⼿帳や⽣活実⽤書、児童書などを発⾏している 株式会社⾼橋書店(本社:東京都豊島区 代表取締役社長: 清水美成)は、11⽉12⽇(火)の第28回⼿帳⼤賞発表表彰式にて名言大賞とアイデア大賞の表彰を行いました。
当日は、いとうせいこうさん、東直子さん、平野紗季子さんが審査員として登壇。「名言大賞」受賞作品の発表とともに、受賞者へトロフィーの授与を行いました。その他にも、今年の大賞作品についてのコメントや、手帳に関する意識調査「手帳白書2025」にて実施した調査内容を審査員と振り返り、今回のトピックスである災害、推し活、目標達成についてトークなども行いました。
なお、受賞作品一覧は高橋書店公式 HP の特設サイトでも11月12日(火)より公開します 。
「第28回手帳大賞」受賞作品の発表
46,324通から選ばれた受賞作品が決定!
名言大賞は『年はとる物じゃなく、頂く物なのよ。』
「思わず⼿帳にメモしたくなる名⾔」を募集した今回の「第28回⼿帳⼤賞」では、名⾔⼤賞に46,324通の応募をいただき、その中から「⼤賞」、「特別賞」3作品、「優秀賞」3作品の計7作品を受賞作品として選出しました。審査員は昨年に続き、いとうせいこうさん(作家・クリエーター)、東直子さん(歌人・作家)、平野紗季子さん(フードエッセイスト)の3名に務めていただきました。
なお、同時募集のアイデア⼤賞には2,336通の応募をいただき、その中から2作品を「最優秀賞」「優秀賞」として選出しました。
■名言大賞
年はとる物じゃなく、頂く物なのよ。
応募者:荒木 ゆかり(あらき ゆかり)
埼玉県 40歳 パート
発言者:職場のおばちゃん
【背景】
「年をとりたくないなぁー」とみんなで話をしていた時に、仲良しのおばちゃんが言ってくれた言葉。そういう考えもあるんだなと思わされました。
【寸評】
●この言葉を知っているだけで、人は日々を重ねることを悲しまなくなります。名言です。(いとう)
●「頂く」という語を使うことで、年齢を重ねることに対する感謝が伝わってきて、とてもよいもののように意識が変化する。同じ職場の人生の先輩からの言葉の贈り物として、胸に沁みるようにやわらかく受け止められる。(東)
●年齢を単なる時間の経過ではなく、人生の贈り物として捉える視点が素晴らしいです。 (平野)
■特別賞
ラジオともして
応募者:長谷川 稿史(はせがわ こうし)
京都府 53歳 自営業
発言者:母親
【背景】
半身不随でほぼ寝たきりの状態だった母が父に言った言葉です。横で聞いていた私は「なんて綺麗な表現だろう」と感銘を受けました。自由に出歩く事ができない母にとってラジオはまさに「心のともしび」だったのかも知れません。
【寸評】
●「つける」でなく「ともす」。よい日本語が生まれました。(いとう)
●今年私は病気のために家にいることが多くなり、ラジオをよく聴いていた。目を閉じていても耳元で語りかけてくれるような、ラジオ独特の寄り添ってくれる感じが、心の中に光をともしてくれるようだったのだと共感した。(東)
●短文の中に、ラジオという音声メディアが、心を照らし暖かさや安心感をもたらす象徴である、という鮮やかな気づきが含まれている。(平野)
■特別賞
足が震えるのは、立ち向かってる証拠や。
応募者:鈴木 陸(すずき りく)
茨城県 29歳 大学院生
発言者:高校時代の恩師
【背景】
高校野球をしていた時の初めての大会でピンチを迎え、緊張して足が震えていました。伝令を通して当時の監督さんが言ってくださった言葉です。この言葉を聞いて、自分に自信が持て、全力を出すことができました。
【寸評】
●言葉の力はすごいですね。こう声をかけられた途端、緊張が力になってしまう。(いとう)
●緊張して足が震えてしまうことを、力強くポジティブな方向に導いてくれて、真っ直ぐに心に響く効 果がある。さまざまな震えてしまうような体験にも役に立ちそうな普遍性がある。(東)
●シーンや臨場感が浮かぶ、生きた言葉だなあと思いました。(平野)
■特別賞
「逃げなさい。逃げるなと言われるのは人間だけなのよ」
応募者:鈴木 典子(すずき のりこ)
神奈川県 43歳 会社役員
発言者:祖母
【背景】
子どもの頃、いじめにあっていた。行きたくないと言えば母は「逃げたらダメだ」と言った。ある日私はコツコツ貯めた10円玉をポケットに詰めて電話ボックスに駆け込んだ。電話に出た祖母に泣きながら全てを吐き出した。その時祖母が「心や身体を傷つけられるような事があったら逃げなさい。動物は危ないとか怖いって思ったらすぐに逃げるでしょう?逃げるなと言われるのは人間だけなのよ。」と言った。学校に行くことも行かないことも自分で選んで良いのだ。昨年96歳で天に旅立った祖母が遺してくれた宝物です。
