新潮ミステリー大賞で二礼樹が見事受賞した作品『リストランテ・ヴァンピーリ』。彼の独特なスタイルとストーリー展開が話題だね✨
解説
『リストランテ・ヴァンピーリ』は、新潮ミステリー大賞を受賞した二礼樹の作品で、彼の独特な筆致が光るヴァンパイアミステリーです✨この作品は、緊迫感あふれる展開と個性的なキャラクターたちによって描かれる物語で、読者を引き込みます。選考委員である著名な作家たちからも高い評価を受けており、彼の才能が次世代の文学にどのような影響を与えるのか、期待が高まります。彼自身、音楽活動から文章にシフトした背景があって、それが作品に対する感情豊かなアプローチにもリンクしています。是非一度読んで、その魅力を体験してみてください!📚💖
この記事のポイント!
1. 新潮ミステリー大賞受賞作品
2. 魅力的なキャラクター設定
3. 圧倒的な筆力とストーリーテリング
4. ヴァンパイアをテーマにした斬新な設定
5. 荘厳な世界観と人間の感情の描写
貴志祐介氏、道尾秀介氏、湊かなえ氏を選考委員に迎えた第11回新潮ミステリー大賞受賞作、『リストランテ・ヴァンピーリ』(二礼樹著)が本日、3月19日に新潮社より発売となりました。
日本推理サスペンス大賞、新潮ミステリー倶楽部賞、ホラーサスペンス大賞の遺伝子を受け継いで2014年にスタートした新潮ミステリー大賞。『チェレンコフの眠り』が第35回山本周五郎賞候補となった一條次郎さん。短篇集『#真相をお話しします』が本屋大賞にノミネートされ、今年4月に映画化が決定、累計60万部を突破した結城真一郎さん。『ループ・オブ・ザ・コード』が第36回山本周五郎賞候補となり、『不夜島』で第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉受賞、続く『飽くなき地景』で第46回吉川英治文学新人賞を受賞した荻堂顕さんなど、常に唯一無二の才能を輩出してきました。
記念すべき賞スタートから10周年を迎えた選考会では、全応募作172篇のなかから二礼 樹(にれ・いつき)さんの『リストランテ・ヴァンピーリ』(「悪徳を喰らう」から改題)が大賞に選ばれました。社内で行われた最終候補作を決めるための予備選考会で、満場一致のトップ通過を果たした本作。貴志祐介さん、道尾秀介さん、湊かなえさんが選考委員を務める本選でも、新人離れしたリーダビリティと魅惑的なキャラクター、作品世界をつくりあげる高い筆力に多くの賞賛の声が集まり、圧倒的な強さでぶっちぎりの受賞を勝ち取りました。
卓抜した筆力と世界観を併せ持つ、驚異のヴァンパイアミステリー。弱冠27歳の新鋭の今後に、どうぞご期待ください!
■選考委員、快哉!
・貴志祐介さん
完成度という点で一頭地を抜いていたと思う。相当数の読者を獲得しそうな華もある
・湊かなえさん
リーダビリティが高いうえに、登場人物も魅力的。印象深いセリフもたくさんあって独特な世界観にどっぷり浸かった
・道尾秀介さん
人間の感情や空気の冷たさといった、目に見えないものも上手く描けていて、『文章世界』という言葉を思い出させてくれた。賞創設以来、いままで読んだなかでも最高に面白かった
■ロックと小説が「振り返る値打ちもない不毛で無意味な時間」を変えた
「生まれた場所で死ななくてもいいと知ったのが、いまの人格としての出発点であったような気がします」と語る二礼さんは、97年宮城県生まれの27歳。学生時代は「真昼間からシンナーを吸っている不良が楽しそうに公園を占領しているのを横目に、泣きながら参考書を抱えてスパルタ学習塾に通う」ような日々を過ごしていたという。そんな「振り返る値打ちもない不毛で無意味な時間」が一変したのは10代の頃。地元でロックバンドのギター・ボーカルとして活動していたところ、オーディションを経て、芸能事務所と契約。すぐさま上京を果たす。しかし、そこから順風満帆とはいかず……事務所社長とロック観の違いから大喧嘩の末、移籍先を見つけるより先に退所してしまう。その後は大学に通いながら大道芸の団体に属し、歌や楽器の演奏、マジックやジャグリングやパントマイムを披露するなどしていた。
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「それでも何か(楽曲に代わるものを)作らなければ」と焦っていたところ、突然『音より文字のほうが速い』ということに気付きました。子供じみた価値観で恐縮なのですが、速いものって格好良いですよね。元々音楽も格好良さを求めてやっていたので、自然な流れでベクトルを変えずに文章を書きはじめました。初めての公募投稿は2019年の第6回新潮ミステリー大賞です。選考委員の方々に対しては心からのリスペクトがあったので、「お三方に自分の書いたものを読んでいただければ、一生それを誇りにして生きていけるだろうな」と漠然とした希望を抱いたのを覚えています。
