この度川井雄仁は、11月14日(木)から12月1日(日)まで、ZERO BASE神宮前にて、個展「クローズアップ現代陶芸〜わたしがおぢさんになっても〜」を開催します。
川井は、本年「Heart on Wave」がヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)に収蔵。11月下旬のKOGEI Art Fair Kanazawaに参加。2025年には、KOTARO NUKAGA(天王洲)での個展を予定しており、益々の活躍が期待されるアーティストです。
本展では、川井の部屋とセラミック作品が融合した空間にて、未発表作品・新作4点を展示します。
―アーティストステイトメント―
この展示は街と展示空間、展示空間と作品が入れ子になるような二重の構図でできている。
陶器で作られた私の作品は、最奥の自分を表出しているのか、作品に現れる自己とはなんなのか。最もプライベートな空間である自室に作品を展示することでその問いを実証しようという、いわば個人的な探究心から始まったプロジェクトである。
しかし、深掘りするうちに、失われた裏原文化へのノスタルジー、子供部屋おじさんの問題、ミッドライフクライシスの問題、お行儀よく街に収まるパブリックアートへの批判、陶器作品のカテゴライズ問題など、さまざまな事象を内包していることに気づいた。
けれど、一番には、私がどこまで生々しく自己を吐露したとしても、それが世にでた瞬間、電車の中から眺める街や人や風景のように、リアリティを失うこの存在の不確かさに改めて気付かされるという真実だ。それは、窯から出た瞬間に、別な人格を持ったかのように私から離れてしまう、陶器の作品たちに似ている。
本展キュレーションを担当した秋元雄史(東京藝術大学名誉教授、金沢21世紀美術館特任館長、国立台南芸術大学栄誉教授、美術評論家)が本展に寄せたテキストを一部抜粋でご紹介いたします。
永遠の迷子・川井雄仁が、憧れの地・原宿と出会う(秋元雄史)
川井は、1984年生まれである。青少年期を90年代から2000年代初頭に経験した。この時代は、俗にいう「失われた30年」である。日本が迷走し続けてきた時代の只中を生きた。
その時代の原宿に川井は憧れたという。明るくファンシーで夢に溢れた原宿には真実がある、そのように思えたからだ。嘘まみれの世界の中で若者を救う場所、キラキラと輝く聖地、可愛く、明るい原宿。そこは川井の夢の場所であった。
そこでの展覧会である。川井が乗らないわけがない。
考えあぐねた末に出した答えは、素のままの自分を曝け出すこと。自分の生活丸ごとを原宿という街にぶつけ、作品と共にそれを開陳すること。川井の混沌とした暮らしぶりをそのまま原宿の街中に晒すことであった。
なんとも不器用な告白なのだが、十代に憧れた原宿は、今どのように受け止めてくれるのだろうか。十数年ぶりの夢の邂逅になるのか、それとも大いなる失望になるのか。
どちらにしても期間限定で原宿に奇妙なスポットが登場する。
【展覧会情報】
「クローズアップ現代陶芸〜わたしがおぢさんになっても〜」
会期: 11月14日(木) – 12月1日(日)
開場時間: 10:00 – 20:00
オープニングレセプション:11月14日(木)18:00 – 20:00
場所 : ZeroBase神宮前
住所 : 東京都渋谷区神宮前6-4-1
主催: anonymous art project
キュレーション : 秋元雄史(東京藝術大学名誉教授、金沢21世紀美術館特任館長、国立台南芸術大学栄誉教授、美術評論家)
協力: KOTARO NUKAGA
川井雄仁 | Kazuhito Kawai
1984年 茨城県生まれ。
2007年 チェルシー・カレッジ・オブ・アート(UAL) BA(Hons)ファインアート科 卒業、2018年 茨城県立笠間陶芸大学校研究科 卒業。現在は茨城県にて制作を行っている。 ロンドンで現代アートを学んだのちに、陶芸というメディアと出会ったことで、創造性が解放され突破口を見出す体験をした。ダイナミックな色と形が特徴の陶芸作品は不規則さや醜さ、グロテスクさ、脆さなど様々な表情を見せ、素材によって引き出された自己の 内面を重層的に表出している。また積み上げられた土の塊は粘土と自分との対話という時間軸を反映している
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