蓬莱は、古代中国において渤海の東にあると考えられた仙境です。そこには不老不死の仙人たちが暮らしていますが、人が近づこうとすると船が風に戻され、近づくことができないといわれています。秦の始皇帝の命を受けた徐福が不老不死の仙薬を求めて旅立った目的地として、あるいは『竹取物語』でかぐや姫が求婚者の1人に求めた「蓬莱の玉の枝」の原産地としても知られる蓬莱。蓬莱は、不老不死の仙人の住まう永遠の繁栄の象徴であり、人の身では辿り着くことの出来ない神秘的な理想郷でもあるのです。
日本では、各地に蓬莱伝説・徐福伝説が残されています。それは、伝説の蓬莱があるという中国の東の海に浮かぶ島国としては当然の成り行きと言えるでしょう。しかしもちろん、仙人も仙薬も玉の枝も、あくまでも伝説に過ぎません。それでも、富士山や熱田、熊野周辺などに同地を蓬莱と結びつけるような伝説が現在まで伝わっていることは、蓬莱という理想郷がいかに強く人々の心をひきつけ、憧れを集めたかを証明しています。その結果蓬莱は日本においても、吉祥の象徴として絶大な人気を集め、絵画や工芸装飾に頻繁に登場するようになりました。
当館収蔵の狩野林泉筆《蓬莱図屏風》もそのような美術品のうちの1点であると考えられます。本展は、《蓬莱図屏風》を入口として伝説の理想郷・蓬莱の姿をよみ解くことを試みます。和漢の歴史書や物語、辞書に記された蓬莱と、数多の絵画や工芸品に描かれた蓬莱は、果たしてどのような姿をしているのでしょうか。
展示期間 2024年12月1日(日)~2025年2月17日(月)
※休館日:12月17日(火)、12月31日(火)、1月1日(水)、1月21日(火)
閉室日:12月18日(水)、12月19日(木)
展示会場 2階企画展示室
開館時間 9:00~18:00(※入場受付は17:30まで)
観 覧 料 一般300円、高校生200円、小・中学生100円、団体(20人以上)は各2割引
※2階歴史常設展示室にもご入場いただけます
主 催:もりおか歴史文化館活性化グループ
問合せ:もりおか歴史文化館 TEL:019-681-2100 FAX:019-652-5296
もりおか歴史文化館公式ホームページはこちら ( https://www.morireki.jp )
【展示内容】
古典籍に見る蓬莱
中国・日本の歴史書を通じて、伝説の理想郷・蓬莱の場所や、前近代の人々の「蓬莱」の捉え方を探ります。
蓬莱を想う
絵画や美術工芸品、文章の中で描かれる蓬莱の植生や、そこに住まう何者かの存在など、蓬莱の姿に迫ります。
蓬莱図屏風をよむ
狩野林泉筆の蓬莱図屏風に描かれた動植物の姿から、林泉が表現しようとした《蓬莱》を読み解きます。
【関連企画】
(1)れきぶん講座「蓬莱図をよむ ―描かれたのは蓬莱か。それとも…、―」
・日時:1月25日(土)13:30~14:30
・会場:1階 研修室
・講師:企画展担当学芸員
・内容:狩野林泉筆《蓬莱図屏風》をよみ解き、そこに描かれた「蓬莱」の正体に迫る企画展「蓬莱図をよむ」の関連講座。展示に納まりきらなかった「蓬莱」と蓬莱図についてのアレコレを、担当学芸員がお話しします。
・参加費:無料
・定員:50名 ※オンライン配信は行いません。
・申し込み締め切り:1月10日(金)
・応募方法:往復ハガキまたは申込フォームに、①講座タイトル ②氏名 ③年齢 ④住所 ⑤電話番号を楷書で明記し、1通につき1名でお申し込みください。
・注意事項:お申込み多数の場合は抽選となります。記載内容に不備がある場合や判読不能の場合、無効となりますのでご注意ください。同一名義で複数ご応募の場合、1通のみ有効となります。
(2)ギャラリートーク(展示資料解説)※当日自由参加
・日時:12月15日(日)13:30~14:00
2月11日(火・祝)13:30~14:00
・会場:企画展示室
・解説:企画展担当学芸員
もりおか歴史文化館
もりおか・城と城下町フィールドミュージアム
盛岡城跡公園の一角にある町なかミュージアム。1階は無料で、盛岡を代表する祭りや旬の観光情報を紹介。2階展示室(有料)では盛岡藩の歴史や藩主南部家に関わる資料を展示しています。
所在地 〒020-0023 岩手県盛岡市内丸1-50
電話番号 019-681-2100
URL https://www.morireki.jp
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