写真:JET
2024年11月27日(水)にEP『WILD STYLE』をリリースしたNUMA BEATZ & GioGio(ヌマビーツアンドジョジョ)。
NUMA BEATZ(ヌマビーツ)は、MPC2000を使ってブーンバップを中心に制作を行うビートメーカーで、GioGio(ジョジョ)はオールドスクールから最新のグルーヴまでを取り入れた多言語フロウが特徴のスキルフルなラッパー。
そんな2人がタッグを組み制作したEP『WILD STYLE』は、過去と現在のヒップホップを繋ぎ、カルチャーそのものを深く感じさせるような作品となっていました。
制作についてや、2人の出会い、そしてブーンバップへの愛やこだわりについてなど話を伺いました。
-リリース情報-
NUMA BEATZ & GioGio『WILD STYLE』
配信日:2024年11月27日(水)
配信リンク:https://bfan.link/wild-style
Tracklist
1.Intro
2.盗賊の極意
3.Masterpiece
4.Interlude
5.Elements
6.100bars(take3)
ー早速ですが、リリースされたEP『WILD STYLE』のタイトルの由来は?
GioGio:1980年代に作られた「WILD STYLE」という映画があって、ニューヨーク、サウス・ブロンクスを舞台にした、まだヒップホップがはっきりと定義されていなかったような時代をリアルに描いた作品で、その時代に音源だったり、グラフィティの書き方のスタイルとかやり方とか全てにおいて”WILD STYLE”というものが生まれていたんですけど、僕はその”WILD STYLE”がヒップホップに発展していったんじゃないかと思っているんですね。
ヒップホップのルーツにもなったもの、レペゼンワイルドスタイルって感じで、EPのタイトルを決めました。
ーこの『WILD STYLE』で伝えたいことはありますか?
GioGio:簡単に言えば、「ヒップホップを遊ぶ」ではなく、「ヒップホップで遊ぶことで人生を豊かにする」ということですね。
MCやラップ、DJなど、ヒップホップの要素は人と人を繋ぐ共通のコンテンツになってくれるんです。知れば知るほど繋がりが広がっていくところが、この文化の面白さだと思っています。
実際NUMA君もヒップホップを通じて出会いましたし、そういった楽しみ方を多くの人にしてほしいというのが僕たちの思いであり、伝えたいことです。
NUMA BEATZ:僕にとっては、自分の好きなものを表現した作品で、それをどう受け止めてもらえるのかが楽しみです。伝えたいことというよりは、自分が得たものを形にした、という感覚が近いかもしれません。
ー2人の出会いのキッカケは何だったのでしょうか?
GioGio:Instagramですね。僕が”ラッパー兄さん GioGio(ジョジョ)“のアカウントに投稿したWu-Tang ClanのMethod Manの真似をした動画がバズってた時に、その動画にNUMA君がいいねとコメントをくれたんです。
投稿を見たらMPC-2000を使ったビートメイクの動画をアップしていて衝撃を受けました。
テクノロジーがこれだけ発展している中で、25年くらい前の古い機材をわざわざ自分でカスタマイズして使っていて。やり方がめちゃくちゃオールドスクールだなと。
そのやり方でしか出ない音とか味もあるし、僕もその時代の音楽が一番ルーツだし好きなので、ビビっと来ちゃって、「ぜひ何か一緒にやりましょう!」とDMを送りました。
NUMA BEATZ:僕も、連絡しようか迷っていたタイミングでGioGio君からDMが来たんです。
「この人カッコいいな」と思っていたので、すぐに返信しました。
今までも色んな方から連絡をもらっていたのですが、ちゃんとやるってところまで行っていなかったんですよ。GioGio君とは連絡を貰ってから即日で話が決まりました。
GioGio:出会ったのは3ヶ月前くらいで、実はまだ10回も会ったことがないんです(笑)
ーお互いのどこに興味を持ったのですか?
NUMA BEATZ:GioGio君のラップは聴いていて、まるで英語を聞いているような感覚になるんです。凄いかっこいいし、気持ちいい。それがスキルって言うとかは分からないけど、とにかく聞き心地が良くて、自分の感覚に合ったというか、いいなと感じました。
それに、Method Manとか自分が好きなラッパーをリスペクトしていて、それを広めるような活動をしているのを見て「この人と一緒にやりたい!」と思いました。
GioGio:僕も同じ感じ。
NUMA君も今まで培ってきたものが見えてるから、例えばお互いMethod Manが好きということは、NUMA君の作るMethod Manのタイプビートっぽい感じのビートに納得できるし、そこに俺がMethod Manっぽいラップを乗っけたらNUMA君は凄い分かってくれるんですよ。
お互いただ作品を出してるだけじゃなくて、これが好きだからこれを出しているんだろうなっていうのが一目で分かる。もちろん知識とか経験というのもあるとは思うんですが。
ーEP『WILD STYLE』の制作はどのように進めたのですか?
