今回の展覧会はアーティストのAikiとKaboのグループショーです。Aikiはスケートボードやグラフィティを通じ、路上で時間を過ごしながらフィルム写真を撮影しています。Kaboは自身の拠点の一つである香港で、「あの時のムーブメント後」(※1)の日常を撮影した新作シリーズを発表します。
2人の写真は主にスナップショットで、画角やピントを定めて撮影する作風ではなく、街の中を徘徊しながら直感的にシャッターを切った作品です。写真に映るのは、すすけたドアや壁、夜の闇の中のLEDの光、埃が舞う様子など「日常の断片」であり、都市風景を空間的/具体的に捉えようという写真ではありません。2人の写真はある意味「何も映っていない」のですが、「写真らしさ」を追求することに囚われない透明な視線によって、現代の都市の深層にある情念を浮き立たせます。その情念とは、あらゆるものが情報空間の中に可視化され、監視社会の中で失われつつある「内面的世界が現実を侵食できる理想」です。
また2人は共通して都市を歩き回り、非計画的にシャッターを押し続けることについて強いこだわりを持っています。それは人々の行動を管理し、排除さえ厭わない都市秩序をすり抜け、都市と自らの精神や内面との結びつきを獲得する実践です。誰しもがスマートフォンに大量の写真を抱え込み、批評的な精神無く写真/イメージが反乱する時代において、写真の豊かさを取り戻す抵抗なのだと考えています。
(※1)2014~2019に起こった政治運動の、現在現地で頻繁に用いられている総称。
【開催概要】
タイトル:写真区 PHOTO DISTRICT
作家名:KABO, AIKI
キュレーション:松下徹
日程:2025.3.1 sat. – 3.16 sun.
Open:13:00-19:00 Thu-Sun Closed on Mon, Tue, and Wed
Opening Reception: 3.1 sat.18:00-20:00
会場:HARUKAITO by ISLAND
住所:東京都渋谷区神宮前6-12-9 BLOCK HOUSE 2F
主催:アイランドジャパン株式会社
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Aiki
福島県生まれ。ストリートカルチャーからアクティビズムまで、路上の運動に参加することの延長線上に作品制作を行っている。主な表現は写真や詩、またはZINEなど日常的かつDIYな媒体や素材を用いた作品で、現代におけるアナーキズムの最前線を開拓している新世代のアーティスト。
2021年「水の波紋2021」神宮前 東京
2024年「I will stay for a while I will leave for a while」Galley Factory Tokyo
2024年「left behind from the rhythm of nature」Enzoカメラ
2025年「Kairos」オンライン展示 横浜美術館
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花坊(kabo)
独学で写真を学び、フリーの写真家となる。
1998年香港の映画監督エリックコット氏『ドラゴンヒート』のスチール撮影を担するなど東京、香港にベースを構え、ファッション誌、音楽誌、広告、ミュージックビデオなどで、独自のスタイルを発表し続ける。
2020年原宿のブロックハウスギャラリーで「little hong kong; a little rooftop」展を開催
2021年熱海アートグラントに参加。
2023年Estonia, narvaに2ヶ月間滞在しレジデンス
2024年『Taira rpeTbeinnareTb 第三惑星の秘密』展にてレジデンスの成果発表