農業部農村発展及び水土保持署(日本の農林水産省にあたる機関。以下、水保署)台中分署の発案、企画で、株式会社オリジナル統括の下、8月9日の夜、徳島県中州町のTHE PACIFIC HARBORにて「経済・文化・観光・農村振興相互協力MOU締結式」を日台共同で開催しました。台湾代表団は、水保署署長の李鎮洋氏と苗栗県政府農業処処長の陳樹義氏が率い、台湾の中部の企業や民間組織(苗栗県公館郷農会、苗栗市農会、台中市霧峰区農会、樹生ワイナリー、台湾祺峰休閒事業有限公司、台湾観光旅行業交流協会、馨樂旅行社、台湾珈琲研究室)、徳島県の企業や民間組織(徳島県酒造組合、株式会社ときわ、徳島港湾荷役株式会社、株式会社エアトラベル徳島、四究会)が参加し、日本と台湾の友好的な交流と産業の相互協力について意見交換しました。
<「天茶」 ― 日本と台湾を繋ぐ物語(1)>
台湾紅茶の父、開祖とも呼ばれる新井耕吉郎は、日本統治下の台湾において紅茶の栽培や研究、普及活動に一生を捧げました。100年以上の時を経て、中苗地区苗栗市農会が開発した「猫裏紅茶」は、小葉種の紅茶で、味わいが滑らかで甘く、喉越しも良く、台湾の代表的な烏龍茶、東方美人茶の萎凋工程を取り入れた製茶プロセスを経た茶葉は、香りが濃厚で、リッチな蜜のような果実の香りが広がります。喉奥の余韻は、台湾紅茶に尽力した日本人の記憶とともに長く残り続けます。
<「地酒」 ― 日本と台湾を繋ぐ物語(2)>
台湾東部の花蓮県吉安郷は日本の統治下にあった明治時代以降、徳島県の吉野川流域から多くの人が移住したことから「吉野村」と呼ばれていました。当時の花蓮・吉野村で酒米として生産されていたお米「吉野一号」は重要な農作物でした。
台湾の霧峰農会ワイナリーは、花蓮の農業改良場に保存されていた「吉野一号」の種籾を使い、13年から少量で栽培を始め、自家採種しながら徐々にその生産量を増やしてきました。その「吉野一号」を使って作られたお酒「吉野瑞光」が今年誕生します。この瑞光吉野の発売は今回の徳島県でのMOU締結のタイミングで行われました。
<「天茶地酒」ブランドの誕生>
今回の締結式に先駆け、新しいブランドが誕生した。天茶地酒(てんちゃちしゅ)という名称の由来は、中国の老子の『道徳経』の中の天長地久(てんちょうちきゅう)に起因しています。これは、自己のため存在するのでなければ、サステナブル、永遠に生存できる、を意味しています。
国境を超えた2つの地域=ローカルが手を組んで、1つのブランドを構築し、それぞれの長所を活かした新しい商品を開発し、それを世界=グローバルに展開していくことが目的です。
日本と台湾の14の団体による相互協力覚書の締結により、両国の農村振興、国際的なマーケティングと宣伝の機会を活用し、さらに盤石で長期的な協力関係を構築することを目指します。また産業の面だけでなく、観光や文化の面でも双方向の発展が期待されます。