2024(令和6)年 10月 3日
国立大学法人岡山大学
◆概 要
京都大学フィールド科学教育研究センター中野智之准教授と山守瑠奈助教、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワBruce Marshall博士、ロンドン自然史博物館Suzanne Williams博士、岡山大学福田宏准教授らの共同研究グループは、これまで研究例がごく少なく、長く分類も混乱したまま放置されてきた笠形の巻貝アコヤザラ ‘Roya’ eximia (G. & H. Nevill, 1869)(ニシキウズ科 Trochidae)に対し、タイプ標本の探索および解剖学的な形質の精査により、近縁と考えられるハナザラ属 Broderipia (J. E. Gray, 1847) との差異を明確化した上で、新属アコヤザラ属 Akoyazara (Nakano, Yamamori, Marshall, Williams & Fukuda, 2024) を創設しました。
また、Broderipia のタイプ種バラザラ(今回和名新称) B. rosea (Broderip, 1834) およびハナザラ B. iridescens (Broderip, 1834) それぞれのタイプ標本が、原記載以来190年ぶりにロンドン自然史博物館で発掘され、レクトタイプを指定して再記載しました。
本成果は、2024年9月30日に日豪共同刊行の国際学術誌「Molluscan Research」にオンライン掲載されました。
<研究者のコメント>
「論文が公開に辿り着くまでに必ず査読というステップがあり、査読者のコメントにはどれだけ論文を出版していても一喜一憂するものです。今回は投稿時にはそこまで注意を払っていなかったバラザラの標本は図示した方が良いとコメントをもらったものの、バラザラは日本では全く知られていなかった種なので困りました。しかしながら、改めてバラザラを捜索したところ、共著者の所属するロンドン自然史博物館のタイプ標本庫ではなく、一般の貝類標本の中から、原記載以来190年ぶりにバラザラとハナザラのタイプ標本が見つかるという大発見につながりました。査読者のコメントに感謝しています。」(中野)
「ハナザラは、大学院進学後に初めてのフィールド研究対象種となった思い入れのある貝です。その近縁なアコヤザラは当時採集例が少なく、探し出すために何度も高知一周を試みました。その結果、ハビタットをよく理解して多くのアコヤザラを採集できるようになり、このような分類学的な研究にも携わらせて頂くことができました。私の研究者ライフは、アコヤザラやハナザラの笠形の貝殻の上でころころ転がされています。」(山守)
「アコヤザラもハナザラも従来は産出記録のごく少なかった種で、近年になって山守さんたちが生態の詳細を明示するまでは、どこでどのように棲息しているのかも不明瞭でした。私など、それらの実物に野外で出逢う機会すら、いまだに得ていません。そこで今回は、ハナザラ・バラザラが記載された1834年以来の文献に徹底的に当たり直し、アコヤザラを含む3種の網羅的な異名表の作成と産出記録の確認に集中しました。その間にWilliams博士のご尽力でタイプ標本が発掘され、約2世紀前に止まったままだった時が突如として動いたのです。分類学ではありがちな展開ながら、今回の論文も思いがけない形の決着で完成に至りました。」(福田)
<論文タイトルと著者>
タイトル:Akoyazara, a new genus of limpet-shaped trochids, with redescription of Broderipia J.E. Gray, 1847 (Vetigastropoda: Trochidae: Fossarininae)
著 者:Tomoyuki Nakano, Luna Yamamori, Bruce A. Marshall, Suzanne T. Williams and Hiroshi Fukuda
掲 載 誌:Molluscan Research
DOI:10.1080/13235818.2024.2403043
<研究プロジェクトについて>
本研究は、日本学術振興会 科研費基盤研究B課題番号23K14263「岩盤穿孔者の持つ生態系エンジニア機能の解明」(山守)により遂行されました。
<詳しい研究内容について>
笠形の巻貝類の新属アコヤザラ属の創設、およびハナザラ属の再検討―190年ぶりのタイプ標本再発見―
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241002-1.pdf
◆本件お問い合わせ先
<研究に関するお問い合わせ先>
中野智之(なかの ともゆき)
京都大学フィールド科学教育研究センター 瀬戸臨海実験所・准教授
TEL:080-5113-8948
FAX:0739-42-3515
<報道に関するお問い合わせ先>
京都大学 渉外・産官学連携部 広報課 国際広報室
TEL:075-753-5729
FAX:075-753-2094
岡山大学 総務・企画部 広報課
TEL:086-251-7012
FAX:086-251-7294
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
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※ ◎を@に置き換えて下さい
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岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
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岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年8月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002391.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
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