國分功一郎さんの新刊『中動態の世界』が文庫化!📚 この本では人間の自由と責任を深く探求していて、読者からの評価も高いんです!
解説
『中動態の世界 意志と責任の考古学』は、國分功一郎が提唱する新しい哲学の視点が詰まった本です✨。「中動態」という失われた文法カテゴリーを通じて、私たちの行動や思考の自由を再考させてくれる内容になっています。📖他者や自分との関係性を新たに感じさせてくれるこの書籍は、哲学だけでなく、日常生活にも役立つ思考の道筋を示してくれますよ!ぜひ手に取ってみてください。
3月28日、國分功一郎氏の『中動態の世界 意志と責任の考古学』を新潮文庫より刊行します。刊行に際し、各界から絶賛の声が届きました!
能動でも受動でもない“中動態”という失われた概念を軸に、言葉に規定されてしまう人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求めた本書は単行本刊行時から大きな話題を呼びました。
同じく新潮文庫から刊行された『暇と退屈の倫理学』は累計40万部を突破。哲学書として異例の売行きが話題となっています。
■『中動態の世界 意志と責任の考古学』とは
本書は2017年、「シリーズ ケアをひらく」として医学書院より刊行された哲学書です。刊行当時より大きな話題を呼び、紀伊國屋じんぶん大賞2018、第16回小林秀雄賞を受賞しました。
依存症当事者との対話から、普段私たちの思考が能動/受動の対立に強く縛られていることに注目した著者は、歴史からひっそりと姿を消した“中動態”を手がかりに、私たちの思考の可能性を条件づける「する」と「される」の外側へと目を向けます。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める新たな時代の哲学書がこの度、待望の文庫化です。
■各界から絶賛の声続々!
-
濱口竜介氏( 映画監督/『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』監督・脚本など)
「中動態」を知って以降、撮影現場で起きていることの捉え方が変わった。
他者を、自己を、道具のように使用することに抵抗するために、この本は世界の見え方を一新させる。
-
伊藤亜紗氏(美学者・作家/『どもる体』『目の見えない人は世界をどう見ているのか』など著書多数)
國分功一郎『中動態の世界』は、「中動態」というインド=ヨーロッパ語族の失われた文法カテゴリーを発掘しながらも、いわゆる言語学の領域を超えて、世界の新しい見方、つまり「中動態的な見方」を教えてくれる哲学の本である。
(『精神看護』2017年7月号 中動態の歌――書論『中動態の世界』より)
-
斎藤哲也さん(紀伊國屋じんぶん大賞2018 一般推薦コメントより)
さながら推理小説のように展開される、中動態の謎を解く旅を堪能した。「自由を追求することは自由意志を認めることではない」という一節は、自由論にとっても大変な示唆を含んでいる。
-
山本貴光さん(紀伊國屋じんぶん大賞2018 一般推薦コメントより)
「する」でも「される」でもない行為のあり方を示唆する中動態。失われたこの態を求めて、言語学と哲学の交わるところで遂行される思考の考古学のおもしろさ! 一読三嘆、言語観ばかりか世界の見え方も変わるに違いない。
-
橋本亮二さん(紀伊國屋じんぶん大賞2018 一般推薦コメントより)
『暇と退屈の倫理学』から5年半……「する」「される」の起源を論考した本書。意志、責任、秩序。言語により規定される思考。自身の内面/外面から生じる依存症の治癒にも可能性を開く、「中動態」から見える景色だ。
■刊行にあたって――著者・國分功一郎さんのコメント
難しいと思ったら飛ばす!
あとで、あるいは、いつか読めばいいのです。
大切なのは自分なりの「中動態」のイメージをつかむことです。
毎日の生活の中に、ある時の思い出の中に、必ず、「中動態」を通じてよりよく理解できるものがあるはずです。
■ノーベル賞作家のハン・ガン氏も注目。”失われた態”「中動態」とは
おそらくほとんどの人が学校教育において教わってきた能動と受動という文法。しかし私たちが当然のことと認識している能動と受動という対立はかつて存在せず、インド=ヨーロッパ語では能動態と“中動態”という対立が記述されていました。例えば「誰かを好きになる」という文章。これは能動でしょうか。それとも受動でしょうか。誰かを好きになろうとしたわけでもなければ、誰かを好きになるよう強いられたわけでもありません。このように自分が「する」と人に「される」しか認めない言葉はこんなありふれた日常事を説明することすら出来ません。ただこのような事象は能動と“中動”の対立を使えばいともたやすく説明することが出来ます。
この中動態という文法は、2024年にノーベル賞を受賞したハン・ガン氏の『ギリシャ語の時間』(晶文社/2017年)でも言及されており、現代社会を生きていくうえで重要なテーマとなっています。
■「責任とは何か」文庫版補遺を収録
今回の文庫化に当たり、補遺「なぜ免責が引責を可能にするのか──責任と帰責性」を新たに収録しました。著者が単行本では「意志」と比較し、大きく踏み込むことがなかったと語る「責任」という概念。単行本を刊行してから多くの人と対話を交わしたことで得たヒントを活かし、新たに「責任」について論じています。そもそも責任とは何か。“責任を負う”とはどういうことなのか。意志と責任が結びつくことで生まれる現代社会の歪みを指摘した、時代を画する責任論となっています。
■哲学書として異例の売行きを果たした『暇と退屈の倫理学』
『暇と退屈の倫理学』文庫版は2022年1月の刊行以降部数を伸ばし続け、累計40万部を突破。20~40代の方々を中心に、普段は哲学書を手に取らない読者からも広く支持されました。
現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を紐解いた本書は、哲学書として異例の売行きを見せ、2022年、2023年と2年連続、「東大・京大で一番読まれた本」となったことでも話題となりました。
(※東大生協本郷・駒場書籍部両店、京大生協ショップルネ書籍コーナーにて2022年、2023年共に文庫1月~12月実績で1位を獲得)
■書籍内容紹介文
誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。
■著者紹介:國分功一郎(こくぶん・こういちろう)
1974(昭和49)年生れ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2025(令和7)年1月現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学。’17(平成29)年、『中動態の世界』で小林秀雄賞を受賞。著書に『暇と退屈の倫理学』、『ドゥルーズの哲学原理』、『近代政治哲学』、『スピノザ――読む人の肖像』、『目的への抵抗』、『手段からの解放』、『〈責任〉の生成——中動態と当事者研究』(熊谷晋一郎と共著)ほか。
■書籍データ
【タイトル】中動態の世界 意志と責任の考古学
【著者名】國分功一郎
【発売日】3月28日(金)
【造本】文庫
【定価】990円(税込)
【ISBN】978-4-10-103542-0