「いじめや人権、話し合おう、変えていこう。Changers(チェンジャーズ)」は、授業づくりの専門家と各界のクリエイターが共同で開発した無料教材プロジェクトです。この度、同プロジェクトが提供する教材の累計ダウンロード数が24,050件となり、多くの教育現場での活用が進んでいることが明らかになりました(集計期間:2022年4月1日~2024年10月31日)。
WEBサイト: https://wearechangers.jp
YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/channel/UCrP-zzSxh0NxgsLxDao-Tjg/
X(旧Twitter):https://x.com/wearechangersjp
「いじめや人権、話し合おう、変えていこう。Changers」は、教育現場でのいじめや人権問題に焦点を当て、児童生徒と大人が対話を深めるための教材を提供してきました。様々なテーマで描かれた多様なマンガ教材は、全国の学校、家庭、地域で広く活用されています。2024年10月末時点で、24,050件ものダウンロードを記録し、教育現場での大きな反響を呼んでいます。
このプロジェクトでは、いじめや人権に関するリアリティのあるシナリオをもとに、子どもたちが多様な視点から議論できる教材を開発しています。特に、マンガ形式の教材は子どもたちの興味を引き、短時間で対話を促す効果が高いと評価されています。また、GIGAスクール構想に対応したデジタル教材として、PDFやパワーポイントファイル、動画なども提供されており、オンライン授業にも対応可能です。
これからも、「Changers」では新しい教材の開発と無料公開を継続し、いじめや人権問題に関する教育を支援してまいります。教育関係者や家庭での活用が広がることで、社会全体がこの問題に向き合うきっかけを提供していきます。
教材例
≪教材No.001 いじめといじり、どう違う?(作者:古本ゆうや)≫
動画URL: https://youtu.be/vOcCBTb8i_w
教材詳細URL: https://wearechangers.jp/comic/01.php
≪教材No.005 白熱するオンラインゲーム(作者:宮尾和孝)≫
動画URL: https://youtu.be/8eilnAIQOuo
教材詳細URL:https://wearechangers.jp/comic/05.php
■利用者の声
下大澤 翔吾先生 千葉県市原市立石塚小学校
「SOSの出し方に関する教育」の一環として、授業を行いました。この授業では、事前に保護者からのアンケートを実施し、「もしこのようなことが自分の子供に起こり、相談されたらどんな言葉をかけてあげたいですか?」という質問に回答してもらいました。授業では、登場人物の心情を丁寧に扱い、考え方は人それぞれ違うということを理解しながら、自分自身が苦しい状況をどのように変えることができるかについて考えました。授業の終盤では、保護者からのアンケートの一部を紹介し、相談することで解決の糸口を見つけることができることを児童たちに気づかせました。
山崎 智子先生 千葉県旭市立干潟小学校教員
CHNGERSは、道徳科や学活の時間に活用しています。どの教材も子どもたちにとって身近な問題を扱っており、「今」、そして「これから」を生きる子どもたちに考えさせたい内容です。どこにでも起こりうるいじめ。自分ではそのつもりはないけれど、相手の立場になって考えることで「これっていじめかもしれない」ということに気付くことができます。また、短時間で見ることができ、話し合いの時間を十分とることができます。
古谷 成司先生 NPO法人企業教育研究会 授業開発研究員
この教材は身近によくあるような出来事をもとに、葛藤が生まれやすい内容で構成されているため、教材の世界に容易に入ることができ、自分事として考えることができるので誰もが自分の考えをもつことができます。そして、意見が一方に偏るということが少なく、多様な意見が生まれやすいので、活発な話し合いになることがほとんどです。また、数分のアニメ教材なので個人で考える時間や話し合いにかける時間を多く取ることができ、まさしく考え・議論する道徳にもってこいの教材です。
