【東京】英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナル(以下、当社)は、本日、毎年世界的に大きな注目を浴びているレポート『世界の消費者トレンド』の2025年版を発表しました。5つのキートレンドからなる本レポートは、異なる世代の消費者層が新しい商機を生み出し、ビジネス・ダイナミクスにどのような影響をもたらしているか、そして企業が変化し続ける消費者習慣にどのように適応しているかを説明しています。
今回、当社が選出した2025年の世界の消費者トレンドは以下の5つです。
1. 健康寿命へのこだわり(Healthspan Plans):人々はより長く、より健康的に生きるべく、齢を重ねた将来の自身のコンディションを考慮し、今現在から行動を変化させている。
➤消費者調査によると、今後5年間で今よりも健康になるだろうと考えている人の割合は、2019年の45%から2024年には52%に上昇した。
➤ビタミン・サプリメント分野の世界小売売上高は着実に増加しており、2025年には1,399億米ドルに達すると見込まれている。消費者調査によると、少なくとも週に一度はビタミンやサプリを摂取すると答えた人の割合は、2015年の34%から2024年には52%に増加した。
2. 賢い消費(Wiser Wallets):一時的かと思われた節約志向は、もはや現在の消費者行動に根付いてしまった。消費者は、現在のニーズと将来のニーズの両方の観点から、自分の優先順位と照らし合わせて購入決定を戦略的に行う。価格の安さのみが必ずしも購入の動機とはならない。
➤「よく衝動買いをする」と回答した消費者は、2024年には全体の18%であり、2015年の23%から減少した。
➤価格が高くても売り上げが伸びている産業カテゴリーもあり、世界の全地域において、2020年から2025年の美容・パーソナルケア市場におけるプレミアム製品の売上成長率は、マス製品のそれを大きく上回る見込み。
3. エコ・ロジカル(Eco Logical):今日の消費者は、サステナブル(持続可能な)消費について現実的だ。商品を購入する際、「地球にやさしい商品である」ことは、非常に重要な補完的要素である一方で、必ずしもそれのみが購買要因にはならない。
➤2024年の消費者調査によると、消費者の40%が、サステナブルな商品を購入する際の一番の障壁は値段であると回答した。
➤11の日用消費財(FMCG)業界と25か国において、サステナブル商品のオンラインSKU(最小在庫管理単位)数は、2022年第2四半期の400万から2024年第2四半期には500万にまで増加した。
4. 選び抜かれた購買体験(Filtered Focus): 膨大な量の情報、そして膨大な商品の選択肢に囲まれて生きている現代の消費者は、とにかく自分が本当に必要な商品やサービスを、時間をかけずに探し出したいと考えている。
➤2024年1月から8月までの間、54のFMCGカテゴリーと32か国において、23,000を超える新商品がオンライン上に登場した。
➤消費者の42%が、ライブストリーミングを通じて購入した経験があり、その理由を「ライブストリーミングでは、商品やサービスの特徴をより簡単に理解できるから」と回答した。
5. AIへの期待と不安(AI Ambivalent):生成AIの導入率が増加する一方、そのアウトプットに対する欠陥が指摘され始めたことで、生成AIに対する消費者の懐疑心も同時に増幅している。とは言え、消費者はこの技術に背を向けてはおらず、むしろ、その良い点と悪い点の両面を評価している。
➤2024年の消費者調査によると、消費者の43%が、生成AIを信頼できる情報源であると考えている。また、消費者の4人に1人は、「商品のお薦め機能がショッピング時に生成AIを活用する最大のメリットである」と回答している。
➤業界大手企業の49%は、今後5年間で自社が生成AIに投資する予定であると回答した。
当社のイノベーション・プラクティス調査部門の上級部長であるステラ・ヴァチェヴァは、次のように述べています。
「消費者は支出に関してますます注意深くなると同時に、信頼性が高く、長期的かつ的を絞ったソリューションを提供する製品やサービスを求めている。ビジネス戦略においてイノベーションとロイヤリティを優先することは、企業が進化する消費者行動に対応し、自らの成長を促進するために不可欠である。」
また、当社の東京オフィスで調査統括部長を務めるショーン・クレイドラーは、次のように述べています。
「日本でも、女性特有の健康課題にアプローチするサプリや漢方薬の増加、またプロテインがシニアやキッズ向けにも広がりを見せるなど、『健康寿命へのこだわり』は老若男女を問わず見られる。また、小売大手各社が低価格のプライベートブランドのポートフォリオを拡大する一方で、自分にとって特別な香りで生活を豊かにしようとプレミアム価格帯の香水が大きく成長するなど、『賢い消費』を行っている状況も伺える。高騰した生活費が常態化する中でも、出費にメリハリをつけながら、心身に気を遣い、健康や豊かな生活を犠牲にしないライフスタイルを志している消費者が増えているのだろう。」
2025年の消費者の購買判断にどのような動機や社会動向が影響をもたらすのか、詳しい分析はこちらのレポート「2025年 世界の消費者トレンド」(英語版フルバージョン、日本語版概要もこちらから)をご覧ください。
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