■平安末期に人々の救いの光明となった「お迎え」の思想
主題の「お迎え」の思想とは、極楽往生を願う誰もが、亡くなると阿弥陀仏の救済がもたらされることを説いた浄土教の教理に基づき、臨終を迎えた人を阿弥陀仏が極楽浄土へ連れていくために現れるという思想です。この思想は、日本において、人々の心がすさんでいった平安末期に民衆の救いの光明となったといわれています。しかし時代が下ると「死後の世界は存在しない」という科学的な認識が広まり、極楽往生の思想は、次第に揺らぎ始めました。それに対して著者は、キリスト教、イスラム教、バラモン教、時には哲学の思想を織り交ぜ、信じる者にとっては厳然として「死後は浄土に往くことができる」と訴えます。
■人生の終焉を見つめ直し❝命❞の意味を考える
古代から中世にかけて、多くの民衆から支持されてきた「浄土の教え」は、死後の安穏を説いています。「死に臨んで阿弥陀仏が迎えに来てくれる」という「お迎え」の思想は、現代日本が直面している多死社会や孤独死といった死を取り巻く現状を見つめ直し、命と向き合うことで希望のある穏やかな生き方を示してくれるでしょう。浄土教入門書としても最適な1冊となっています。
【目次】
プロローグ ある禅者の臨終
第一章「考えるな!」
第二章 浄土の誕生
第三章 浄土の存在意義
第四章 極楽浄土の本質
第五章 浄土への往き方
発刊に寄せて
【著者プロフィール】
ひろさちや
1936年(昭和11年)-2022年(令和4年)。大阪市に生まれる。東京大学文学部印度哲学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程修了。1965年から20年間、気象大学校教授をつとめる。退職後、仏教をはじめとする宗教の解説書から、仏教的な生き方を綴るエッセイまで幅広く執筆するとともに、全国各地で講演活動を行う。厖大かつ多様で難解な仏教の教えを、逆説やユーモアを駆使して表現される筆致や語り口は、年齢・性別を超えて好評を博する。おもな著書に『仏教の歴史(全10巻)』『釈迦』『仏陀』『大乗仏教の真実』(以上春秋社)、『お念仏とは何か』『禅がわかる本』(以上新潮選書)、『のんびり、ゆったり、ほどほどに』『生き方、ちょっと変えてみよう』『〈法華経〉の世界』『『法華経』日本語訳』『〈法華経〉の真実』『坐らぬ禅』『〈ゴータマ〉の大予言』(以上佼成出版社)などがある。
【書誌情報】
『「お迎え」の思想――極楽浄土への往き方――』
著者:ひろさちや
発行:佼成出版社
定価:2,200円(税込)
出版年月日:2024/12/15
ISBN:9784333029327
仕様:四六判224ページ
〈紙書籍版〉https://books.kosei-shuppan.co.jp/book/b655872.html
〈電子書籍版〉https://chieumi.com/products/ks0302?variant=43320772460578
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