名古屋大学准教授で、象徴天皇制の研究で著名な河西秀哉氏の新刊『皇室とメディア――「権威」と「消費」をめぐる一五〇年史』(新潮選書)が、新潮社より12月16日(月)に発売されます。
近代に新聞が登場して以降、ラジオやテレビも加わったメディアは、皇室に関して、時に「権威」の代弁者を務め、時に「人間」として擁護し、時には商業主義から「消費」に走ったり、バッシングすらおこなう場面もありました。
なぜこのような「3つの軸」の間を揺れ動くのか? 本書は変転する報道の知られざる内幕を、明治から令和まで150年にわたる具体例を通して紹介する稀有な論考です。
今後も継承問題などで関心の的であり続ける皇室と、SNSも含めて私たちの声を反映し代表するメディアとの関係を考えるうえで必読の一冊です。
■本書の目次より
はじめに
第1章 大衆社会の成立と天皇制
第2章 天皇制はいかに維持されたのか
第3章 皇太子ブームからミッチー・ブームへ
第4章 「権威」側からの逆襲
第5章 「象徴」を模索する
第6章 「自粛」の構造
第7章 「開かれた皇室」と反発
第8章 「平成流」の定着
おわりに
(以上、本書「目次」より)
■著者の言葉
メディアとともに象徴天皇制はあり、あるときは協調とも言える関係を築き、象徴天皇制に対する支持・尊敬を集める媒体ともなりつつ、あるときは緊張関係によってバッシングすら展開する媒体ともなった。では、その関係性は具体的にはどのように構築されてきたのか。本書はそれを明らかにすることを目的とする。新聞、月刊誌、週刊誌、ラジオ、テレビ、そしてSNSなどのメディアの特性にも気をつけながら、歴史的なあゆみを見ていきたい。(以上、本書「はじめに」より)
■著者紹介:河西秀哉(かわにし・ひでや)
1977年、愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(歴史学)。名古屋大学大学院人文学研究科准教授。著書に『「象徴天皇」の戦後史』(講談社選書メチエ)、『皇居の近現代史 開かれた皇室像の誕生』(吉川弘文館)、『近代天皇制から象徴天皇制へ 「象徴」への道程』(吉田書店)など。編著に『戦後史のなかの象徴天皇制』(吉田書店)、『平成の天皇制とは何か 制度と個人のはざまで』(共編、岩波書店)、『昭和天皇拝謁記 初代宮内庁長官田島道治の記録』(共編、岩波書店)など。
■書籍データ
【タイトル】皇室とメディア――「権威」と「消費」をめぐる一五〇年史
【著者名】河西秀哉
【発売日】2024年12月16日(月)
【造本】新潮選書(四六判変型ソフトカバー)
【本体定価】2,090円(税込)
【ISBN】978-4-10-603919-5