公示地価と実勢価格の違いや、その背後にある法令についてわかりやすく解説!土地の評価が難しい人もこれを読めば安心✨
解説
不動産の評価方法や、価格の違いを理解することは不動産取引において非常に重要です🏡。公示地価、基準地価、実勢価格など、それぞれが何を意味し、どう活用されるのか詳しく解説します。この知識を持つことで、より良い不動産取引が可能になるでしょう!それに加えて、贈与税や相続税についても抑えておくことが大切です💰。
この記事のポイント!
1.公示地価は国土交通省が発表する土地の価格で、毎年3月に更新される。
2.実勢価格は市場で実際に取引される価格で、需給関係で変動する。
3.基準地価は都道府県が公表し、公示地価を補完する役割がある。
4.路線価は相続税評価額で、土地の税金計算において重要。
5.固定資産税評価額は各自治体が出す、固定資産税計算の基準となる価格。
詳細は、「令和7年 地価公示の概要」をご参照ください。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000444.html
さて、本記事では、公的機関から公表される公示地価(価格)・基準地価(価格)・路線価など土地の価格を示す指標の概要や実勢価格との関係性などについてみていきましょう。
一物五価(いちぶつごか)
図1のとおり、「公示地価(価格)」は国土交通省、「基準地価(価格)」は都道府県、「路線価(相続税評価額)」は国税庁、「固定資産税評価額」は自治体というように、それぞれ不動産に価値をつける主体が異なっていることから、私たちはさまざまな土地についての価格(地価)の発表を目にしています。
一つの土地に5つの異なる価格が存在するのはなぜ?違いは?
①「実勢価格」
また需要のあるエリアでは、公的機関から公表される地価(価格)よりも高い価格で取引されたり、人口減少が続く地方などのエリアでは、低い価格で取引されることもあります。
つまり、不動産の価格は需要と供給の関係で決まるため「定価」というものがなく、
②「公示地価(価格)」
なお、「地価公示」という用語は、この公示地価を公表する制度そのものを指します。つまり、公示地価は「地価公示によって示される土地価格」という位置づけになります。
③「基準地価(価格)」
④「相続税評価額(路線価)」
⑤「固定資産税評価額」
図2の画像は課税明細書の一例(マンションの場合)となります。
各価格の関係
まず、「公示地価(価格)」と「基準地価(価格)」は評価手法が類似しているため同水準となることが多いです。
つぎに、「路線価(相続税評価額)」は「公示地価(価格)」の概ね80%となります。
さらに、「固定資産税評価額」は「公示地価(価格)」の概ね70%となります。
さいごに、「実勢価格」は「公示地価(価格)」の概ね110%となります。
5つの価格(一物五価)の違いを図にすると以下の通りとなります。
「公示地価(価格)」や「基準地価(価格)」、「路線価(相続税評価額)」とかけ離れた金額での不動産を売買すると贈与税が発生する
しかし、この原理を悪用して意図的に納税義務を回避する行為は、脱税行為に該当します。
例えば、遺産相続に伴う相続税を過度に減少させる以下のような行為が挙げられます。
• 親が所有する1億円相当の土地を100万円で子どもに売却する
これらは、公的に評価された土地の価値から大きく逸脱した価格で売買契約を締結することにより、本来発生するべき相続税の負担を軽減しようとする違法行為です。
このような行為は“みなし贈与”と呼ばれ、財産の価値に応じた贈与税が課されます。
上記は親子間での“みなし贈与”の例ですが、過去の判例においては第三者間での取引においても“みなし贈与”と認定されたケースがあります。
相続税に関連する法律(相続税法第7条)では、財産の譲渡が贈与と見なされる場合について、以下のように規定されています。
“第七条 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。”
まとめ
不動産会社に従事している人や士業の人などでない限り、相続や贈与、土地の売買などにより土地評価額を確認するとなった時、ほとんどの人が混乱してしまうと思います。まずは各価格の違いを理解し、使用目的を明確にして、適切な価格を使用するようにしてください。
贈与税や相続税などを計算したい場合には、税額の基準となる「路線価(相続税評価額)」や「固定資産税評価額」を確認するとよいでしょう。固定資産税を知りたい場合には、「固定資産税評価額」です。
また、需要と供給の関係に左右されず公正に判断されている土地価格を知りたい場合には、「公示地価(価格)」「基準地価(価格)」を確認しましょう。
さいごに、「実勢価格」を知りたい場合には、「公示地価(価格)」や「基準地価(価格)」からも推測できますが、土地の価格は形状や接道状況などの影響も受けるため、不動産会社による査定を依頼するとよいでしょう。
当社グループでは、不動産売却をご検討中の方のご相談を承っております。
所有している土地や家屋を売りたいと思ったら、ぜひお問い合わせください。
・上記は令和6年10月末時点の適用法令・通達等に基づき記載しております。
・上記事例等は一例であり実際に適用する場合にはご自身が適用要件を満たしているか専門家等にご確認の上適切にご対応頂きますようお願い致します。
・本記事の記載内容にあてはめて適用することを保証するものではありませんのでご留意願います。
監修/大谷 修太(おおたに しゅうた)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士
2012年にみずほ銀行へ入社後、2014年みずほ信託銀行へ出向。
2024年まで相続・事業承継・不動産を専門とするコンサルタントと
して毎年100家族以上のご相談に対応。現在は独立し「相続や事業
承継で経済的に不幸になるご家族を一人でも減らしたい」という理念
のもと、幅広い層の皆さまに最適なソリューションを提供
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