株式会社ヘラルボニー(以下ヘラルボニー)は、るんびにい美術館(岩手県花巻市)に在籍する作家9名による企画展「異彩のはじまり」を、10月12日(土)から岩手県盛岡市にあるHERALBONY GALLERYにて開催します。
■展示概要
るんびにい美術館は、アートを通して「ボーダーレスの体感=命との出会い」を提供する場となることを目指し、あらゆる表現の作品を展示しています。美術館の2階はアトリエとなっており、個性豊かな作家達が思い思いに創作する様子を覗くことができます。
ステンドグラスのようにカラフルで、何らかの規則性を持って描かれた幾何学模様。ボールペンの跡が残るほど執拗に何度も何度も書きつけられた黒い丸。ランダムに見えて実は数字や文字が潜んでいる絵──。
これらの作品・作家との出会いから、ヘラルボニーは生まれました。
本展では、今日に至るまでヘラルボニーの事業を支えてくださった、るんびにい美術館の作家9名の絵画・糸・織りなど、さまざまな表現の作品を展示いたします。
そしてヘラルボニーは、2024年9月、フランス・パリに拠点を置き新たなスタートをきりました。
世界への第一歩を踏み出した今、岩手でも新たな挑戦に向けた準備のため、本展示でHERALBONY GALLERYはこの場所での役目を終える運びとなりました。
約3年間、様々な作家や作品に焦点をあて、その魅力を伝えてきたHERALBONY GALLERY。
これまで全国各地から足をお運びいただいた皆様のおかげで、岩手という地で、ヘラルボニーの思想を届ける場所として根付くことができました。
最後に、ヘラルボニー前身のMUKU誕生から8年、ここまでの道のりを伴走してくださったるんびにい美術館の作家と職員の皆さまに感謝を込めて。
「異彩のはじまり」である作品の数々を、ぜひご覧ください。
■記念オリジナルステッカー販売
この度の企画展を記念して、佐々木早苗氏の作品をオマージュしたオリジナルステッカーを制作いたしました。HERALBONY GALLERYと、るんびにい美術館にて数量限定で販売します。
内容|5種セット
サイズ|直径40㎜
価格|1,000円(税込)
また、自社ブランド HERALBONYのプロダクトや、るんびにい美術館のオリジナルグッズも会場でお買い求めいただけます。HERALBONYのプロダクトに起用されている作品も多数展示いたしますので、展示作品の鑑賞と合わせてお楽しみください。
■作家プロフィール
佐々木 早苗 Sanae Sasaki
絵画のみならず織り物、切り紙、刺繍など、いずれも緻密で色彩と構成の妙に富む様々な表現を生み出し続けている。彼女は一つの仕事に数か月から数年集中して取り組んだあと、不意にやめて別の仕事に移るのが常。現在彼女が打ち込んでいるのは、丸く切り抜いた紙をいくつもの色で同心円状に彩色し、塗り終わった紙を壁に並べて貼っていくこと。
工藤 みどり Midori Kudo
彼女の制作には、瞑想から生み出されるような果てしなさがある。完成形を目指して作り出しているのでなく、思いのままに打っていく点描や短い線の集積に何かを見出し、その世界にとめどなく没入して行く。ある時はふわふわと、夢見るように周囲の誰かに笑顔で話しかけ、またある時は、一人自分の内側の世界に深く意識を沈めてる。そのまなざしは、彼女の心だけに映る何かを追いかけてたゆたう。不思議な空気が彼女と彼女の制作には漂っている。
高橋 南 Minami Takahashi
クーピーペンシルやクレヨンを塗り重ねることで作り上げられた作品は、一見すると、素早い鉛筆の動きを要する激しい制作態度を連想させる。しかし実は、彼女の制作は非常にゆっくりと穏やかである。彼女の描き出すひとつひとつの色は、お互いに交じり合うことなく、それぞれにその美しさを主張しながら画面の上に現れ、激しさと静けさが不思議に同居しており、心を惹きつけられずにはいられない。
小林 覚 Satoru Kobayashi
よく見ると、いろいろな数字がつなげて描かれているのがわかる。小林は養護学校中等部の在学中に、日記も作文もすべての文字を独特の形にアレンジして書くようになった。 初め学校の先生も何とか直せないかと苦心したが、やがてこれを魅力的な造形表現ととらえることに切り替える。 これを転機に、彼の表現は多くの人に喜びを与えるアートとして羽ばたき始めた。彼の好きな音楽家はビリー・ジョエル、クイーン、井上陽水、スピッツ、THE BOOM。そして散歩が大好き。
八重樫 道代 Michiyo Yaegashi
水性ブラシマーカーを用い、躍動に満ちた色彩ひしめく緻密な画面を生み出す。 初めて「自分の絵」を描き始めたのは19歳の時。 以来堰を切ったように作品を次々と生み出していった。その後体調を崩し、一時は制作も途絶えたが、数年の時を経て描画を再開。かつての画風とは大きく異なるが、表情豊かな絵を少しずつ描いている。
八重樫 季良 Kiyoshi Yaegashi
色鮮やかな作品の中に、目を引く四角や丸の白い空間。一見抽象的な幾何学パターンを描いたように見える絵だが、それが独自のアレンジによって描かれた建築物や乗り物だと知ったら多くの人が驚くだろう。子どもの頃、彼はこの表現様式を誰に習うことなく独創によって生み出す。以来、半世紀余りにわたってただ一つの手法で創作し続け、その作品数は数百点に及ぶとされる。アトリエの一角で、机からはみ出るほどの大きな画用紙に、フェルトペンを握りしめながら大きな定規を巧みに扱う彼の姿からは、何年もの長い年月を感じ取ることができる。
