ケラリーノ・サンドロヴィッチ（以下、KERA）が、『桜の園』演出の成果により、本年度読売演劇大賞の優秀演出家賞に選出された。
2001年に演出を手掛けた『室温〜夜の音楽〜』にて優秀演出家賞を受賞したのが第9回。それ以来、現在に至るまでの24年間にわたり、数々の作品で作品賞や演出家賞を受賞してきた。
同賞の「常連」と評される手腕はますます円熟味を増している。
チェーホフ４大戯曲上演シリーズ、KERA meets CHEKHOV 最終章
KERAは、シス・カンパニーによるチェーホフ４大戯曲の上演シリーズ、KERA meets CHEKHOVに於いてチェーホフ４大戯曲の上演台本・演出に取り組んできた。
2013年『かもめ』、2015年『三人姉妹』、2017年『ワーニャ伯父さん』と次々に上演を重ね、2020年4月の『桜の園』で完結するはずであった。
ところがまだ正体もわからなかったコロナ禍の始まりの時期、初日を目前にして全公演が中止となり、誰もその完成を見ることのない幻の公演となった。
それから4年を経た2024年。改めて『桜の園』の上演が決定し、4年越しの幕がようやく開いた。
４作品に共通して、チェーホフの戯曲を大きく改変することなくリズムや言葉を整えた上演台本と、気を衒わない真っ直ぐな演出を信条としながら、しっかりと「喜劇」として完成させてきたが、その集大成とも言うべき最終章の『桜の園』の演出が大きな評価を受けることとなった。
1月18日付の読売新聞に掲載された記事では
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チェーホフの４大戯曲を手がけてきたシリーズの最後を飾る『桜の園』の演出に、最高点２人を含む３委員の票が集まった。
「笑いのくすぐりを入れながら、滅びの歌を響かせた。階級対立の構図をうまく転がしてＫＥＲＡならではの視点が生きていた」
「演出家としてチェーホフに正面から向き合った」
などとたたえられた。
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と評された。
また、ロパーヒンを演じた荒川良々が優秀男優賞を受賞し、この『桜の園』カンパニーから2人の受賞者が出たことも、作品の評価が大変高かったことを裏付けている。
読売演劇大賞 “常連” の歴史
KERAは読売演劇大賞に於いて、これまで数々の賞を受賞をしている。
第9回 優秀演出家賞 2001年『室温〜夜の音楽〜』の演出にて
第14回 最優秀作品賞 2006年『ヴァージニア・ウルフなんでこわくない？』（演出）
第23回 最優秀作品賞 2015年KERA・MAP『グッドバイ』（作・演出）
優秀演出家賞 2015年KERA・MAP『グッドバイ』の演出にて
第24回 最優秀演出家賞 2016年『8月の家族たち August : Osage County』の演出にて
第26回 最優秀作品賞 2018年ナイロン100℃ 『百年の秘密』（作・演出）
優秀演出家賞 2018年ナイロン100℃ 『百年の秘密』、KERA・MAP『修道女たち』の演出にて
第29回 優秀演出家賞 2021年ケムリ研究室 『砂の女』の演出にて
第34回 優秀演出家賞 2024年 KERA meets CHEKHOV 『桜の園』の演出にて
これからの活躍もますます期待されるところである。
今年はこのあと、ケムリ研究室 『ベイジルタウンの女神』の上演が控えている。
中止になった2020年の『桜の園』の直後に、ケムリ研究室の旗揚げ公演として上演された作品であるが、当時は感染対策のため約半分の客席数におさえての上演となった。
見られなかった多くの観客の声に応え、満を持しての再演となる。
今後のKERAの活動はこちらから
https://www.cubeinc.co.jp/archives/artist/keralinosandorovich
ケムリ研究室vo.4『ベイジルタウンの女神』