オープンウォーター(海上)で行われる新しいボート競技「コースタルローイング」。2028年のロサンゼルスオリンピックで、コースタルローイングビーチスプリント種目(以下、ビーチスプリントローイング)が正式種目に採用されるなど、今注目のローイングスポーツです。
今治市の鴨池海岸では、2019年に国内で初めてとなるビーチスプリントローイングの大会「Beach Rowing Sprint Games」が開催され、今年で6回目を迎えました。本大会を主催する今治ローイングクラブは、いち早く「コースタルローイング」に着目し、今治をその聖地とするべく、大会運営と競技の普及を行っています。
今回は、今治から発信する新たなローイングスポーツをご紹介します!
新しいボート競技「コースタルローイング」
■コースタルローイングとは
コースタルローイングは2000年代に誕生した、オープンウォーターで漕ぐ新しいローイングスポーツです。
レース競技としては、2006年以降世界選手権がカンヌ(仏)、サン・レモ(伊)、モナコといったヨーロッパ有名観光地、そして2019年には香港と深圳(中国)で開催されるなど世界中で人気が高まっています。
主な特徴として、オリンピック競技のフラットウォーターと異なり、海岸などのオープンウォーターで行うローイングスポーツということが挙げられます。コース立地の多様性と設営のしやすさから、ヨーロッパを中心にモルディブやアフリカ、アメリカ南北の海岸など新たなローイング拠点が生まれ、競技人口も急激に増えています。
■ビーチスプリントローイングが2028年ロサンゼルス五輪に正式決定
海をフィールドとした「コースタルローイング」の中でも砂浜のランを組み合わせたショートレースが「ビーチスプリントローイング」です。
砂浜のランからスタート、ボートを漕いで250メートル先のブイを折り返し砂浜のフラッグを先につかみ取った選手またはチームが勝者となります。
このビーチスプリントローイングが、令和5年10月13日に2028年ロサンゼルスオリンピックでの正式種目に決定しました。
原点にして、頂点。国内最高のコースタルローイング
■聖地「鴨池海岸」は観光地としても人気急上昇中!
今治ローイングクラブが、2019年に国内で初めてビーチスプリントローイングの大会「Beach Rowing Sprint Games」を開催し、その後、日本ローイング協会内にコースタルローイング委員会が組織されました。本大会はまさに「原点にして、頂点。国内最高のコースタルローイング大会」であり、その開催地である今治市大西町の鴨池海岸は、本競技の聖地となりつつあります。
瀬戸内海のほぼ中央に位置する燧灘(ひうちなだ)に面し、瀬戸内海国立公園にも指定されている鴨池海岸は、およそ800メートルに渡り美しい白砂が広がる風光明媚な海岸です。近年のマリンスポーツやキャンプなどのレジャー需要の高まりを受け、昨年1月に市内の企業が一日一組一棟貸切のヴィラをオープン。さらに、今治市が公園施設内にWi-Fi環境などを整備し、観光地として注目を集めています。
また、夕日の絶景が映える撮影スポットとしても人気で、ボート競技にうちこむ女子高生たちの日々を描いた青春物語、1998年公開の映画『がんばっていきまっしょい』(主演・田中麗奈さん)のロケ地になったことでも有名です。
■Beach Rowing Sprint Games2024には世界王者はじめ国内外のトップ選手が出場
9月28日(土)~ 29日(日)に開催された「Beach Rowing Sprint Games2024」には、日本国内はもとより世界各国からコースタルローイングのトップ選手延べ61クルー127人が出場し、手に汗握る熱戦が繰り広げられました。
2022・2023・2024年世界選手権金メダリストでUSA代表選手であるクリストファー・バク選手をはじめパリ五輪日本代表選手やオーストリア、ラトビアの各国の代表選手も参加し、国際色豊かな大会へと進化しています。
【競技種目と大会結果】
Beach Rowing Sprint形式(距離 約500m)
■男子種目
CM1×優勝 クリストファー・バク(USA)
CM2×優勝 イウリ・スチャク(AUT)、コリー・ロジャー(USA)『Team AUT&USA』
■女子種目
CW1×優勝 北村莉子
CW2×優勝 北村莉子、安井咲智『Team SAGAPIRA』
■混合種目
CMix2×優勝 荒川龍太(東京五輪、パリ五輪日本代表)、
冨田千愛(リオ五輪、東京五輪日本代表)『Onushi Nanimono』
CMix4×優勝 加地華、荒川龍太、米川志保、寺田智香、クリストファー・バク
『Voyager Crew』
○当日の競技の様子はこちらから
https://www.youtube.com/@VoyagerCrew
日本ローイング協会 八木陽介 コースタルローイング委員長
■「今治大会の感想やロサンゼルス2028正式種目決定について」
「鴨池海岸」は、瀬戸内海の美しい景色を望める絶好な水域だと思います。レースの会場としても、日本は海に囲まれた国で、海ごとで波の高さや波の周期など様々な特徴がありますが、今治のこの海は、波は非常に穏やかで、非常にスピード感のあるレースが行われる、そういった特色のあるコースになっていると思っています。
今治は、コースタルローイングの中でも、特にビーチスプリントにおいて、日本で初めて大会が行われた場所です。地元の方々の支援や、ビーチスプリントを愛好する日本のアスリートの方々にとって、聖地となっており、こうして継続的に開催できていることは大変すばらしいことだと思ってます。今後も今治からこのビーチスプリントの魅力を、引き続き発信していただけるように期待しています。
昨年の10月のロサンゼルス五輪の正式種目決定は、私どもにとっては悲願でございました。これから、この今治の地でのビーチスプリントの意義というものがより高まってくると思いますので、地元の方、そして日本全国のコースタルローイングファンの皆さんが今治に来て、この競技の魅力を体感いただくこと、これがオリンピックに向けて大きな勢いに繋がっていくというふうに思っています。
CMix4優勝チーム「Voyager Crew」インタビュー
■「大会の感想と今後の目標について」
東京五輪、パリ五輪日本代表 荒川龍太選手(一橋大学-NTT東日本)
このクルーは本当にめちゃくちゃ強力な人が集まったんですごく楽しくて良かったです。今治の鴨池海岸は、街も含めてすごく綺麗な良いところで、ちょっと波はないんですけど、その分逆に入門には良いかなと思って、初めての参加でしたが、すごく良かったです。
2028年のロサンゼルス五輪では、今のところ、従来のオリンピック競技のフラットウォーターで目指していこうと思っていますが、もし狙えるのであれば、コースタルローイングの両方ともやっていこうかなというふうに思ってます。
ビーチスプリントUSA代表 クリストファー・バク選手
(ビーチスプリントローイング世界選手権2022~2024優勝)
今治の鴨池海岸はすごくいい環境です。今年、イタリアで開催された世界選手権は、岩がごつごつした所で砂浜の感触があまり良くなかったので、そういう意味でも今治の鴨池海岸は非常にコンディションが良く、いろんな島々があって景観も素敵で、とても満足しています。
ロサンゼルス2028に向けて、もちろん最後に金メダルをとるのが一番の目標です。そこに向けて、いっぱい練習を積み重ねていきたいと思います。
【関連サイト情報】
○今治市公式ホームページ https://www.city.imabari.ehime.jp/
◯鴨池海岸公園ホームページ https://www.city.imabari.ehime.jp/kanko/spot/?a=169
○今治市戦略的情報発信プロジェクト https://prtimes.jp/story/detail/xJQ2GZFz4EB