【寸評】
●逃げることで生き延びる。人をすべての生命と並べてとらえる。広い視野です。(いとう)
●動物との比較で「逃げる」という言葉を考察している視点がとてもよくて、幼い子どもにも、大人にも、説得力をもって、逃げていいんだ、当然なんだと思わせてくれる。(東)
●逃げるということが、生き物として実に自然な反応であることに、ハッとさせられる。たくさんの人の支えになる強い言葉だと思います。(平野)
■優秀賞
「いつか」は自分で迎えに行きなさい
応募者:佐藤 風太(さとう ふうた)
愛知県 30歳 会社員
発言者:友人
【背景】
実際にはもっと砕けたな口調で言われましたが、現状に不満はあるけれど楽な環境でもあると言う状況で、いつか〇〇できたらな、なんて話していたら「いつかって自分で迎えに行かないと掴めないよ」という事を言われハッとしました。それをきっかけに行動を起こして今ではより満足で刺激のある環境に身を置く事ができています。それ以来この言葉を胸に刻んでこれからも忘れずに生きていこうと思っています。
【寸評】
●見事に易しい言葉で勇気と努力を促します。この簡易さが人を動かす秘訣かもしれません。(いとう)
●ぼんやりとした「いつか」という願望は、思っているだけでは叶わないのだ。「迎えに行く」という言葉選びが絶妙で、とにかく自分でまず行動しなくては、と、やわらかく背中を押してくれる。(東)
●待つのではなく、行動することの大切さを、「いつかを迎えに行く」と表現したことが印象的。(平野)
■優秀賞
だいすきだから、バイバイしてもだいじょうぶ
応募者:大谷 瑞季(おおたに みづき)
東京都 41歳 会社員
発言者:娘
【背景】
3歳の頃の娘の言葉。おもちゃを整理し、いくつか寄付することにしました。本人に選ばせると一番遊んでいるおもちゃを選びました。なぜかと聞くとこの言葉。もうたくさん遊んで思い出をいっぱい作ったからいなくなっても忘れないし大丈夫なんだそう。まだ遊べていないおもちゃはこれから仲良くするからバイバイしない、と。精一杯仲良く遊べた娘を褒めました。
【寸評】
●何かを手放すことをどう納得するか。子供の心から我々大人も学びますね。(いとう)
●どんなものでも「だいすき」なものと「バイバイ」するのは切ないはずだが、「だいすきだから」という観点が持てる潔さにしびれた。愛についての思考を深めてくれる。(東)
●一見矛盾するような言葉だからこそハッとする。子どもは物事の本質を捉える天才だと思わされる一言です。(平野)
■優秀賞
昨日までの自分が大丈夫だって言ってた。
応募者:宮森 愛美(みやもり あいみ)
神奈川県 43歳 会社員
発言者:娘
【背景】
小学6年生の娘が2月に中学受験をしました。3年の2月から3年間、親子で受験勉強に取り組んできました。2/1の本命校の受験の日には私のほうが落ち着かない状態でしたが、本人は親の心配をよそに、試験中はゾーンに入って集中できたと晴れやかな顔で出てきました。結果は見事合格。その時に言った言葉です。悔しくて泣いたり、つらくてあきらめようとしたこともありましたが、これまでの毎日の積み重ねが大きな自信とパワーになったこと、受験を通して子どもの成長を感じた瞬間でした。
【寸評】
●こうして自分を信じられるのは、もちろんそれまでの努力あってこそ。しかしその自分にかけてあげる言葉があってこそ、努力が生きるのでしょう。(いとう)
●大きな試練を目の前にすると誰もが不安になるが、やれるだけのことはやったのだという過去の努力を、「昨日までの自分」として生き生きと擬人化し、自然に肯定的な気持ちになれる。(東)
●成長と自己信頼が垣間見える、柔らかくも力強い言葉。(平野)
■アイデア大賞 最優秀賞
『ポジティブ未来日記~明日の自分~』
応募者:山口 翔大(やまぐち しょうた)
石川県 13歳 学生
【アイデア概要】
「こうなっていたらいいな」というポジティブなことを考えて実際にあったように書く日記。「新しい友達ができた」「お気に入りのくつを見つけた」など、日常的なこと、小さなこと何でもOK。そして、それが達成できるように、その日のやることや目標を追加し、終わったら実際の出来事や感想を書く。これを使えば、これからポジティブで前向きな毎日が送れます。
【寸評】
