秋田市在住のコレクター 油谷満夫さん(90歳)が収集する50万点を超える膨大な民具等の1000分の1程度を倉庫から取り出し、アーティストや市民ボランティアによる分類整理と、多様な分野の専門家らとともに価値を検証するプロジェクト「1/1000油谷コレクション」の一環として、モノを残すことの価値を問うアーカイブ研究会を開催します。
高齢化や人口減少の進展とともに、モノのアーカイブそのものが困難になっています。
私たちはなぜ残すのか。そして、何を、どうやって、どこに残していくことができるのか。公と民、リアルとデジタルなど、さまざまな境界や領域を横断してアーカイブにかかわる取組みを実践する専門家とともに、これからのアーカイブの可能性について議論します。
本研究会は、2024年から当法人が主催するプロジェクト「1/1000油谷コレクション」の一環として開催。同プロジェクトは、秋田市在住のコレクター 油谷満夫さん(90歳)が収集する50万点を超える膨大な民具等の1000分の1程度を倉庫から取り出し、アーティストや市民ボランティアによる分類整理と、多様な分野の専門家らとともに価値を検証する試みとして、監修にキュレーターの服部浩之を迎え、アーティストの藤浩志、國政サトシが参加して行っています。シンポジウム会場では、7月につづき第2回目となる分類整理活動を同時開催します。
モノを残すことの価値を問うアーカイブ研究会
日時: 2025年1月25日(土)13:30~17:00 ※参加費無料、要事前予約
会場: 秋田市文化創造館(秋田市千秋明徳町3-16)
登壇者: 神野善治(武蔵野美術大学 名誉教授、日本民具学会 会長)、佐藤知久(京都市立芸術大学芸術資源研究センター 専任研究員/准教授)、施井泰平(スタートバーン株式会社 代表取締役)、寺田鮎美(東京大学総合研究博物館インターメディアテク学術研究部門 特任准教授)、西村環希(株式 会社PlanetLabs PlanetDAO Founder)、服部浩之(東京藝術大学大学院 准教授、国際芸術センター青森 館長)
主催: 秋田公立美術大学有志(國政サトシ、藤浩志、高橋卓久真)、NPO法人アーツセンターあきた
助成: 公益財団法人小笠原敏晶記念財団 交流助成
プログラム
13:30-13:40 |
主催者あいさつ |
13:40-14:25 |
基調講演「民具を残すことについて」 神野善治(武蔵野美術大学 名誉教授、日本民具学会 会長) |
14:25-15:25 |
事例紹介 ・佐藤知久(京都市立芸術大学芸術資源研究センター 専任研究員/准教授) ・施井泰平(スタートバーン株式会社 代表取締役) ・寺田鮎美 (東京大学総合研究博物館インターメディアテク学術研究部門 特任准教授) ・西村環希(株式 会社PlanetLabs PlanetDAO Founder) |
15:25-15:35 |
休憩 |
15:35-16:45 |
ディスカッション ・モデレーター 服部浩之(東京藝術大学大学院 准教授、国際芸術センター青森 館長) |
16:45-17:00 |
閉会あいさつ |
登壇者プロフィール
神野善治 Yoshiharu Kamino
武蔵野美術大学 名誉教授、日本民具学会 会長
『人形道祖神 境界神の原像』(白水社 1996)で「第37回柳田國男賞」受賞。主な著書に『くらしの造形 手のかたち・手のちから』武蔵野美術大学出版局 2019年、『木霊論 家・船・橋の民俗』白水社 2000年ほか多数。
佐藤知久 Tomohisa Sato
京都市立芸術大学芸術資源センター 専任研究員/准教授
1967年生まれ。京都大学文学部哲学科(哲学専攻)卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。京都文教大学人間学部文化人類学科専任講師、同総合社会学部総合社会学科准教授等を経て、2017年度より現職。日本文化人類学会会員。
施井泰平 Taihei Shii
現代美術家、スタートバーン株式会社 代表取締役、株式会社Art Beat 代表取締役
多摩美術大学卒業後「インターネットの時代のアート」をテーマに美術制作を開始。2014年、東京大学大学院在学中にスタートバーン株式会社を起業し、アート作品の信頼性担保と価値継承を支えるインフラを提供。
現在はTokyo Art Beatの代表、東京大学生産技術研究所リサーチフェローを兼任。主な著書に平凡社新書『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』がある。
寺田鮎美 Ayumi Terada
東京大学総合研究博物館インターメディアテク学術研究部門 特任准教授
専門は芸術学・博物館学。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了、政策研究大学大学院博士課程修了、博士(文化政策研究)。大学博物館のコレクション活用、空間・展示デザイン、用者コミュニケーション等に関する新たな博物館モデルを提案し、多くの人が文化や学術知を享受し、さらにそれを創造活動につなげていくことに貢献する研究を目指している。
西村環希 Tamaki Nishimura
株式会社Planet Labs PlanetDAO Founder
大学在学時より株式会社ガイアックスにて訪日旅行者向けツアーガイドのプラットフォームの運営やイベントショー事業の責任者を担う。2022年よりクリプトに将来性を感じ、web3特化シェアオフィス「CryptoBase」をオープン。2024年、日本初の株式会社型DAOによる歴史的建造物への小口投資プロジェクト「PlanetDAO」を創業。
服部浩之 Hiroyuki Hattori
キュレーター、東京藝術大学大学院 准教授、国際芸術センター青森館長
1978年愛知県生まれ。建築を学んだのちに、アートセンターなど様々な現場でアーティストの創作の場をつくり、ひらく活動に携わる。アジアの同時代の表現活動を研究し、多様な表現者との協働を軸にしたプロジェクトを展開。主な企画に、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」。「200年をたがやす」全体監修。
申込方法
ウェブフォーム、電話またはE-mailのいずれかにより、事前に申し込みをお願いいたします。
https://forms.gle/F5qoSC645ip9zVyD8
NPO法人アーツセンターあきた
TEL 018-888-8137 (受付時間: 平日9:00~17:00)
E-mail program@artscenter-akita.jp
油谷満夫について
昭和9年、秋田県横手市生まれ。県立大曲農学校卒。昭和25年から民具の収集を始める。昭和54年から13年間、角館町「青柳家」に「民具の館」を開き、「平鹿町農村文化伝承館」の主任に就く。その後、秋田県湯沢市秋の宮温泉郷に秋乃宮博物館を平成4年に開館。(平成22年閉館)。平成24年4月「特定非営利活動法人 油谷これくしょん」を設立。
・秋田市油谷これくしょん
https://aburaya-collection.or.jp/
プロジェクト「1/1000油谷コレクション」について
油谷満夫さん(90歳)が収集する50万点を超える膨大な民具等の1000分の1程度を倉庫から取り出し、アーティストや市民ボランティアによる分類整理と、多様な分野の専門家らとともに価値を検証する試みとして、2024年にスタート。これまでに、分類整理活動(7月1日~12日)、活動記録集「油谷帖」の制作、「油谷さんと話す会」(10月から月1回定期開催)を、いずれも秋田市文化創造館を会場に開催している。
7月の分類整理活動には、延べ80人の市民ボランティアが参加した。
2025年1月20日~1月26日には第2回目となる分類整理活動を開催する。
・これまでの活動のアーカイブはこちら。