学校における読書バリアフリーの実践例をはじめてまとめた『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩 学校図書館10の事例』を刊行いたします。編著者は、全国学校図書館協議会理事長を務める専修大学文学部教授・野口武悟氏です。読書バリアフリーとは何か、学校で読書バリアフリーを推進するためのポイント、学校図書館での具体的な事例などを、豊富な資料と写真を用いてフルカラーでご紹介! さらに、学校現場ならではの疑問や課題に即したQ&Aも掲載するなど、学校に寄り添い、教職員の皆さんの取り組みを後押しする内容になっています。読書バリアフリーの理論と実践が学べ、学校の読書バリアフリー導入の”はじめの一歩”を踏み出すことのできる1冊です。
■なぜ読書バリアフリーが必要なのか
多くの人が普段何気なく見ている書籍や雑誌ですが、その実、誰もが享受できているわけではありません。例えば視覚に障がいを持った人は、主に点字図書や録音図書を用いて読書をしますが、点字を併記した、または、点訳した書籍や雑誌はまだまだ少ないのが現状です。近年、文字を読み上げてくれるオーディオブックなど、印刷されたもの以外で文字に触れる環境が出てきてはいますが、それでも活字との格差は歴然とあります。読書は、すべての人に開かれたものである必要があります。そこで読書環境を改善するために、2019年6月に読書バリアフリー法(「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」)が施行されました。しかし、5年が経った今でも環境整備が進んだとは言いがたく、改善が叫ばれているのが現状です。
■学校の読書バリアフリーをはじめるための最適な入門書!
学校図書館における「読書バリアフリー」の状況は、公共図書館等と比較しても整備が遅れています。その背景として、学校現場で「そもそも読書バリアフリーとは何か」「具体的にどのようなアクションを起こせばよいか」が十分に理解されていないことが挙げられます。
本書は、読書バリアフリーとは何か、学校で読書バリアフリーを推進するためのポイント、学校図書館での具体的な読書バリアフリーの事例などを、豊富な資料と写真を用いてフルカラーでご紹介します。さらに、学校現場ならではの疑問や課題に即したQ&Aも掲載するなど、学校に寄り添い、教職員の皆さんの取り組みを後押しする内容になっています。読書バリアフリーの理論と実践が学べ、学校の読書バリアフリー導入のための”はじめの一歩”を踏み出すことができる1冊です。
■『ハンチバック』で芥川賞を受賞した作家・市川沙央氏も推薦!
「みんなが読める」を理想で終わらせない!
現場のとりくみが教えてくれる、読む楽しみに導かれた子どもたちの喜びと可能性の大きさ。
一人でも多くの子どもに「読めた」の笑顔を。 ――市川沙央
■本書の構成
第1章 学校における「読書バリアフリー」とは
読書バリアフリーの基本と現状を学びつつ、その状況を打破するための方法を提示。
第2章 事例でわかる!学校図書館の「読書バリアフリー」
実際の事例を参考に、具体的な取り組み方を説き、実践する上でのポイントを解説。
第3章 Q&Aでわかる!学校の「読書バリアフリー」
読書バリアフリーに取り組むにあたって直面しがちな疑問をQ&A方式で掲載。
>>1冊を通じて、理論と実践方法を学ぶことができ、導入にあたってのヒントが得られます!
