自転車の正しい利用方法や安全安心な自転車の選び方、メンテナンスの重要性を啓発する自転車の安全利用促進委員会と一般社団法人自転車協会は、島根県教育委員会主催のもと、2024年7月22日(月) 浜田市、7月23日(火)松江市で行われた『令和6年度島根県学校安全(交通安全)研修会』にて、自転車通学指導セミナーを実施し、島根県内の小・中・高・特別支援学校の教職員約60名にご参加いただきました。
島根県の中学生・高校生は、自転車事故時に加害者となる割合が低いものの、中学生の1万人当たりの自転車事故件数は全国でワースト16位と高い結果となっています。また、高校生の1万人当たりの自転車事故件数は45位と低い結果となっていますが、事故件数自体は中学生より多くなっています(当委員会調査による)。本講演では、島根県の中学生・高校生に自転車事故の多い要因について考えるほか、ヘルメット着用努力義務化によるヘルメットの重要性、他都道府県の自転車通学指導の好事例紹介、現在話題となっている特定小型原付についての定義や、特定小型原付と電動アシスト自転車との違いを交えて講演しました。また、見落とされがちな自転車自体の安全性(BAAマークについて)の大切さについても解説しました。
講師の遠藤 まさ子(自転車の安全利用促進委員会メンバー/自転車ジャーナリスト)は、「年間を通して自転車通学指導を行うことが重要、成人に比べ車の運転免許を持っていない生徒は、道路標識等を正しく理解できておらず、道路交通法を前提とした指導が必要です。」と説明しました。
自転車事故を防ぐポイントとして「事故件数のデータを蓄積することで、事故を減らすためのリスクを知る事ができます。」と提案しました。「万が一事故が起きた際には、ヘルメットの着用有無が被害の大きさの分かれ目になり、事故に遭わない・起こさないための教育のほか、事故に遭ってしまった・起こしてしまった場合の対処法についても考え、ヘルメット着用や自転車保険の加入はしっかりと指導していきましょう」と強調しました。
また、「通学自転車は毎日乗るため、BAAマークなどの安全マークが付いた自転車を選び、車検のように定期的にメンテナンスをすることが重要です」と解説しました。
講演後は「自転車利用に対する自校の取組みについて」、「自転車指導推進における課題・困難な点について」各学校の教職員で情報交換をし、発表していただきました。
夏休みは、自転車のメンテナンスをしっかり受けるのに良いタイミングです。交通ルールだけでなく、自転車の車体の安全性についても改めて理解いただき、他県の指導事例を参考に、教職員の皆様が自転車通学の安全指導について考える機会となりました。
【参加した教職員の感想】
・他県の実施事例を導入したいと思い、より詳しく学んでいきたいと思いました。
・改めて自転車の安全性とヘルメットの大切さが分かりました。
■参考資料
≪講師略歴≫
遠藤 まさ子
自転車の安全利用促進委員会メンバー/自転車ジャーナリスト
自転車業界新聞の記者や自転車専門誌の編集などを経てフリーランスへ転向。自転車・育児用品を中心に取材を行い各誌に寄稿。自転車の中でも子ども乗せ自転車、幼児車、電動アシスト自転車を得意とし、各種メディアで自転車の利活用、安全指導等解説を行う。
≪自転車の安全利用促進委員会≫
自転車の安全利用促進委員会とは、一般社団法人自転車協会の協力を受け、安全安心な自転車利用のための啓発活動を行う団体です。自転車の利用者の方々に快適な自転車生活を送って頂くため、購入時に知っておくべき自転車の選び方から購入後のメンテナンス、正しいルール・マナーなどの情報発信を行っています。また、活動の一環として教職員や学生を対象とした、自転車通学指導セミナーも全国で開催しています。
≪BAAマーク≫
BAAマークは、一般社団法人自転車協会が定める自転車安全基準に適合した自転車に貼られています。自転車安全基準には全部で約90項目の検査項目があり、ブレーキ制動性能、フレーム・駆動部の強度、ライトの光度、リフレクターの反射性能などの検査に合格する必要があります。