オウム真理教事件をはじめ、数多の殺人事件や暴力団抗争、凶悪事件を39年にわたり取材してきた「伝説の事件記者」が、セカンドキャリアとして選んだのは「保育の道」だった。
あるとき、虐待で子どもが命を落とした事件を捜査してきた警察官が言った言葉が心に残っていた。「捜査で被害者の無念を晴らすことは出来るけれど、生育環境までは手が回らない」と。
泣いていたら笑わせたい。
困っていたら助けたい。
ひとり立ちできるまでは支えたい。
意を決し、63歳で北九州にある短大の保育学科に入学する。しかし、その道は苦難の連続だった。ピアノが弾けない、読み聞かせれば講談調、童謡はムード歌謡に……。同級生の大半が10代の女性という花園で、角刈り、コワモテの奮闘がはじまる。
本書は、子どもを取り巻く環境を記者の目線で考えるルポであり、同時に、人生経験とキャリアを積んだ者が、新しい環境に飛び込み、世代もバックグラウンドも違う仲間たちと、目標を一つに成長していくセカンドキャリアのエッセイでもあります。
【著者】緒方健二(オガタケンジ)
1958年大分県生まれ。同志社大学文学部卒業、1982年毎日新聞社入社。1988年朝日新聞社入社。西部本社社会部で福岡県警捜査2課(贈収賄、詐欺)・捜査4課(暴力団)担当、東京本社社会部で警視庁警備・公安(過激派、右翼、外事事件、テロ)担当、捜査1課(殺人、誘拐、ハイジャック、立てこもりなど)担当。捜査1課担当時代に地下鉄サリンなど一連のオウム真理教事件、警察庁長官銃撃事件を取材。国税担当の後、警視庁サブキャップ、キャップ(社会部次長)5年、事件担当デスク、警察・事件担当編集委員10年、前橋総局長、組織暴力専門記者。
2021年朝日新聞社退社。2022年4月短期大学保育学科入学、2024年3月卒業。保育士資格、幼稚園教諭免許、こども音楽療育士資格を取得。得意な手遊び歌は「はじまるよ」、好きな童謡は「蛙の夜まわり」、「あめふりくまのこ」。愛唱する子守歌は「浪曲子守唄」。
朝日カルチャーセンターで事件・犯罪講座の講師を務めながら、取材と執筆、講演活動を続けています。「子どもの最善の利益」実現のために何ができるかを模索中です。
はじめに:事件記者、保育士を志す
第一章: 野獣、花園へ迷い込む
第二章: 事件記者の時代
第三章: 短大のなかの個性的な人たち
第四章: 事件記者遊戯
第五章: 現場では子に学ぶ
第六章: 試験にはみんなで勝つ
第七章: 事件記者、保育士になる
おわりに:保育士になった事件記者の現在
タイトル:事件記者、保育士になる
書籍:定価1,760円(本体1,600円)
発売日:2024年12月23日(火)
ISBN:978-4-484-221205
発行:CCCメディアハウス
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電子版:https://amzn.asia/d/iwrK7rE
書籍の発売を記念し、ニューズウィーク日本版YouTubeチャンネルでは緒方さんと長岡編集長による対談動画を公開!事件取材論・メディア論、短大保育学科入学の理由、大学教育のあり方、退職後の人生選択から羽生結弦さんを尊敬する理由まで、様々なテーマについて聞いています。
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