■本書で取り上げる実践(一部抜粋)
実際に学校図書館で取り組まれている例を参照しながら、どのように読書のバリアフリー化を進めていけばいいのか、そのはじめの一歩への足掛かりを説いていきます。
■目次
はじめに
第1章 学校における「読書バリアフリー」とは
急がれる、読みたくても読めない「本の飢餓」の解消
知って・生かそう「読書バリアフリー法」
高まる「読書バリアフリー」へのニーズ
読みたいに応える環境づくり①読書補助具・支援機器の整備
読みたいに応える環境づくり②「バリアフリー図書」の整備
読みたいに応える環境づくり③図書館活動・サービスの提供/体制づくりと連携
column1 見る、聞く、さわる……。読書のカタチを選べる「バリアフリー図書」/坂本康久(オーテピア高知声と点字の図書館前館長、現副主幹)
第2章 事例でわかる!学校図書館の「読書バリアフリー」
事例1 学校図書館経由で国会図書館から1人1台端末へ貸し出しが可能に/井上賞子(島根県安来市立荒島小学校教諭)
事例2 学校全体で取り組む多様な子どもがいることを前提とした読書バリアフリー~インクルーシブに向かうプロセスとして~/森村美和子(東京都狛江市立狛江第三小学校指導教諭)
事例3 子どものニーズに応じた読書環境づくり~聴覚障害・病弱・視覚障害の子への実践例~/松田ひとみ(鹿児島県霧島市立国分中学校講師)
事例4 どの子も図書館に行きたくなる仕掛け/伊達深雪(京都府立丹後緑風高等学校久美浜学舎 学校図書館司書)
事例5 学校図書館を活用した授業改善/土井美香子(NPO 法人ガリレオ工房 東京都外部専門員)
事例6 知的障害と肢体不自由のある児童生徒の読書習慣づくり/生井恭子(東京都立鹿本学園主任教諭)
事例7 チームで行う図書館運営/福島美菜子(元島根県立出雲養護学校校長、島根大学教育学研究科特任教授)、伊藤翔太(島根県立出雲養護学校教諭 図書情報部長)
事例8 多様な読書環境と新しい「バリアフリー図書」の提案/三宅治朗(前岐阜県立可茂特別支援学校教諭 司書教諭、現岐阜県立岐阜清流高等特別支援学校教諭 司書教諭)
事例9 墨字生と点字生、一緒に学ぶ環境で読書ニーズに応える学校図書館/冨澤亨子(筑波大学附属視覚特別支援学校教諭)
事例10 その子の読みやすさ・読む力に合わせたバリアフリー図書の制作と提供/野口豊子(横浜市立盲特別支援学校図書館運営員)
column2 国立国会図書館の読書バリアフリーの取り組み/本田麻衣子(国立国会図書館 関西館 図書館協力課 課長補佐)
column3 日本点字図書館の教育機関との連携を中心とした取り組み/岩渕百世・吉永真唯・柴崎修平(日本点字図書館利用サービス部 図書情報課)
第3章 Q&Aでわかる!学校の「読書バリアフリー」
Q1 他の子とは違う方法で読書をすることについて、周囲にどのように説明すればいいでしょうか。多様な読書の方法があることをどう伝えたらいいでしょうか。
Q2 予算的にさまざまな種類のバリアフリー図書を揃えることが難しいのですが、なにかよい方法はありませんか。
Q3 お金も人も限られているなかで、環境整備をどう進めたらいいでしょうか。
Q4 「視覚障害者等」に該当する児童生徒に提供するために、 学校図書館で所蔵している図書や資料を著作権者の許可なしで、複製することは、可能でしょうか。
Q5 申請する際に、学校図書館からは具体的にどのような書類を提出するのでしょうか。
Q6 教材などの点字データ、DAISY データ、テキストデータ等の学校間での共有の仕組みはできないでしょうか。
Q7 そもそも、「視覚障害者等」とはどのような状態の人のことでしょうか。
Q8 読みに困難のある児童生徒がいることをどのように証明するのでしょうか。
Q9 外国にルーツのある日本語指導を受けている児童生徒に著作権法第37条第3項により複製されたマルチメディアDAISY図書を利用させてもいいでしょうか。
Q10 知的障害の特別支援学校高等部や高等特別支援学校の生徒には、マルチメディアDAISY図書の利用は適さないのではないでしょうか。
Q11 障害のある児童生徒に応じた読み聞かせの方法を教えてください。
Q12 ロービジョン(弱視)の児童生徒が楽しめる読み聞かせ方法を教えてください。
Q13 スマホ、タブレットが普及する現代において、改めて「読書バリアフリー」をどう考えるといいでしょうか。
おわりに
■編著者プロフィール
野口武悟(のぐち・たけのり)
専修大学文学部教授。公益社団法人全国学校図書館協議会理事長。放送大学客員教授。筑波大学大学院博士課程修了、博士(図書館情報学)。図書館情報学を専門とし、読書バリアフリー、障害者サービス、子どもの読書活動、電子図書館などを研究している。現在、文部科学省図書館・学校図書館の運営の充実に関する有識者会議委員、同省視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会委員、NPO ブックスタート理事、日本特別ニーズ教育学会理事などを務める。著書に『読書バリアフリーの世界 大活字本と電子書籍の普及と活用』(三和書籍)他多数。
■書誌情報・ご購入
『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩
学校図書館10の事例』
編著:野口武悟
ISBN:978-4-7619-3040-0
書籍仕様:A5・152ページ・フルカラー
定価:2,970円(税込)
学事出版オンラインストア:https://www.gakuji.co.jp/book/b10106932.html
Amazon:https://amzn.asia/d/1gKNAC8
■会社概要
会社名:学事出版株式会社
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事業内容:教育関連図書・教材の出版
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