歌舞伎の舞台を撮影し、映画館で楽しむ“シネマ歌舞伎”。シネマ歌舞伎『怪談 牡丹燈籠』が12月12日(木)まで全国33館で上映中です(東劇のみ26日(木)までの上映)。
この度、落語家の三遊亭わん丈氏登壇のトーク付き上映会を開催いたしました。
年間1500席の高座に上がり、古典落語、自作落語の両方で多くの受賞歴を誇る人気若手落語家の三遊亭わん丈氏は、今年春、落語協会12年ぶり16人抜きで真打昇進。一門の師匠筋にあたる円朝の「牡丹燈籠」に意欲的に取り組み、全編 通し にも挑戦し好評を博しています。
観客の拍手の中登壇したわん丈は、まず、落語で通してやると20~30時間かかるほどの、全22章にも及ぶ一大巨編である「牡丹燈籠」について、奇数の章では武士のかたき討ちから始まる物語が軸になる一方、偶数の章では伴蔵とお峰の貧乏夫婦がのし上がっていく物語が描かれていると解説。
落語では、この偶数章を抜き出して演じられることが多く、「なんとかタダで酒を飲めないかというような庶民の安っぽい欲望を叶えるおかしみを描くのが落語。そういう点で、伴蔵夫婦が一番落語にしやすい。奇数軸の方を演じるには、色気が必要で、色気を持ち合わせた人は落語家になんかなれない!歌舞伎だからできるんです。」
また、シネマ歌舞伎で登場する、坂東三津五郎演じる三遊亭円朝について、「あんなにかっこいい落語家はいない!高座に出て、湯呑にお湯を注いで飲んでから話し出すんですが、普通は楽屋でやってこい、となるところを、三津五郎さんの美しい所作だから持つ、見ていられるんです」と落語家ならではの感想も。
最後には、自身の師匠や弟子に恵まれず不遇だった円朝のエピソードと共に「人間関係に揉まれに揉まれた人だった。だから、幽霊より生きている人間の方が怖いと言いたかったのでは。それがこの作品に描かれていると思う。ぜひ原作、落語、歌舞伎の3つそれぞれを見比べて楽しんほしい」と語りました。