ライブレポート
ラブソングを中心とした等身大の楽曲で共感を呼んでいるシンガーソングライター、MACOのワンマンライブ『MACO~MY LIFE, MY LOVE LIVE 2024~』が、12月15日に科学技術館 サイエンスホールにて開催された。
今年の5月には所属事務所からの独立を発表し、約半年の休養期間を経て活動を再開させたMACO。約2年半ぶりのライブとのことでチケットは早々にソールドアウトとなり、運よく駆けつけられたファンが彼女の第2章の始まりを温かく見守った。
本公演のコンセプトは「私の人生は愛で出来ている」。独立をきっかけに「これが最後の人生でいいな」と思えるターンに突入したMACOが、愛の伝道師となり音楽でラブパワーを届けていくという構想だ。セットリストには恋愛にまつわる楽曲がたくさん盛り込まれ、ラブソングの女王たる風格を漂わせた。
ミニ丈の白いワンピースに黒のジャケットという大人ガーリーな衣装で、ステージに登場。「Don’t You Know I Love You」を投下し、威勢よくライブを封切った。久しぶりのステージだというのに、堂々たるパフォーマンスは全く緊張を感じさせない。そればかりか、観客に「もっと手をあげて!」と声をかけ、率先して会場を盛り上げていく。出だしから何度も“I love you”と伝えぬき、今回のテーマが愛であることを香らせた。
「恋人同士」では“今日は久しぶりのデートだから”のフレーズを“今日は久しぶりのライブだったね”にアレンジ。ふたりのダンサーと一緒に踊りながら、伸び伸びと可憐な歌声を響かせる。「夢見る私を笑わないで」になると、瞬時におねだり上手なイットガールのモードへ。曲を跨ぐごとに、愛にまつわるいろんな表情を魅せていく。とはいえ、どんなときでも一本の芯が通っているのが、MACOの魅力のひとつ。“笑わないで”と歌詞を紡ぎながら、ふいに「ハハハ」と笑ってしまう姿は、眩しいほどに自然体だった。
MCタイムに突入するやいなや、たくさんの「おかえり!」がMACOを包みこんだ。歓声を嬉しそうに受け取ると「この日をMACOにくれて、どうもありがとうございます。声を出してほしいの。発声練習してこいって言ったよね、ファンクラブで」と強気に挨拶。「誰のライブを観に来たの?」と問いかけ「MACOちゃん!」を引き出すと、「その通り。Exactly!」と満足気にほほ笑んだ。
その後も「7月7日の今夜」や「under the rose」、「人間活動の80%」と軽やかなポップチューンを展開。「マフラー」から始まったバラードのターンでは、言葉ひとつひとつを手渡すように豊潤な歌声を響かせていく。曲のなかで描かれている感情にのめりこみすぎず、ちょうどいい距離感でストーリーテリングをしてくれるMACO。だからこそ、各々のなかで彼女の描く音楽が反芻し続けるのだろう。舞台へ吸いこまれるように、うっとりと美声に身を預けるオーディエンスの姿が印象的だった。
後半パートに入ると、黒のラグランTシャツにピンクのデニムを合わせたカジュアルスタイルにチェンジ。「朝もお昼も夢の中も」を爽やかに歌い上げ、ボーイッシュな一面をのぞかせる。「交換日記」では盛大なクラップが巻き起こり、「YU-RA YURA」では“ゆらゆら”の大合唱。前半以上に客席を巻きこみ、一体感ある公演を作り上げていく。
MCでは「日本はいろんな呪いに縛られすぎね」と切り出し、胸中に秘めた想いを真っすぐに語り始めた。「何歳までに結婚するとか何かを成し遂げるとか、縛られすぎじゃない? もっと自由で良くない? って思う。10年前はね、右も左も上も下もわからなかったから、MCで「MACOの曲を聴いて恋をしてない人にも恋をしたいと思ってもらえたらいいな」ってよく言ってたの。でも、今は0.1mmも思ってない。恋なんて別にしなくていいよ。MACOの曲を聴いて「いい歌だな。なんか胸が震えるな」って、思ってもらえるだけでいいの。自分が信じた道をいけばいい。恋でも愛でも夢でも友情でも、男でも女でもそうでない人でも、なんでもいいの。だから今日は、ラブソングだけではない。この曲を歌いにきたといっても過言ではない」と。そうして導かれたのは、心はずっと自由でいいと謳う「タイムリミット」。ポップで軽快なサウンドに乗せて刻まれる言葉は、パワフルな意志がこめられていて力強い。虹色に煌めく照明は、未来への希望を示しているようだった。