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新潮ミステリー大賞3度目の挑戦となったのが、本作『リストランテ・ヴァンピーリ』。大戦を経験した、とある国家を舞台に人肉料理を供するレストランで、マフィアに殺し屋、そしてヴァンパイアが跋扈する――。外連味溢れる設定と流麗な文章に、魅力的なキャラクター造形が調和した、才気溢れる野心作だ。
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「与えられなかったとしても負けは決まっていない」「まだ取り戻せるぞ」と信じたくて、それを理想や自己満足で終わらせず、目に見える形で証明するべく勝負に出ました。いまはそれほど悲観していませんが、執筆当時は現実が辛く苦しいばかりで本当につまらないと感じていたので、自分のいる場所から一番遠い所の物語を書こう、と思い切ってお伽噺のようなファンタジー寄りの設定にしました。
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■叫び・唸り・がなるようなサウンドを言語化する
投稿時の執筆は、構想の期間も含めておよそ10ヶ月。最終的には第20稿を越えていた。転職をしたばかりで、終業後に朦朧としながらパソコンに向かっていた時期もあるという。
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とにかく関心を奪った状態で走り続けなければならない、と執筆中はロックンロールの精神を常に意識していました。「でかい岩が崖を削り砕きながら凄まじい速さでごろごろ転がっていく」みたいなイメージでいるのですが、そういう勢いと迫力をどう出していくか。叫びというか、唸り声というか、がなり立てるようなサウンドを言語化していったら、そこからは絶対に目が離せないはずだと思ったんです。そうやって展開や台詞で焚きつけていくと同時に、「退屈な文が3行続いたら皆もう読むのを止めてしまう」くらいの気持ちで、徹底的に無駄を排除しました。
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そして、迎えた選考会。圧倒的な強さで受賞を勝ち取った。
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どこにもいられず社会から脱落していったはずれ者たちが、自分で行く先を決め居場所を獲得していく。その過程は綺麗でも洗練されてもいないかもしれませんが、ロックスターが掻き鳴らすギターは傷だらけのほうが魅力的ですし、リストランテの従業員にも殺人鬼や吸血鬼が紛れ込んでいるほうがきっと楽しいでしょう。厨房を覗きにくるような気分でページを開いていただければと思います。いつか決断を下すときの手助けとなるような一冊として、読んでくださる方たちの思い出に残ることができれば嬉しいです。
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■あらすじ
食材として冷凍されていた男が生き返り、おれは咬まれ、殺されかけたわけだけど、冷静に考えるに最初から仕組まれていたんだ──。銀翼戦争後の北の街を、解体師のオズヴァルドと美少年ルカ、白髪の殺し屋エヴェリスたちが駆ける! 驚異の筆力と世界観で、選考会をぶっちぎりで勝ち上がった圧倒的ヴァンパイアミステリー。
■著者紹介:二礼樹(ニレ イツキ)
1997年、宮城県仙台市出身。現在は東京都に在住。法政大学経営学部卒。プログラミング学習塾での講師を経て、自動車・金融系企業にシステムエンジニアとして勤務。2024年、『悪徳を喰らう』(『リストランテ・ヴァンピーリ』に改題)で「第11回新潮ミステリー大賞」を受賞。25年1月に「逸神」(「小説新潮」2月号)を発表。
■書籍データ
【タイトル】リストランテ・ヴァンピーリ
【著者名】二礼樹
【造本】四六判(272ページ)
【定価】1,870円(税込)
【発売日】2025年3月19日
【ISBN】978-4-10-356161-3