株式会社ナリス化粧品(本社:大阪市福島区 代表取締役社長:村岡弘義)は、加齢によって現れる肌変化の象徴である「たるみ」について、これまでの測定方法よりも微細な変化を捉えることができる新手法を確立しましたので、その内容を以下にまとめます。
これまでの測定方法と課題
たるみは多くの人の悩みであり、当社ではこれまでも顔面の三次元画像を用いた定性的な評価や、座位と仰臥位での皮膚の移動度変化を定量的に評価する手法などを用いてたるみの評価をしてきました。しかし、これらの測定方法は、30歳と60歳の肌の比較といった比較的大きなたるみが対象である場合は有用でしたが、ひとりの人が化粧品を使用した前後での比較的小さな変化や経時的な変化の過程を把握することには適していませんでした。当社では長年にわたる肌研究で蓄積された同一女性の若い頃と10年以上経過後の顔面の画像、数十セットを目視で確認し、その変化を見つけることから研究を開始しました。
同一女性の10年以上経過画像の比較から年齢によるフェイスラインの変化傾向を発見
顔面画像の丁寧な観察を行ったところ、加齢に伴う変化として顔の表面に現れるほうれい線や口元から顎に向かって現れるマリオネットラインなどのシワの発生に加えて、肌の外側のフェイスラインの変化に一定の傾向が見られました。つまり、フェイスラインに沿う頬骨の下辺りには凹み、口の横あたりには凸があることがわかりました。これは骨格や丸形・角形などの顔の形を問わず現れている現象でした。
そこでフェイスラインの座標を抽出し、顔の大きさで標準化した顔の面積を求め、凸部のある顔の下側の面積で凹部のある顔の中間部で割ったものを「たるみ指数」として算出しました。目視によるたるみレベルが異なる複数の女性の顔画像にて「たるみ指数」とたるみレベルの相関関係を調査したところ、たるみの程度が進行しているほど、「たるみ指数」は大きい値を示し、たるみがフェイスラインの凸凹と連動することが確認できました。
今後の活用
この研究は、長年にわたり当社社員を中心とした多くの女性が顔面画像の撮影に協力してくれたことや、研究員の粘り強く丁寧な観察によって生まれたものです。当社では「たるみ指数」を用いることで、化粧品や成分の有用性の評価指標として活用していきたいと考えます。またメーキャップアーティストがこれを用いて凸凹の差を少なく見せる錯視のメーキャップ方法などの研究にもつなげていくことで、若々しさの提供ができるよう取り組みたいと考えます。
■研究者
株式会社ナリス化粧品 研究開発部 堀辻麻衣 成田美穂
研究者コメント(ナリス化粧品 研究開発部 堀辻麻衣)
化粧品のアンチエイジング効果を評価するにあたり、たるみの評価方法の確立は長年の課題でした。今回確立した評価方法により、簡便かつより微細な変化も捉えることができるようになりました。今後も化粧品の有効性評価手法の確立に努めたいと考えています。
文科系学部の出身ながら2008年の入社後、16年間一貫して化粧品のヒト肌への有効性評価に従事しています。趣味は旅行で、訪れる先々で各地の郷土玩具を集めており、最近のお気に入りは山形県米沢市笹野地区に伝わる「笹野一刀彫」のお鷹ポッポです。