感慨深そうに「全部決まっていたことだな、本当に」と口にし、場内へ視線を配るMACO。続けて「こんなに幸せな時間を過ごせるのは、最初から決まっていたんだなって思う。今年は超大変だったんだけど、みんなのおかげで全部報われました」と語ると、ラストソングとなる「運命」をドロップした。穏やかな声は、桜の花びらのようにヒラヒラと、それぞれの心に舞い落ちる。淡い桃色の光に包まれながら、音楽を通して愛を伝達したのだった。
本編終了からほどなくして、ファンによる「LOVE」のシンガロンに導かれる形で、アンコールへ。黒のミニスカートにピンクのTシャツというコーディネートで舞い戻ると、“照れくさいけど みんなが好きよ”と「LOVE」を歌唱。「MY LIFE, MY LOVE」ではキュートな振り付けを初披露し、ハッピーな一夜を結んだのだった。
(Text by: 坂井彩花)
◆MACO 10/30リリース「MY LIFE, MY LOVE」リリース情報
◆作品情報
アーティスト名:MACO
タイトル:MY LIFE, MY LOVE(マイ・ライフ、マイ・ラヴ)
リリース日:2024年10月30日(水)
形態:ストリーミング&ダウンロード
クレジット:
Lyrics by MACO
Composed by Shu Inui(ONEly Inc.), MACO, Tana.H
Produced by EIGO(ONEly Inc.)
Co-Produced & Arranged by Shu Inui(ONEly Inc.)
Recording Engineer Chloe(ONEly Inc.)
Mixed by Haruhito Nishi(ONEly Inc.)
Recorded and Mixed at ONEly Recording Studio
Mastered by Maor Appelbaum at Maor Appelbaum Mastering – California – U.S.A
Label:PROJECT ASTERI (プロジェクト・アステリ)
<MACO>プロフィール
1991年5月10日生まれ、北海道函館市出身のシンガーソングライター。
2014年、テイラー・スウィフト「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない~ We Are Never Ever Getting Back Together」の <テイラー公認> 日本語カバーをきっかけに注目を集め、第29回日本ゴールドディスク大賞の新人 部門を受賞。2015年、1stアルバム『FIRST KISS』がレコチョクで総合1位&オリコン最高5位を記録するとSNS を 中心に話題を集めるようになり、YouTube の総再生回数が日本人アーティスト最速で1億回を突破。2018年、デ ビュー5周年を祝して初のベストアルバム『BEST LOVE MACO』を発表。各ストリーミングアルバムチャートで1 位、オリコン週間ランキングでも6位にランクインを果たした。さらに、同年のツアーでは国内に加えて台湾と上海 でアジア公演も開催。2019年には全国11都市を周るアコースティックワンマンツアー「My Acoustic Tour 2019-2020」を発表すると、全公演がSOLD OUTして人気の高さを証明した。
2020年にはAbemaTV ドラマ『僕だけが17歳の世界で』に、オリジナル曲「桜の木の下」とレミオロメンのカバー「3 月9日」の2曲が挿入歌として同時起用される快挙を達成すると、「Endless Love Tour」と題した、月に一度のライ ブ配信を行うなど、コロナ禍においてもファンとの積極的なコミュニケーションを続けた。 2023年5月、シングル「さよならもう」をリリース後、事務所を退社。およそ半年の休養期間を経て、活動再開で新 たなチャプターに突入したMACOはファンクラブ「MACO fam+」の設立、12月15日一夜限りのライブ「MY LIFE, MY LOVE LIVE 2024」の開催、さらに独立後第1弾シングル「MY LIFE, MY LOVE」のリリースというファン歓喜の発表が続き、2025年に向けてますます彼女の活躍に期待が集まっている。
◆公式サイト
Project Asteriはロサンゼルスを拠点とした音楽エンターテインメント会社。レーベル兼アーティストマネジメントを 主体として、世界を舞台に活躍を目指すアーティストをサポート。
お問い合わせ先:info@projectasteri.com
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