NUMA BEATZ:僕がビートを作ってGioGio君に送って、そしたら大体いいねって言ってくれるので、そのままGioGio君にリリックを書いてもらって、そのまま録音したものをまた僕に送ってくれて、確認していいんじゃないって、それで決まりみたいな。
ーリモートで進められたんですね
NUMA BEATZ:最初に作った「盗賊の極意」では、歌録りの時に一緒にスタジオに入りました。
そこでニュアンスとかを話したりして、後は基本的にリモートでした。
ービート作りに関しても伺いたいのですが、どのように制作しているのですか?
NUMA BEATZ:MPC2000を使って作っています。
ー曲を作るときの決まりみたいなのはあるのでしょうか?
NUMA BEATZ:ビートメイクのマナーっていうか、暗黙のルールみたいなのがあって、それを忠実に守ってるかって言われたらそうでもないんですけど、そこは気を付けつつ。
MPC2000はボリュームフェーダーをあえてボリュームオーバーさせてちょっと歪んでる音を録ったり、コンプレッションかけた音で録ったりとか、なんかそういうテクニカルなことをしてあげないと、後からちょっと修正しづらかったりとか、気をつけることが沢山あるのと、やっぱり古い機械なのでその日によって調子悪かったりとかもあるんですよ。
だから、毎回同じ音で録れないとかっていうのも結構楽しくて。あと保存も出来ない(笑)
ーえ!?保存が出来ないんですか?
NUMA BEATZ:もちろん全く出来ないというわけではないんですが、保存は出来ても今の機械みたいにいっぱいは保存できないんですよ。
自分で改造してフロッピーだったところをUSBにはしているんですが、やっぱりそんなに沢山のデータを保存することは出来ないんです。
本当は何小節分もいろんなループ組んで保存しておきたいけど、それをするともう1曲でいっぱいになっちゃって。
そうなるとまたドラムの音源を録音して切ったりとか、色々しなきゃいけなくなって凄く時間がかかるので、自分はドラムの音だけUSBに入れて、あとはDAWとかに入れることにしています。
でも、やっぱり日によって音が違うんで、レコードの回転数はこれぐらいで、音量これぐらいで、その後の加工の内容とかを全部メモに取っておいて、そのメモを見ながら作り直すということをやっています。
まぁめんどくさいんですけど、MPC2000じゃないと出ない音が僕は好きなんで、こだわってやっていますね。
ーそんな苦労の中で生まれたビートなんですね。そもそもMPC2000とはどのようにして出会ったのですか?
NUMA BEATZ:ビートを作り初めた頃、1から作ると自分が好きだったDJ PremierとかPete Rockみたいな音にならないのが何でか分からなかったんですけど、サンプラーを使ってレコードから録っているということが分かり、俺がやりたいのはこれだと思ってサンプラーを使い始めました。
最初はサンプラーも現行モデルを使っていたのですが、自分の好きなプロデューサーのKANYE WEST(現在:Ye)とかPete RockとかJ DillaがMPC3000やSP-1200とか、昔の機材を未だに使ってるのを見て、特にKANYE WESTがMPC2000を使っているのを見て興味が沸いたんです。
それで色々調べていくと、どうやら現行モデルとは音も違うらしいということが分かって。
そういうプラグインとかもあったりするんですけど、DAW上に入れるものを買うというより、実物が欲しくなってネットで中古を探したところ、その頃はMPC3000が50万くらいして、MPC2000が10万円くらいだったので、これくらいならと思ってMPC2000を選びました(笑)
ーお二人が何故ブーンバップにこだわっているのかっていうところも聞けたらと思うのですが
GioGio:ブーンバップっていうヒップホップの中のジャンルはもともとイーストコースト、ニューヨークで生まれた音楽のスタイルなんですけど、基本的に言ってる歌詞の内容が”コンシャスラップ”って言って政治的なことや貧困や人種差別などの社会問題だったり、だからこの現状を変えなきゃいけないんだ、といった意識を変えようとするメッセージ性があったり、文化的なトピックが多いんですよ。
僕はそのコンシャスラップというものに惹かれて、コンシャスラップをやるんだったら、ブーンバップでしょっていうのが自分の中であって、ブーンバップが好きでずっと聴いてきたし、だから今もブーンバップをやっています。
NUMA BEATZ:トラップとか、今のヒップホップシーンには色んなスタイルがあるけど、僕がヒップホップを初めて聴いたのはEminem(エミネム)とかJay-Z(ジェイ・ジー)とかNas(ナズ)といったアーティスト達で、それが自分にとってのヒップホップだったし、自分が惹かれるのも昔のソウルやジャズをサンプリングしたブーンバップって呼ばれるようなビートなんですよね。
やっぱり好きなものを作りたいから、それが自分がブーンバップをやる理由かなと思います。
ー今後、お二人でライブの予定とかはあるんですか?