柏市教育委員会
柏市では,全国的な傾向と同様,いじめや不登校が増加しています。「Changers」は,身近に起こりうる内容でありながら,学校の教育課程では,なかなか学ぶ機会がない題材を扱っており,人権教育の視点から「いじめ」や「SOSの出し方」等について学べる教材です。子どもが親しみやすいアニメ動画による導入や,身近な内容により葛藤が生まれやすいこと,また,教員にとっても指導案がダウンロードできるよさがあります。子どもたちが「Changers」になれるよう活用の推進を図ってまいります。
四日市市教育委委員会
本市では、令和6年度より、Changersで発信されている教材を活用し、いじめ予防教育を推進する、「Changersプロジェクト」を始めました。令和6年度はプロジェクト第1弾として、数校の小学校6年生で、4作品を週1作品のペースで1カ月にわたり実践し、効果を検証する取り組みを行っております。どの作品も、どの学級でも起こりうるような身近なエピソードで構成されていることから、多様な意見がたくさん出て、自分たちの学級にあてはめて考えることができます。今後は市内全校が、各校の課題に応じた作品を選択、実践するとともに、現場の先生方と連携し、新しい教材開発も行っていきたいと考えております。
「いじめや人権、話し合おう、変えていこう。Changers」概要
本教材シリーズは、1作品が4〜8コマのマンガで構成されています。マンガの作者は作品ごとに異なります。学校や家庭、地域などさまざまな場所で活用いただけるよう、動画教材(YouTube)と静止画教材(パワーポイント)、PDF、イラスト画像(jpeg)、モデル指導案やマンガ台本を無料公開いたします。教材はダウンロードも可能なので、児童生徒の学校支給端末でも閲覧可能です。
またモデル指導案を掲載しておりますが、柔軟に授業を展開でき、クラスや子どもたちの実態に合わせ、話し合いが深められます。1つの教材の中に、複数の問題が描かれており、主人公以外の視点から議論をすることが可能です。道徳科、特別活動、総合的な学習の時間など、様々な教科・活動で活用できます。
■なぜこの問題に取り組むのか
文部科学省の調査(*1)によると、令和5年度のいじめの重大事態の発生件数は1,306件となりました。社会全体でいじめ防止対策が推進されているとはいえ、まだまだ苦しむ子どもの数は後を絶ちません。いじめは、固定化された人間関係や集団の中で生じる独自のルールやノリから発生していると考えられています。学校のような閉ざされた人間関係の中では、相手が悪いからいじめてもいい、いじめても相手が苦痛を感じていないと考える等、いじめや差別が正当化されてしまうことがあります。
そこで私たちは、教育の専門家とクリエイターとともに無料で公開するマンガ教材を開発する本プロジェクトを立ち上げました。善悪がはっきりしない状況や、つい見落とされがちな繊細な問題を積極的に取り上げ、リアリティのある物語として描いたマンガ教材を開発し、無料で公開いたします。
本教材を通じて、さまざまな大人と子どもが関わり、話し合う機会が生まれることで、学校と社会との風通しがよくなると私たちは考えています。そして、固定化された集団や教室でつくられる理不尽な「当たり前」に、子どもたち自身が気づき、一人一人がチェンジャーズとなり、いじめや差別が起こる環境を変えていくことを願っています。
*1 令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_1_2.pdf
■授業づくりの専門家とはどんな人たちか
今回、既存の教育の形にこだわらず、先端的な授業のあり方を模索し研究を行っている千葉大学教育学部教授の藤川大祐先生と、敬愛大学教育学部准教授の阿部学先生に監修・作品制作に参加していただきました。藤川先生、阿部先生は、従来の教科教育の授業開発だけでなく、現状の学校教育では取り上げられにくいテーマや、取り上げたとしてもこれまで十分な教育効果が生まれていない分野に関する授業の開発にも取り組まれています。また、学校での、いじめ問題の解決にも長年取り組み、人権問題を考えるための教材開発、授業実践も積極的に行っています。
■なぜクリエイターが参加しているのか
