公演レポート

【音楽朗読劇「陰陽師」開幕！】豪華声優陣による朗読芝居 × 二胡・ピアノの生演奏！2月21日(金)～24日(月祝)＠よみうり大手町ホール

初日は、前回公演に引き続き安倍晴明役を蒼井翔太、源博雅役を鈴木達央が演じ、「陰陽師」の妖しくも美しい世界観を舞台に描き出した。

ステージ上には、複数の雪洞が灯り、草木が生い茂り、物語の舞台である平安時代を感じさせるセットが並ぶ。二胡とピアノの心地よい音色が響くと、客電が消え、物語の世界へと観客を誘う。

物語は、蒼井が演じる晴明と鈴木が演じる博雅の掛け合いで進んでいく。二人の声音からそれぞれのキャラクターがくっきりと浮かび上がり、そのシーンが浮かんでくるようだ。蒼井の柔らかな声音は、晴明に色気と軽やかさを与え、知性に溢れた人物像を描き出す。一方、鈴木は低音が響く力強い声で、博雅の愚直なまでの真っ直ぐな人柄を感じさせた。

また、鈴木は時に大きなリアクションをして博雅をコミカルに演じ、会場からの笑いを誘った。対する蒼井は、あくまでも飄々とした晴明で博雅に応じ、バディとしてのバランスも抜群。「朗読劇」ならではの絶妙なやりとりで物語を引っ張った。特に4つ目のエピソード「露と答へて」は、二人のキャラクターがより色濃く感じられる、胸に残るエピソードとなっていた。

もちろん、本作の見どころは二人の会話の応酬だけにとどまらない。あやかしたちが織りなす、不気味で哀しい物語はいずれも心に深く刻まれる。晴明と博雅はそうした“事件”の数々をしっかりと解決に導いていくので、後味も良く、スッキリとした気持ちでそれぞれのエピソードに集中できた。

さらに、二胡とピアノによる音楽はもちろんのこと、青や紫、赤を基調とした美しい照明がその世界観を盛り上げ、どっぷりと浸からせてくれたことも印象深い。

晴明と博雅以外のパートを務めた3人のキャスト、田所陽向、井上宝、塙真奈美にも触れておきたい。それぞれのエピソードで複数の役柄を見事に演じ分け、あやかしたちがまるでその場にいるかのように浮かび上がらせた。この朗読劇を語る上でなくてはならない大きな役割を果たしていたのは、間違いなくこの3人の素晴らしい演技だと言える。

公演は、24日（月祝）まで、日替わりキャストで上演中だ。きっとそれぞれのキャスト、組み合わせによってまた違った世界観が作り出されることだろう。ぜひともそうした違いも楽しんでもらいたい。