GioGio:あります!12月28日(土)に渋谷でリリースパーティーをやります。
ーそのライブの際、NUMA BEATZさんはMPC2000を演奏するんですか?
NUMA BEATZ:MPC2000だとデータとして取っておけないという問題があるので、やり方は話し合い中です。
その場でビートを作るとか、現行のMPCを使うとか、色んな方法があるとは思うのですが、現行のMPCを使うのはリアルじゃないですよね。
DJ PremierとかPete Rockの昔のライブスタイルを見ても後ろで回しているので、やっぱり回すのがいいのかな、と今は思っていますが。考え中ですね。
ー二人で今後どういう活動をしていきたいとかビジョンはあるのでしょうか?
GioGio:今まで自分とNUMA君は異なる人生を歩んできたけれど、同じく幼い頃から音楽に触れ、たまたま共通の好きなものがあったからこそ出会うことが出来て、今こうして一緒に何かを作り出りだしているっていうのは奇跡だと思うし、これこそが人類の生きてる理由の本質そのものだと思っています。
だから、NUMA君と一緒に作って発信することで、誰かが出会うきっかけになったり、人生を豊かにする人が増えたら良いなと思っています。
NUMA BEATZ:僕はニューヨークから始まったヒップホップの文化を守りつつ、自分の好きな音楽とか今のスタイルを守りながら、好きなものを作り続けて・・・好きなことを続けて、好きな曲をずっと作っていきたいですね。それをみんなに共有して楽しんでもらえれば嬉しいですね。
GioGio:職人だね(笑)
ーGioGioがヒップホップのピースな側面にフォーカスして活動している理由とかってあるんですか?
GioGio:一般的には、ヒップホップって不良の文化みたいに見られがちですが、ヒップホップが生まれたのは、ニューヨークで激化していたギャングの抗争を止めるために、Afrika Bambaataa(アフリカ・バンバータ)という人がズールー・ネイションという非暴力をテーマに掲げた組織を立ち上げ、暴力のエネルギーをカルチャーに向けよう、ピースに行こう。とパーティーやヒップホップで平和に導こうとしたことが始まりなので、元々の形は悪くならないためのものだと思うんですよ。
ウェッサイのラッパー、例えばSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)とかも悪いことは言ってるけど、悪さを自慢してるわけじゃなくて「あの時はマイナスだったけど、今はプラスに持ってってるんだよ」というような、その振り幅を自慢しているのであって、悪さをしていたこと自体は自慢していないと思うんです。
僕自身黒人じゃないのでルーツを語るのは、僕の押し付けになっちゃうかもしれないけど、悪くならないためのヒップホップだから、わざわざヒップホップをやって悪くなりにいくとかはちょっと違うなと思ってて、ヒップホップは悪くならないためのものっていう風に思って生きているので、ピースなものを作っています。
ーなるほど。そういえばGioGioが開催しているサイファーもディスり合いとかは無くて、凄くピースだって話を聞いたのだけど、どんな感じなんですか?