タイトルの通りポジティブな自分になることができる、新しい日記の使い方のアイデアです。能登で大きな地震のあった今年の1月1日から、実際にこの『ポジティブ 未来日記』を書き始められたそうですが、同じ石川県在住ということで、大きな不安もおありだったことでしょう。この日記を記入することで、前向きに過ごすことができたとの力強いメッセージがこの作品にはありました。これからもぜひ前向きに未来を切り拓いていってほしいと思います。
■アイデア大賞 優秀賞
『バインダー式 4年連用日記』
応募者:湯澤 葉子(ゆざわ ようこ)
東京都 60歳 主婦
【アイデア概要】
オリンピックやパラリンピック、ラグビー、サッカーワールドカップ、4年周期の大会を目指す人、それを応援したい人に、春から大学生になる人、そして、4年後の目的、目標を目指してがんばるすべての人に達成日までを1つのドキュメンタリーのようにまとめられる、これまでどこにもなかった4年連用日記。
【寸評】
湯澤様の思いがあふれる、とても情熱的な作品でした。ラグビーワールドカップへの熱い思いが、「4年」でなければならないという必然性を裏付け、このアイデアを説得力のあるものにしています。高橋書店の連用日記では、2年、3年、5年、10年はありますが、4年連用の商品はありません。この度の作品で4年間という一見中途半端な期間に、こんなにもこだわりを持ったニーズがあることに、目から鱗が落ちる思いでした。
審査員による全体講評「名言大賞は名言を選ぶというよりも名言を生む企画」
表彰式の最後には、審査員のお三方より全体講評をいただきました。
平野さんからは「今回の大賞作品に関しては、年齢をシンプルな時間の経過と捉えるのではなく、『人生の贈り物』と視点を変換させる力があると感じました。また、そういう心持ちで生きることで人生に奇跡のようなものが与えられるのではないでしょうか。今回応募された皆様はそうした日常の奇跡をつかみ取る力が優れた方々であると思いましたし、私自身もそのように生きていきたいと強く感じました」とコメント。
次にコメントを求められた東さんは、「短歌や小説など言葉に長くかかわる仕事をしてきましたが、皆様が現実世界で会話された言葉を掬い取り、こうして胸を熱くさせてくれて、言葉って良いなと感じました。誰かを思いやって、心に寄り添って発した言葉が、また誰かの言葉を励まし、後押しする。そんな世界は素敵だなと思わせていただいたことに感謝したいです」と語りました。
最後にいとうさんは「毎日このようなすごい言葉がたくさん、いろんな所に生まれている。けれども私たちは耳をふさいでしまったり、記録せずに置いてしまっているからこぼれてしまっていることに気が付きました。そんな言葉に今年もこうして審査員として触れ、自分なりの解釈で選んでいくうちにその言葉が光っていく。名言大賞は名言を選ぶというよりも名言を生む企画なんだなと思いました。言葉はそんな力を持っているのに、それをおざなりにしている自分に反省するとともに、毎日良い言葉を聞いたらメモをしていきたいです。もしかしたら100万円も貰えるかもしれないので頑張ります」という言葉で会を締めくくりました。
「手帳白書2025」を初公開 災害・推し活・目標達成と手帳の関係とは
会では全国の10~60代の1,000人を対象に手帳に関する意識調査を実施した「手帳白書 2025~暮らしと手帳のすゝめ~」の結果について紹介。今回は全体の結果を振り返りながら、「推し活」「災害」「目標達成」の各章ごとにトークが展開されました。
まず初めに「推し活と手帳の関係性」に関する内容では、6割の方が推し活をするという結果を受けて、いとうさんは「誰かを応援すると自分が頑張る以上に頑張れる。やはり推し活というものが生活を支えている実感はありますね。その推し活を手帳に残していくのは非常に楽しいことなんだろうな」とコメント。また、手帳ユーザーの72.2%の方が手帳を活用することで、推し活への楽しみが増えたという結果に対しては「手帳の良いところは手書きであること。僕も誰かをずっと推している状態で、取材に行く機会も多いが、やはり文字にはワクワクが表れる。自分の気持ちが字で、手書きによって現れるものが手帳の良さだと思う」とお話しをいただいたほか、東さんは「誰かを応援する活動をこんなにもたくさんの人がしていると思うと素晴らしいと思う。誰かの喜びが自分の喜びにもなる。手帳に先々の予定を書くことが生きる希望になることを実感させるデータですね」とコメント。平野さんは「私自身食べ物の箱推し状態ですが、好きという感情からすべてが始まる感覚があって、それを支えてくれるのが手帳であるということに共感しました」とご自身の実体験とともに語っていただきました。
