株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、作家・海猫沢めろんの初エッセイ集『海猫沢めろん随筆傑作選 生活』を2024年11月27日に刊行いたします。
■海猫沢めろん、作家生活20年の集大成!
私があこがれていた作家とは、学歴もなく実家が細く、ろくに仕事もせず小説を書かない生活破綻の貧乏人であり、刹那のきらめきを求める唾棄すべき穀潰しである。
そんな作家がどこかにいると信じていた。実際いなかった。だから自分が日々、そんな 存在に近づいていることを誇りに思う。(「はじめに」より)
2004年『左巻キ式ラストリゾート』でのデビューから20年。謎多き流浪の作家・海猫沢めろん初のエッセイ集『海猫沢めろん随筆傑作選 生活』が、ついに刊行となります。
本書には、デビュー以来、新聞、雑誌他各紙誌へ寄稿したエッセイ、今回新たに書き下ろした随想を2004年から年代順に収録。
発表直後から話題を呼び、森達也著『オカルト』でも紹介された「イタコに太宰治を降ろしてもらってみた」、日本文藝家協会編『ベスト・エッセイ』選出の名小品「そんな時代」、神戸新聞に掲載された虚妄混じりの問題作「作家業界の裏話」などなど、著者自身による厳選作品+書き下ろし、計53本が収録された名実ともに「傑作選」となる一冊です。
その時々の暮らし向き、関心事に端を発し、個人的、根源的な問いを投げかけ続ける、著者唯一無二の自由闊達な筆致には、かつて尾崎一雄、上林暁たちが体現した「私小説」とも相通ずる強力な磁場が宿されています。
作家生活20年の集大成『海猫沢めろん随筆傑作選 生活』を、ぜひ、お楽しみください。
■『海猫沢めろん随筆傑作選 生活』目次&自筆年譜
なんだかんだ云いながらも二〇年、結局のところ私がしてきたことは、ひたすらに世迷い言と戯れ言と泥の中から輝く一文を摑み取る、昔ながらの文士たちの営み。ただ生きるための『生活』なのである。(「おわりに」より)
■趣向を凝らした装釘・造本
本書の装釘・本文レイアウトは、山本浩貴+h(いぬのせなか座)が手がけ、装画は、漫画家・阿部洋一が精緻なイラストを描き下ろし。中央に描かれた「めろん」と著者名にグリーン箔をあしらい、色数を絞ったカバーで一際目を引くデザインとなっています。
造本は通常の46判と比べ天地が約2cm程短く、手に取った風合い、読み心地にも絶妙な味わいが加わります。
■著者デザイン&書き下ろし特典「生活新聞」作成中
『海猫沢めろん随筆傑作選 生活』発売予告トレーラー(海猫沢めろんYouTubeチャンネルより)
『海猫沢めろん随筆傑作選 生活』の刊行を記念して、著者デザイン&書き下ろし特典「生活新聞」を全国一部書店にて配布いたします。
現在配布書店様を募集中です。ご希望の書店様は、Xにて「雑誌 スピン/spin」アカウント(@kawade_spin)をフォローの上、DMをお送りください。
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文筆業を生業としてから確実に人生が狂っている。
別に頼まれたわけでもなく自分勝手にやっているので誰に文句を云うわけでもないが。前々年あたりから家賃が払えず友人の家などを転々とし住所不定となり、手持ちの銭も尽き、この度ついに借金生活と相なった。原稿を書けば解決する話なのだが、どう書いても納得がいかない。悩みをこじらせて挙げ句の果てに頭がどうかして、唐突にボクシングジムへ通い始めて殴られまくり、殴られるたびに記憶が飛ぶのでいい具合になにもかもがどうでも良い感じになってきている。無頼作家ならそれも武勇伝の一つになるが、私は「海猫沢めろん」である。わけがわからない。(「無頼は無理とて道理は通す」より)
■著者紹介
海猫沢めろん(うみねこさわ・めろん)
1975年、大阪府生まれ。2004年『左巻キ式ラストリゾート』でデビュー。
11年『愛についての感じ』(講談社)で野間文芸新人賞候補、17年『キッズファイヤー・ドットコム』(講談社/野間文芸新人賞候補)で熊日文学賞を受賞。
著書に『ニコニコ時給800円』(集英社)、『夏の方舟』(KADOKAWA)、『頑張って生きるのが嫌な人のための本』(大和書房/角川文庫『もういない君と話したかった7つのこと』改題)、『明日、機械がヒトになる』(講談社現代新書)他多数。近著に『ディスクロニアの鳩時計』(泡影社)がある。
■書誌情報
書名:海猫沢めろん随筆傑作選 生活
著者:海猫沢めろん
仕様:46判変形/上製・角背/256頁
発売⽇:2024年11⽉27日
税込定価:2,750円(本体2,500円)
ISBN:978-4-309-03932-9
装釘・本文レイアウト:
山本浩貴+h(いぬのせなか座)
装画:阿部洋一
書誌URL: