日々進化する伝統工芸の世界🌟KYOTO CRAFTS and DESIGN COMPETITIONで見つけた面白い作品たち、特に学生部門の新しいアプローチに注目です!
解説
KYOTO CRAFTS and DESIGN COMPETITION 2024-2025は、京都の伝統を未来に繋ぐ重要なイベントです!このコンペでは、全国から集まった作品が評価されます。今年の受賞作で特に印象的だったのが「ボンボウニエール」。これはウニの殻を使った可愛らしい器で、茶道の文化や自然との共存をテーマにしています。若い世代から年配の世代まで多様な応募があり、皆が楽しめるイベントです。😊
この記事のポイント!
1. 全国から集まった伝統工芸作品のコンペ。
2. ボンボウニエールはウニを利用したアイデア作品。
3. 学生部門では新たな技術が融合。
4. 受賞作品は伝統文化との結びつきが強い。
5. 審査員の評価も高く、注目のイベント。
京都伝統産業ミュージアム(京都市左京区、運営:株式会社京都産業振興センター)は、2025年3月20日(木・祝)に「KYOTO CRAFTS and DESIGN COMPETITION 2024-2025」表彰式を開催し、受賞作品を発表いたしました。
本コンペティションは、京都ひいては日本の伝統文化・伝統産業を未来に繋ぐことを目的に、「一般部門」および「学生部門」 を設け、全国から応募を募ったものです。今年度は、関東から九州・沖縄まで全国各地から160件の応募が寄せられ、応募者の年齢も18歳から78歳まで幅広い層にわたりました。
このたび、厳正な審査を経て選ばれた受賞作品が決定しましたので、以下の通り発表いたします。
◉ グランプリ:「ボンボウニエール」 株式会社表望堂 島本 恵未 (しまもと めぐみ)
フランスで小さなお菓子を入れるボンボニエールとウニを組み合わせた”ボンボウニエール”。
ウニの殻を漆で強化し、蓋を誂え容器に仕立てました。お菓子入れや一客一亭の茶器、小さな宝箱にもなる可愛い器です。
茶道には見立てという文化があります。桜を雪、紅葉を錦に例えるように、用途の違うものや捨てられるものを茶道具に見立てます。
美しい自然物の形を留める事も漆の仕事の一つ、道具として生まれ変わった姿を愛でて頂ければと思います。
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工芸分野:京漆芸
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使用素材:ウニの殻、漆、麻布、木、金箔
▼ 池坊専宗審査員の講評
この作品には、その愛らしい姿と並べたときのある種コレクター心をくすぐるような楽しみ、そして、ウニという一見縁遠いものを京都の伝統のなかで見立て溶け合わせることの新鮮さを感じました。海の急激な変化という暮らしと結びついた社会課題を物のあり様につなげていった点も、素晴らしいと思います。物としてすべての人の、あるいはすべての目的を満たすことは至難のことですが、一方で実用の効能であったりあるいは時の経過による美しさの移ろいといった側面にも意味を持たせられたら、一層素敵になる余地もあるのではないでしょうか。
▼ 石井聖己審査員の講評
大賞に選ばれたボンボウニエールは、見立てという日本らしい作法でもって、ウニの海洋問題という背景に対してクラフトというアプローチで軽やかに答えていました。海で拾った何気ない素材が少し手を加えることによって工芸的な価値を持ち、全く違う用途とワクワクを与えてくれる素晴らしい作品でした。
◉ 学生部門賞:「御神木皮の御朱印帳」 京都工芸繊維大学大学院 粟竹 知佳 (あわたけ ともか)
京唐紙の技法や質感を残しながら現代のデジタル手法を取り入れることで、日常のプロダクトに昇華する新たな可能性を模索しています。この作品は江戸時代から続く御朱印帳と御神木に着目し、京都の神社を回り御神木の表皮を撮影した後、2Dのデータに変換し、レーザー彫刻で版木を作成しました。表紙にはそれぞれ色紙を使って雲母引(きらびき)をすることで、淡くなった色紙が上品に光を反射し神聖な印象を与えています。
・工芸分野:唐紙
・使用素材:紙
▼ 渡邉ゆかり審査員の講評
伝統工芸とアート 現代の技術と伝統文化が上手に融合した大変興味深い作品でした。伝統工芸の技法を大切にしながら、新しい表現を試みる姿勢が素晴らしいと思いました。
御神木 御朱印 京唐紙 版画技術 全てが日本文化と深く結びついており、この作品を手にすることで文化や歴史、伝統工芸の魅力を学ぶきっかけとなることを願っています。
御神木以外にも、枯山水 山や石 滝 など神様が宿るとされる日本特有の場所で撮影しバリエーションを増やされると良いと思います。
▼ 鈴木修司審査員の講評
製品として、売り物として、とても現実的で可能性を感じるものです。仕入れや企画に長年携わる私から見て、よく考えられた素晴らしい商品(縁起物)になるのではと思います。
◉ オーディエンス賞:「Bombyx Coat」 N’s 1182 前田 雄亮 (まえだ ゆうすけ)
オーディエンス賞は 2月13日~28日の投票期間中に、作品展来場者の一般投票で選ばれた賞です。888票の有効投票のうち本作品は最多の50票を獲得し、オーディエンス賞に選定されました。
西陣織を使用した和洋折衷のコート。