その後、「災害や有事に役立つ手帳術」についてのトークが展開されました。デジタル化が進む現代においても通信環境が遮断される可能性のある災害時には手帳というツールが役立つ、電源や通信の不安から手帳に対する安心感やすぐに使える利便性から災害時の備えとしても手帳が適しているというアンケート結果について、いとうさんは「災害はいつ起こるか分からないからこそ、いつも持ち歩いている手帳をこのように活用することはとても重要ですね。災害に備えてはもちろんですが、災害に関することを記録する、書き込むためにも手帳は役に立つ。それを人に見せたり、誰かがデータとして使ったり、そういう意味でも重要なツールであると思う」とコメント。東さんは「ついついスマホに頼りがちだが、手帳は電気が無くても見られる、書ける、残せるのは大きなことだと思う。重要なことを書き留める原始的なものとして最終的に手帳は役に立つと改めて感じた」と語りました。平野さんは、「私自身今回の手帳白書の結果を受けて、有事に備えて家族の電話番号を手帳に書き込みました。今すぐ、今日(手帳への記録を)やってほしいと思うようなデータだなと感じました。いつ何が起こるか分からないからこそ、いつも手元にある手帳に記録することの重要性に改めて気が付きました」と実際の有事に向けた備えとともに手帳の重要性についてお話しいただきました。
最後に「1人時間の使い方や目標達成と手帳の関係性」について、目標や計画を管理するツールとして手帳が第1位であるという結果を受けて、平野さんは「改めて手帳は今だけでなく、過去も、未来もいろんな時間軸を内包しているメディアであると実感しました。自由帳やノートとは違う働きとして、私たちの人生に寄り添ってくれていると実感」と語りました。手帳ユーザーの74.6%が達成感を感じているというデータに対して、いとうさんは「年始の目標を達成していたと気づいて、完了のチェックをする際、紙だからこそ気持ちが良い。アプリでは味わえない気持ち良さがある。また、その一年やってきたことや、やりたかったことが紙だとよく伝わると思います。時間軸が分かる上に気持ちが良いのが紙・手帳の特徴だと思う」と手帳の魅力について言及すると、東さんは「やはりペンで紙に刻んで、体で感じることが大事なんだなと感じた。書き込んで見返してチェックするアナログな世界を自分の身体が求めているのではないでしょうか」とコメント。
また、審査員3名の来年の目標を聞くと、いとうさんは「年々自分が考えても思い通りにならないのが人生だと実感し、ここ10年間はなるべく流されるようにしてきました。だから来年は特に強く流されてみたいなと思っています。誰かが言ってくれた事はやってみる、言ってみる。なるべく他人が期待することをやってみたい」と目標を宣言。東さんは「今年は思いがけない大きな病気もあり、家で寝ていることも多かったが、治療も終わりつつあり、来年は自分の体力、気力を立て直して一歩ずつゆっくり振り返りながら、じっくりと、かつ好奇心旺盛に進めていきたいです」とコメント。平野さんは「腹八分目」と宣言し、「目の前に魅力的なものがあるとすべてを食べつくしてしまうタイプなので、足るを知って体にも向き合いながら美味しくいただいていきたい」と三者三様の来年の目標を一足早く発表していただきました。今年の大賞の発表を前に、審査員の皆さんとの手帳の様々な使い方に関するトークを通して、改めて手帳のの使い道の幅広さや魅力を感じられる時間となりました。
【手帳大賞HP】
https://www.takahashishoten.co.jp/techotaisyo/top.html
■第28回⼿帳⼤賞開催概要
開催⽇時 2024年11月12日(火) 11:00~12:45[10:30~ 報道受付開始]
名⾔⼤賞審査員 いとうせいこうさん(作家・クリエーター)
東直子さん(歌人・作家)
平野紗季子さん(フードエッセイスト)
2025年版「手帳は高橋」新CM
■CM概要
今年のテレビCMは、「JUST FIT」をテーマに制作しました。ふつうは、みんな、違うから。どんな生き方にもフィットするように、296種類を揃えた今年の手帳。「手帳は高橋」のキャラクターのたかもんが、「♪こだわりのビジネス手帳」「♪贅沢仕上げの手帳」と歌にのせて次々と紹介していきます。ぜひ、あなたにぴったりJUST FIT!する手帳を見つけてください。
新CM 手帳は高橋「JUSTFIT」篇(15秒)
・店頭放送 :2024年11月13日(水)より随時放送開始
・TVCM :2024年12月7日(土)~12月22日(日)
・放送地域 :関東・関西・東海・北海道・九州 etc.
【CM特設サイト】