日清オイリオグループ株式会社(社長:久野 貴久)は、「日清オイリオグループビジョン2030」の 6つの重点領域において「すべての人の健康」を掲げ、脂質栄養の知見を軸とした商品・サービスを提供することによって、人々の生涯にわたり、活力のある健康的な生活に貢献することを目指しています。
このたび、これまで欧州を中心に認められていた、オリーブオイルに含まれるポリフェノール(オリーブオイルポリフェノール)の低密度リポタンパク(LDL)の酸化を抑制する機能が、日本人においても発揮されることを明らかにしました。LDLの酸化は、動脈硬化症を進行させる要因の一つであることが知られており、本研究結果はオリーブオイルポリフェノールの健康機能が日本人でも有効なことを示すものとなります。この成果は、2024年10月1日にオンライン国際科学雑誌「Nutrients」に掲載されました。
【研究の背景と目的】
オリーブオイルは、健康的な食事として知られている地中海食の主要な食用油であることから、その健康機能に関して、欧州を中心に数多くの研究が実施されてきました。その中で、オリーブオイルポリフェノールについて、動脈硬化症の進展に関与するLDLの酸化を抑制することが報告されています。一方で、これまで日本人を対象にオリーブオイルポリフェノールのLDL酸化抑制機能を評価した大規模な臨床試験は実施されておらず、日本人に対しても同様の機能を発揮するかは不明でした。そこで、日本人を対象としたオリーブオイルポリフェノールのLDL酸化抑制機能を評価する臨床試験を実施しました。
【研究の方法】
35~64歳の健康な日本人男性80名を対象とし、ランダム化二重盲検クロスオーバー試験※1を実施しました。1日あたり14gのエキストラバージンオリーブオイル(オリーブオイルポリフェノールを5.0mg含む)を3週間継続して摂取した後の血中酸化LDLを測定し、精製オリーブオイル(オリーブオイルポリフェノールを0.3mg含む)摂取後の血中酸化LDLと比較しました。
【研究の結果】
最終的に試験を完了した77名の全体集団のデータを解析した結果、特に35~50歳の集団でオリーブオイルポリフェノール摂取による有意なLDL酸化抑制機能が認められました。
※1 ランダム化二重盲検クロスオーバー試験:
臨床試験のデザインの一つです。「ランダム化」とは、被験者を無作為にグループに割り当てることを意味します。これにより、偶然により生じるバイアスを減らすことができます。「二重盲検」とは、被験者と研究者の両方がどの試験食を摂取しているかを分からないようにすることを意味します。これにより、研究者の意識的あるいは無意識的なバイアスを排除することができます。「クロスオーバー」とは、被験者が複数の試験食を順番に摂取することを意味します。たとえば、グループAは最初に試験食Aを摂取し、一定期間後に試験食Bに切り替えます。一方、グループBは最初に試験食Bを摂取し、一定期間後に試験食Aに切り替えます。これにより、被験者間の個人差を考慮しながら、試験食の効果を比較することができます。
【掲載雑誌】
論文タイトル:Age-Related Effects of Olive Oil Polyphenol Ingestion on Oxidation of Low-Density Lipoprotein in Healthy Japanese Men: A Randomized Controlled Double-Blind Crossover Trial
著者:Shogo Tsujino, Shohei Sadamitsu, Naohisa Nosaka, Tatsuya Fushimi, Yoshimi Kishimoto and Kazuo Kondo (辻野祥伍1、定光翔平1、野坂直久1、伏見達也1、岸本良美2、近藤和雄3 [1. 日清オイリオグループ(株)、2. 摂南大学、3.お茶の水女子大学])
雑誌:Nutrients, 16, 3342 (2024)
~ “早摘みグリーンオリーブ”とポリフェノール ~
“早摘みグリーンオリーブ”は、熟したオリーブよりもポリフェノールを多く含みます。
オリーブオイルに含まれるポリフェノールの量は、品種や産地によっても異なりますが、収穫時のオリーブ果実の成熟具合によって異なることが知られています。ポリフェノールは果実の成長とともに増加し、黒紫色へ熟していくと減少していく傾向があります。
ポリフェノールは苦み・辛みの成分であり、適度な辛みは、スパイスのようにお料理をおいしく仕上げます。