平安時代の装束からインスピレーションを受け日本の伝統衣服にある受け継がれてきたデザイン性と現代生活のデザインを混在させることで伝統工芸ならではのデザインを創造しています。
作品名のBombyxには、カイコ科の真のカイコまたは桑のカイコの属という意味があります。絹を使用した西陣織は長い歴史を経て現在の伝統工芸となりました。多くの職人たちが技術を磨き上げた絹織物製品の最高傑作であるといった意味を込めてこの作品名となりました。
用の美を追求した伝統工芸ブランドN’s 1182の「本物の価値の再定義」であるコンセプトに沿った製品になっています。
・工芸分野:西陣織
・使用素材:西陣織帯地、黒紋付染
◉ 審査員特別賞(6名の審査員が各1作品を選定)
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池坊専宗審査員 選定:「Bon’s」 京都市立芸術大学 柴田 瑞希 (しばた みずき)
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石井聖己審査員 選定:「”裂”rd」 川端デニム製作所 川端 晃 (かわばた あきら)
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上田元治審査員 選定:「CUP CHIRIMEN」 CIJIMU 臼井 勇人 (うすい はやと)
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SHOWKO審査員 選定:「明々」 齋田石材店 齋田 隆朗 (さいだ たかあき)
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鈴木修司審査員 選定:「バクトリア型カクテルボウル」 studio balance 大川 翔吾 (おおかわ しょうご)
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渡邉ゆかり審査員 選定:「Blossom」 しつらへ 藤田 卓也 (ふじた たくや)
◉ 社長賞(主催者による特別賞)
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「御雛」横大路智也、横大路伸子 (よこおおじともや、よこおおじのぶこ)
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「ホログラム」 NIEI (にえい)
主催・概要
KYOTO CRAFTS and DESIGN COMPETITION 「TRADITION for TOMORROW 2024-2025」
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審査員:
池坊 専宗(華道家・写真家)
石井 聖己(SEIKI DESIGN STUDIO)
上田 元治(CCC Art Lab)
SHOWKO(陶芸家/文筆家 SIONE 主宰)
鈴木 修司(ビームスジャパン・シニアクリエイティブディレクター)
渡邉 ゆかり(京都文化商社株式会社)
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賞金:
グランプリ(一般部門)100万円学生部門賞 30万円
オーディエンス賞 10万円
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主催:京都伝統産業ミュージアム(株式会社京都産業振興センター)
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共催: 公益財団法人京都伝統産業交流センター
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後援: 京都新聞、KBS京都
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協力: 京都府、京都市、京都・大学ミュージアム連携
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作品応募期間:2024年9月1日(日)~2024年11月30日(土)23:59
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公式サイト:https://kmtc.jp/tft/
作品展「TRADITION for TOMORROW: KYOTO CRAFTS and DESIGN COMPETITION 2024-2025 展」
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会期: 2025年2月13日(木)〜3月23日(日) 10:00〜18:00(入館は17:30まで)
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会場: 京都伝統産業ミュージアム 企画展示室
(京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 京都市勧業館みやこめっせ 地下1階) -
展示作品数: 85点(書類選考通過作品)