ティファニーは、1912年に製造した歴史的な懐中時計を記録的な価格で落札したことを発表しました。英国で開催されたオークションにおいてティファニーが197万ドルで落札したこの18Kゴールド製の懐中時計は、タイタニック号の遺品としては過去最高額となります。
このティファニーのウォッチは、1912年4月にタイタニック号が処女航海中に氷山に衝突して沈没した際、700人近い乗客とともに彼女たちを救った客船カルパシア号の船長アーサー・H・ロストロン船長(後にサー)に感謝の意を込めて、マデリーン・タルメージ・アスター夫人、マリアン・ロングストレス・セイヤー夫人、エレノア・エルキンズ・ワイディーナー夫人の3人の著名な女性から、贈られたものです。
ティファニー・アーカイブに所蔵されている台帳には、3人の女性のうちのひとりG・D・ワイディーナー夫人がこのウォッチを購入したことが記されています。ウォッチには、「1912年4月15日、タイタニック号の生存者3名より、心からの感謝と敬意を込めてロストロン船長に贈呈。ジョン・B・セイヤー夫人、ジョン・ジェイコブ・アスター夫人、ジョージ・D・ワイディーナー夫人」の言葉が刻まれており、ケースバックには船長のイニシャル「AHR」がエナメル モノグラムで記されています。
ウォッチは、アスター夫人がニューヨークシティの邸宅で主催した昼食会でロストロン船長に贈られました。タイタニック号の生存者仲間たちが集まった親密かつ有意義な会として、当時の地元紙で報道されました。
「ティファニーのジュエリーやオブジェは、19世紀半ば以来、世界のラグジュアリーの礎となってきました。ロストロン船長の懐中時計は、感謝の気持ちを表現した素晴らしいアイテムであり、この特別な宝物を再びティファニーに迎えることができて、身の引き締まる思いです。」ティファニーのクリエイティブ ビジュアル マーチャンダイジング、イベント及びアーカイブを統括するヴァイスプレジデントのクリストファー・ヤングはこのように述べています。
「タイタニック号に乗船していたすべての人たちには語られるべき物語があります。私たちは彼らの思い出の品を通して、100年の歳月を経た物語を語っているのです。このウォッチはアーサー・ロストロン卿の勇気と、タイタニック号で最も大きな影響力をもっていた3人の男性の未亡人らから彼への敬意の証です。ティファニーがこのピースを販売してから112年後にティファ二-が買い取ったという事実は、一つの物語が完結し、この時計が故郷に帰ってきたことを示しています。」今回この時計のオークションを主催したオークションハウス、ヘンリー・アルドリッジ・アンド・サンのマネージング・ディレクター、アンドリュー・オルドリッジ氏はこのように述べています。
この懐中時計は、ウォッチとクロックの小売りをスタートさせた1847年まで遡るティファニーが誇る時計製造の遺産を象徴する重要なシンボルです。1874年に、ジュネーブの中心部にマニュファクチュ-ルを設立したティファニーは、さまざまな複雑機構を備え、エナメルやエングレービング、ジェムストーンなど豪華な装飾が施されたウォッチを製造しました。今回、ロストロン船長の懐中時計を入手したことで、ティファニーが長年受け継いできた、愛や永遠の絆を称える遺産をさらに高めるものとなりました。