の通り。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
【原材料】 ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:200g換算)カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
調査機関:株式会社帝国データバンク
家庭の食卓で人気のメニュー「カレーライス」の調理費用で、過去最高値を更新する値上がりが続いている。カレーの調理に必要な原材料や光熱費等の価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2024年7月に342円となり、単月では2015年以降の10年間で最高値を更新した。また、300円台となるのは2023年8月以降、12カ月連続となった。1年前の2023年7月(298円)から44円の大幅上昇を記録し、安価で手軽に調理できるカレーライスのコスト負担増が続いている。カレーの材料として欠かせない「コメ」価格の急騰が、カレーライス物価の上昇に大きな影響を及ぼした。また、天候不順の影響で品薄状態が続いたジャガイモなどの野菜類で、平年に比べて高値での推移が続いたこともカレーライス物価を押し上げる要因となった。
「カレーライス物価指数」は124.8 前年同月比14.7%増、14カ月連続のプラス
帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約6割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月から28円増の211円だった。輸入牛肉の価格上昇が続いていることに加え、ジャガイモを中心に野菜類の価格が高値圏で推移したことが影響した。また、7月は「ごはん(ライス)」価格の値上がりが目立った。ライスの1食当たり費用は101円と前年同月(87円)から14円増加し、過去10年で最高値となった。「カレールー」(24円→25円)、炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円、変化なし)では、前年同月から大幅な変化はなかった。
カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年7月の指数は124.8、前年同月比では14.7%上昇し、14カ月連続のプラスとなった。10%を超える上昇幅は2015年以降の10年間で初めてとなり、急騰ぶりが鮮明となった。
8月のカレーライス物価も最高値更新、1食350円突破の可能性 しばらく高値が続く見通し
東京都区部の物価動向を基に予想した8月のカレーライス物価は、1食350円を超える見通しとなった。農林水産省が発表した9月分の野菜価格動向については、ジャガイモ(バレイショ)とタマネギが「平年を上回って推移」となった。ニンジンでは値下がりが予想される点が好材料となるものの、ジャガイモ・タマネギは記録的高値が見込まれる。また、コメ価格の落ち着きは数カ月先になるとみられ、カレーライス物価は当面の間値上がり局面が続き、9月も最高値を更新するなど高値圏での推移が予想される。