産まれる前、母のお腹の中で羊水に包まれ、重力を殆ど感じずに過ごした空間。誰しもが本能的にその感覚を憶えているという。無意識に求め続けているのだという。
このたびのショコラは、素材たちが何にも囚われず、まるで自由そのものに身を委ねるかのようにゆったりと美しく漂うのが特徴的。
マリアージュの妙技によって、あの『ひとのはじまり』という浮遊空間に似た感覚へと辿り着いたのだ。
小山進がCHOCOLOGY 2024に込めた想い
僕はふわふわと浮く、心地よい感覚がとても好きです。それはきっと、産まれる前に過ごしたお母さんのお腹のなかの記憶(浮遊していた体験)が本能に刻まれているからだと思います。
しかし、その時の感情は決して取り戻すことができません。心地良さの理由が「ほぼ無重力の空間だった」という以外に、嫉妬や劣等感など何にも囚われていない、抜力した生き心地でもあったと思うからです。年を重ねていくうちに、嫉妬や劣等感など、様々な感情を知るようになります。それらは時に自己成長のきっかけを与えてくれる一方で、事実としては苦しい場面もあるでしょう。
しかし、このショコラをお召し上がりいただく時間だけは、そんな感情からも解放されてほしい。そんなひとときを贈りたいです。
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小山 進 Koyama Susumu
1964年京都生まれ。2003年、兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」を開業。2022年に開催されたフランスのショコラコンクール「C.C.C.」では11度の最高位を獲得。2019年には「世界のトップ・オブ・トップ ショコラティエ100」のうちの一人として表彰を受ける。
また、パティシエ/ショコラティエとしての領域に留まらず創作活動を行い、これまでに絵本『The Lost Treasure』(双葉社)『ビートルくんときんいろのバウム』『ショコラータはかせとしあわせのボンボンショコラ』(共にフレーベル館)を出版。エスコヤマの世界観を通じて、お菓子づくりだけでなく、モノづくりを多面的に発信している。
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PATISSIER eS KOYAMA
2003年、兵庫県三田市に開業。1,500坪の敷地にはパン、チョコレートなどの専門店の他、お菓子教室やギフトサロンも併設。敷地内を漂うお菓子の香りや、四季折々で表情を変えるお庭の草花、点在するユニークな姿の銅人形など、五感で楽しめる空間を展開。「The Sweet Trick(お菓子でいたずら)」をコンセプトに、驚きと喜びをお菓子に吹き込み、小さいお子様からお年を召された方まで幅広い世代のお客様に美味しさと楽しさを届けている。