GioGio:サイファーなんで輪になってもらってビートをかけて、参加が初めてだったら「一回スキップして様子見てみようか」とか言いながら他の参加者のラップを見てもらったりしています。
そしたら皆、意外とラップ出来ちゃうんですよ。勢いで出来ちゃう。
今いるメンバーのほとんどは、ラップしたことも無かったようなところからスタートして、今はちゃんとできるようになってきています。
僕が主催しているBUZZ cypherでは出会いを大事にしていて、本当に色んな人が来るんですよ。
上は50歳くらいで飲食業を経営されているような方がいたり、下は19歳で茨城から通ってます、みたいな。
普段の生活では絶対に出会わないような人たちがラップという共通事項で集まり、一緒に輪になってちゃんと目を合わせて、ラップを使ってコミュニケーションしています。
実際にBUZZ cypherに来てくれた人達が「次は俺が主催打とうかな」とか「ちょっとこのイベントに出てくださいよ」とか、どんどん繋がっていって、色々なものが生まれていくのも魅力ですね。
MCバトルも流行っていますが、うちのサイファーではディスとかはなしで、そういう面白い化学反応を起こすようにみんなが動いてくれています。
元バンドマンですとか、地方から飛び込みで来ました!みたいな人もいたし、そういうのを大切にしています。
ーBUZZ cypherではどんなトピックでラップしているんですか?
GioGio:それこそ本当に普通の雑談なんですよ。
雑談をラップしてるから、話題は本当にいつも話してるようなことで「この前、女の子に振られて」とか「俺は彼女いるよ」とか「俺は奥さんがいる」とか(笑)
だから本当に雑談をラップを使って、うまくコミュニケーションを取りながらやってるって感じです。
ーそれなら私でも出来るかもしれない(笑)BUZZ cypherに参加するにはどうすればいいんですか?
GioGio:僕のInstagramに開催日時や場所を掲載しているのでチェックしていただいて、DMをくれれば参加できます。
今は参加費を無料にしているので、僕にDMして開催場所に行けば皆がいてサイファーに参加出来るという感じです。
もちろん未成年でも参加できるし、BUZZスタジオで開催しているので、室内だから雨の日でも大丈夫(笑)
ーBUZZ cypherはどのようにしていきたいですか?
GioGio:BUZZスタジオでサイファーをやらせてもらっているんですが、BUZZスタジオは日本全国の色々な所にあるので、BUZZ cypherの目標としては各都道府県で開催できるようになるくらい広げていきたいです。
GioGio プロフィール
HIPHOPの4つのエレメントemceein,bboyin,djin,graffitti,をリスペクト。
自分もダンスやラップやグラフィティを楽しみながら今のhiphopシーンに変化をもたらすべく活動中。
boom bapをルーツに持ちつつ様々な地域や時代のhiphopを研究。
ラッパー兄さん GioGio(ジョジョ)としてSNSでラップの基礎やスタイルを紹介。
レジェンドから若いラッパーまで幅広い支持を得ている。
自身が開催してるサイファーでも音楽やhiphopを趣味ではなくライフスタイルとして表現し、拡げている。
Instgram: https://www.instagram.com/buzzcypher
TikTok: https://www.tiktok.com/@giogiohcbtom
NUMA BEATZ(ヌマビーツ) プロフィール
ミュージシャンでもある父の影響で幼い頃からBlues,Jazz,Funk,Soulなどのブラックミュージックを聴き育つ。
さらに兄の影響でhiphopを知り、次第にhiphopに魅了されていく。
その中でも聴き馴染みのある70年代などの楽曲をサンプリングしたビートに心を掴まれ、自身もビートメイキングを始める。
令和の時代にMPC2000を使い、レコードからサンプリングしboom bapを中心に作成する。
レジェンド達が築き上げてきたビートマナーを尊重しつつ、新たに変化をもたらせるビートを日々研究し続ける。
古き良き職人気質のビートメイカー。
instgram: https://www.instagram.com/numa_beatz
イベント情報
NUMA BEATZ & GioGio Release Party WILD STYLE
2024年12月28日(土)
OPEN 19:00/ START 19:30/CLOSE 22:00
会場:BUZZ LIVE 渋谷
〒107-0052 東京都渋谷区神南1丁目15−3 神南プラザビル B1
チケット:3,000円 (Free Drink)
チケット購入先:
https://buzz-ticket.com/e/wildstyle
問い合わせ先:
株式会社BUZZ FACTORY 加藤宛
kato@buzzfactory1.com
株式会社 BUZZ FACTORY
社名:株式会社 BUZZ FACTORY
代表者:渡辺憲
本社所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂2-13-20 TSUMUGIビル
事業内容:芸能プロダクション業務全般、楽曲制作、ミュージシャンのプレゼンテーションおよびマネージメント、アーティストのダンス振り付け、演出、映画企画、カタログ、チラシ、Tシャツ等のデザイン、webサイトの企画、マーケティング、ホームページの制作
HP:https://buzz-factory.info/
※株式会社 BUZZ FACTORYは、株式会社BUZZ GROUP(東京都港区、代表取締役:渡辺憲)のグループ会社です。