絵本作家の真珠まりこさんが『もったいないばあさん』を刊行したのが2004年のこと。
それからこの絵本はシリーズとなり、もったいないばあさんは、多くの子どもたちにものを大切にする心を伝えてきました。もったいないばあさんからそのことを教わった子どもたちは、やがて大人になり、今度は自分の子どもたちに『もったいないばあさん』を読み聞かせ……。このようにして世代をこえて愛され、身近に感じられるキャラクターとなったのです。
誕生から20周年の節目となる今年3月、新作『もったいないばあさんの おばあちゃん』が講談社から刊行されましたが、10月1日、朗報が届きました。この絵本が、第34回けんぶち絵本の里大賞に輝いたのです。
けんぶち絵本の里大賞とは
けんぶち絵本の里大賞は、北海道の旭川空港から車で北に約1時間半ほどのところに位置する上川郡剣淵町などが実施している、絵本を対象とした文学賞です(賞の運営主体は、けんぶち絵本の里づくり実行委員会)。
過去の受賞作をみますと、『おまえ うまそうだな』(作・絵/宮西達也、ポプラ社)、『パンダ銭湯』(作/tupera tupera、絵本館)、『もう ぬげない』(作/ヨシタケシンスケ、ブロンズ新社)など、現在も人気の絵本がズラリ。
今回、受賞した真珠まりこさんも、シリーズの1巻目にあたる『もったいないばあさん』をはじめ、『もったいないばあさんがくるよ!』『もったいないことしてないかい?』(以上、講談社)など計4回、絵本の里大賞を受賞してきました。
今年2024年は、8月1日~9月30日の2ヵ月間が投票期間で、「剣淵町絵本の館」を訪れた来館者が、展示されている候補作の中からお気に入りの絵本に1票を投じ、もっとも多くの票を獲得した作品に絵本の里大賞が贈られます。
34回目となる今回は、前回を上回る263もの応募作品が集まり、総投票数は10357票にのぼったということです。
『もったいないばあさんの おばあちゃん』は、どんなおはなし?
けんぶち絵本の里大賞に輝いた『もったいないばあさんの おばあちゃん』は、”もったいないばあさんは、どうしてもったないばあさんになったのか?”というキャラクターの背景にせまるもので、子どもだったころのもったいないばあさんと、そのおばあちゃんが登場します。
幼き日のもったいないばあさんは、田んぼでお米作りをしていたおばあちゃんから食べ物に感謝をすること、生きものたちへの思いやりを持つこと、命のつながりを感じることなど、生きるうえで大切なことは何かを、自然なかたちで教わってきました。
「だいじなことは みんな おばあちゃんから おそわった。つたえないのは もったいない」
絵本にも登場するこのメッセージが、テーマとして貫かれている一冊です。
絵に目をこらすと、イネの一本一本がとてもリアルに表現されていることが伝わります。
これは、色を染めた和紙を稲のかたちに切って、背景に貼って……という大変な時間と手間をかけて作られています。
第34回けんぶち絵本の里大賞の受賞結果
なお、第34回けんぶち絵本の里大賞の結果は以下のとおりです。
絵本の里大賞 『もったいないばあさんの おばあちゃん』(作・絵/真珠まりこ、講談社)
びばからす賞 『おまえうまそうだな さよならウマソウ』(作・絵/宮西達也、ポプラ社)
びばからす賞 『一年一組 せんせいあのね こどものつぶやきセレクション』(選者/鹿島和夫 絵/ヨシタケシンスケ、理論社)
アルパカ賞 『野球しようぜ! 大谷翔平ものがたり』(文/とりごえこうじ 絵/山田花菜、世界文化社)
授賞式は、2025(令和7)年2月15日(土)、剣淵町内にある「剣淵温泉レークサイド桜岡」で行われる予定です。