どうしたらそんなひどいことができるのか……、だれもがそう思ってしまう動物虐待の話はたえない。本書もそのひとつだが、たまたま全国紙の地方版が取り上げ、全国版に転載され、テレビが後追い放送したことで一気に話題になった。
この物語の主人公「純平」は2001年に『瞬間接着剤で目をふさがれた犬 純平』というタイトルで刊行され、2017年に一度リニューアルしている。今回は改題し、二度目のリニューアルとなる。
ある日、公園で子どもたちの輪の中に一匹の捨て犬の子犬がいた。それを通りかかった外国人のマイケルが見つけ保護するところから物語は始まる。
目と心に傷を負った子犬はその容貌から「クマ」と名付けられ、地元の動物愛護の人たちに保護されていた。
報道で知った全国の人から「飼いたい」「会いたい」との電話などが殺到。その中から一通の手紙をくれた東京の救世軍が運営する社会福祉慈善の施設に引き取られることに。
そこは病気やさまざまな事情で住居に困っている人たちを保護し、一時的に無償で暮らしてもらっている施設で、施設の人から「純平」と新たに名付けられ、そこで純平は、施設の人たちを癒やし、みんなから愛され、人のぬくもりを感じながら育ち、街の有名犬になっていく。
純平の由来は「純粋に平和を愛する」で、寄宿者のひとりが昔、飼っていた飼い犬の名前からきているそうだ。人が願うのはいつの世も平和や心の平安で、人も犬も一人では生きられない、助け助けられ、愛し愛されていく、同じ生き物だということをこの本から学べる。
文字も大きく、小学校三年生以上で習う漢字にはルビが振られており、お年寄りから子どもまで幅広い年代に支持されている。
※本書は、平成29年6月に刊行した『新装改訂版 瞬間接着剤で目をふさがれた犬 純平』を改題・改訂のうえ、新装したもの。
【書籍情報】
書名:神様のおつかい犬 純平
監修:関 朝之
仕様:A5判上製 160ページ
ISBN:978-4-8024-0156-2
発売:2023.07.04
本体:1500円(税別)
発行:ハート出版
商品URL:https://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-8024-0156-2.html
【著者】関 朝之(せき ともゆき)
1965年東京生まれ。
城西大学経済学部経済学科、日本ジャーナリストセンター卒。仏教大学社会学部福祉学科中退。スポーツインストラクター、バーテンダーなどを経てノンフィクションライターとなる。
医療・労働・動物・農業・旅などの取材テーマに取り組み、同時代を生きる人々の人生模様を書きつづけている。
著書に『救われた団地犬 ダン』『愛された団地犬 ダン』『タイタニックの犬 ラブ』『のら犬ティナと4匹の子ども』『ガード下の犬 ラン』『新装版 高野山の案内犬 ゴン』(以上ハート出版)、『歓喜の街にスコールが降る』 (現代旅行研究所)、『たとえば旅の文学はこんなふうにして書く』 (同文書院)、『10人のノンフィクション術』(青弓社)など。