「いじめや人権、話し合おう、変えていこう。Changers(チェンジャーズ)」は、教育関係者だけでなく、子どもを大切に思うすべての方が参画し、社会を、世界を変えていくプロジェクトです。今回この取り組みに対し、マンガ作家やイラストレーター、編集者、映像ディレクター、デザイナーなど多くのクリエイターの方に賛同いただき、実現することができました。マンガと映像の制作には303BOOKS株式会社が全面的に協力しています。
■なぜ新しい教材をつくるのか
本プロジェクトで開発する作品のテーマには、例えば以下のようなものがあります。
・いじめといじりはどう違うのか
・自分のSNSなら何を書いてもいいのか
・男女で遊んじゃいけないのか
・オンラインゲームでトラブルが起こるのは仕方ないのか
・部活動では嫌なことも我慢しないといけないのか
上記のような学校生活の中で日々起こっている事柄について、私たちは現職の先生や当事者に取材をし、一つ一つストーリーをつくりました。
いじめや人権について深く話し合うためには、これまでの教材では描かれなかった善悪がはっきりしない状況や、つい見落とされがちな繊細な問題を取り上げたリアリティのある教材をつくる必要があります。これまでの教材ではリアリティあるテーマを扱ったものが少ないという学校現場の強い要望を受け、今回新たな教材を開発しました。
■マンガ的な手法の教材が有効である
従来の道徳教育では、教科書を活用し、比較的長い文章を読解した後に、問いに答える形式が中心となっています。しかしこの形式では、児童生徒によって読み終えるスピードや理解力が異なるため、読解に時間がかかり対話や議論の時間を十分に確保できない傾向があります。
現在、文部科学省により「考え、議論する道徳」を行うことが推奨されている現状を踏まえ、私たちは2〜3分で内容や論点がすべての子どもに理解できるマンガ形式の教材を開発しました。そして内容の理解や作品への興味関心を高めるため、子ども向けのコンテンツをつくるプロフェッショナルであるマンガ作家やイラストレーター、編集者、映像ディレクター、デザイナーが参加し、人物の心情や人間関係がリアルな作品をつくりました。開発後、検証授業を複数の学校で行いましたが、ねらい通り、対話の時間がたっぷり確保でき、活発な議論が生まれる授業になっていました。
■なぜ無料で提供するのか
本プロジェクトで開発された教材をきっかけに、子どもたちが学級や学校を越えて、さまざまな人たちといじめ、人権をテーマに対話を行ってほしいと考えています。そこで多くの方が活用しやすいよう無料で提供することにしました。学校の授業はもちろん、家庭での学習や様々なワークショップなど、これまでになかった場所でも議論が生まれることを願っています。
■なぜデジタル教材を開発したのか
GIGAスクールの時代に対応した教育コンテンツとして、動画及び静止画のデジタル教材として開発しました。動画を使った教室での授業はもちろん、オンライン授業など動画を使いづらい状況でも、PDFやパワーポイントファイルなど問題なく授業が進行ができる教材を用意しました。
■検証授業の様子(プレスキット)
※以下の素材は自由にお使いください
■チェンジャーズメンバー
青山 郁子 都留文科大学国際教育学科 教授
安部 孝志 303BOOKS ディレクター
阿部 学 敬愛大学教育学部 准教授
上園 雄太 野田市公立小学校 教諭
岡野 健人 千葉大学大学院教育学研究科 修士課程
小熊 雅子 303BOOKS 編集者
郡司 日奈乃 千葉大学大学院人文公共学府博士 後期課程 1年
後藤 律子 浦安市立公立小学校 教諭
下大澤 翔吾 市原市立石塚小学校 教諭
谷山 大三郎 スタンドバイ株式会社 代表取締役
常松 心平 303BOOKS 代表取締役、編集者
中村 理沙子 千葉県松戸市立馬橋小学校 教諭
橋本 佑樹 スタンドバイ株式会社
平山 靖 帝京科学大学 助教
藤川 大祐 千葉大学教育学部 学部長・教授
古谷 成司 NPO法人企業教育研究会 授業開発研究員、千葉大学教育学部非常勤講師
山崎 智子 千葉県旭市立 干潟小学校 教諭
山本 理恵 千葉県東金市立 東中学校
横山 紗衣莉 株式会社ポプラ社 IP事業グループ コンテンツビジネスユニット
和田 恵吾 元柏市立土小学校 教諭