冨澤 富士子 Fujiko Tomisawa
陽気なエネルギーに満ちあふれ、涙もろく感情豊か。彼女の周りに笑顔が尽きることはありません。織りと絵画を手掛け、いずれの表現もエネルギッシュですこぶる豪快なものです。無数に画面を埋め尽くしているのは人の顔。その中に垣間見える文字は、描かれた人物の名前です。相手に寄せる思いを、普段の彼女の姿勢そのままに、ストレートに力強く描き込んでいきます。
似里 力 Chikara Nisato
もともとはアトリエの共同作業として行われていた草木染の毛糸を球状に巻き取る仕事を担当していた似里。はじまりは巻き取る際にからまってしまった糸を切ってほどき、結び直したことがきっかけだった。しかし人目を忍んで、売り物の糸をこっそり「切っては、結ぶ」を繰り返すようになったという。「切っては、結ぶ」所作がお気に入りとなった似里は今、毎日アトリエで背中を丸め、指が鼻にくっつきそうなほど近づけて、ひとつずつ丁寧に結び目を作る。何時間にもわたって途切れることのない集中力。結び目がぴょんぴょん飛び出しながら丸まっている糸玉は、花びらのようなかわいらしさがある。きょうも彼は黙々と、切っては、結ぶを繰り返す。
昆 弘史 Kouji Kon
るんびにい美術館アトリエを拠点に活躍した昆。その制作活動の始まりは、ささやかなものでした。小さなノートをポケットに入れて持ち歩き、時折ありあわせのペンでシンプルな人の形を描き込む。丸い輪郭の中に、丸い目、棒のような鼻。「これ、○○さん。」そう言って、そばにいる人にノートを見せて会話の種にすることも、彼の楽しみであるようでした。その描画は年を経てゆっくりと密度を増していき、やがて大画面の作品を手掛けるようになりました。モチーフは「人」だけです。とてもシンプルな人のかたちを、一度描いた上からさらに幾たびも重ねていくことで、画面はいつしか強烈な存在感を放つものへと変化していきます。
■開催期間
HERALBONY GALLERY
会期:2024年10月12日(土)〜12月28日(日)
住所:岩手県盛岡市開運橋通2-38 @HOMEDELUXビル4F
開廊日:木金土祝
時間:木金 12:00〜18:00
土祝 10:00〜12:00 / 13:00〜17:00
URL:https://store.heralbony.jp/pages/heralbonygallery-iwate
■展示作品 一部ご紹介
普段はるんびにい美術館に所蔵されている貴重な作品の数々が、HERALBONY GALLERYに並びます。これまでさまざまなプロダクトや案件で起用された作品を実際にご覧いただけます。
【るんびにい美術館】
るんびにい美術館は小さくて、ユニークな美術館です。
ギャラリーでじっくり作品を味わい、もし興味が広がったならば、2階のアトリエを訪ねてみてください。そ作品の制作現場を実際に見て、アーティストたちと交流することもできます。彼らのユニークな創造と魅力的な人柄に触れて、きっと心地よい興奮で心が満たされるでしょう。るんびにい美術館は、知的な障害や精神の障害などのある作者が創造した表現作品や、しばしばアウトサイダーアート、あるいはアール・ブリュットと呼ばれるような作品を多く展示します。 ですが、アウトサイダーアートやアール・ブリュットの美術館ではありません。障害者と健常者。おとなとこども。男性と女性。国、人種、人や動物や植物…。この世界は、無数のボーダー(境界)でできています。 もしも、すべてのボーダーを心から消し去って、それらをただ一つのものとして見ることができたなら。もしそんなことができたなら、世界はどんなふうに見えるのでしょうか。
もしかしたら、そこにはただ命の輝きだけがあるのかもしれません。
施設名:命のミュージアム るんびにい美術館
所在地:〒025-0065 岩手県花巻市星ヶ丘1丁目21-29
代表者:三井 信義
運営:社会福祉法人 光林会
公式サイト: https://www.kourinkai.net/museum-lumbi/about/index.html
【株式会社ヘラルボニー】
ヘラルボニーは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験カンパニーです。国内外の主に知的障害のある作家の描く2,000点以上のアートデータのライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開しています。支援ではなく対等なビジネスパートナーとして、作家の意思を尊重しながらプロジェクトを進行し、正当なロイヤリティを支払う仕組みを構築しています。ライフスタイルブランド「HERALBONY」のほか、商品や空間の企画プロデュース、取り組みを正しく届けるクリエイティブ制作や社員研修プログラムなどを通じて企業のDE&I推進に伴走するアカウント事業、あたらしい”常識”に挑戦する盛岡のアートギャラリー「HERALBONY GALLERY」の運営を行うアート事業など、多角的に事業を展開。さまざまな形で「異彩」を社会に送り届けることで、「障害」のイメージを変え、80億人の異彩がありのままに生きる社会の実現を目指しています。
会社名:株式会社ヘラルボニー / HERALBONY Co.,Ltd.
所在地:岩手県盛岡市開運橋通2-38
代表者:松田 崇弥、松田 文登
コーポレートサイト:https://www.heralbony.jp
ブランドサイト:https://store.heralbony.jp/