新型モータ技術が空調業界だけでなく、ハイブリッドカーなど新たな分野にも影響を与えるって凄い!💡🚗
解説
ダイキン工業と大阪公立大学が手掛けた革新的なIPMモータは、家庭用エアコンに画期的な省電力技術を導入し、一般社団法人電気学会の顕彰を受けました✨このモータは、高効率だけでなく他業界への応用も可能性を秘めています。エアコンの消費電力を80%も占める圧縮機の効率化が、環境保護にも大きく寄与することが期待されています👍 今後もダイキンは、省エネ技術の進化を続けていくでしょう!🌍
この記事のポイント!
1. エアコン用に開発された高効率リラクタンストルクモータ
2. ダイキンが初めて家庭用エアコンに採用した技術
3. 社会的な貢献が評価され、でんきの礎を受賞
4. 業務用空調機にも展開され、省エネの道を開く
5. 他の業界でも応用が期待される技術
「でんきの礎」は、社会生活に大きな貢献を果たした電気技術の功績をたたえるもので、一般社団法人電気学会が創立120周年記念事業の一環として2008年に設立しました。
今回、エアコン用高効率リラクタンストルク併用希土類磁石モータ(以下、IPMモータ)を世界で初めて家庭用エアコンに採用し、ビル用マルチエアコンなどの業務用空調機にも展開したことで、電力使用量の削減に大きく貢献したことに加えて、空調用途だけでなく産業機器やハイブリッドカー、EVなど、他業界へ省電力技術の可能性を広げたことが評価されました。
エアコンには、冷媒を循環させる圧縮機や風を送り出すファンなどに様々なモータが使われています。IPMモータは、従来のSPMモータ※よりも、消費電力の低減を実現し、快適性を保ちながら省エネ性の高い運転を可能にしました。
国際エネルギー機関(IEA)のレポート「The Future of Cooling」(2018年)では、世界のエアコン稼働台数は、今後30年で約3倍に増加すると予測されています。また、エアコンの消費電力のうち約80%が圧縮機によるものであるため、圧縮機モータの効率をあげることは、エアコンの省エネ性向上に大きく寄与します。
ダイキンは、環境負荷を低減するための革新的な技術を推進しています。今後も省エネ技術の研究開発を続け、より効率的で快適な製品をグローバルに提供していきます。
※表面磁石構造同期電動機。永久磁石をロータ表面に張り付けた形のモータ
受賞技術の概要
永久磁石モータは中心で回転する磁石とその周りにある電磁石で構成されます。電磁石のコイルに電気を流すことで、磁石同士の「引き合う力」と「反発する力」により、回転するという仕組みです。従来のSPMモータは、中心の鉄芯である回転部のまわりに磁石を張り付けていたのに対し、IPMモータは、回転部分に希土類永久磁石を埋め込むことで、より強力な磁力を得ました。また、鉄芯の形状も工夫することで、リラクタンストルク(鉄芯が引き付けられることによる回転力)が増し、高トルク化・効率化を可能にしました。
・エアコンの省電力運転
エアコンでの室温調節は、モータとその回転数を細かく調整する「インバータ」との組み合わせで行われます。エアコンは、立ち上げ時には最大の能力を出すため高速で回転し、設定温度に到達すると、能力を調節するためにモータの回転数を下げて安定運転を行います。エアコン使用時の大半がこの安定運転で、そのときにモータを効率的に稼働させることが、年間の電力消費量に大きく影響します。IPMモータとインバータを組み合わせた制御により、安定運転時の効率向上と能力拡大を行い、省電力運転と快適性を両立しました。
・第18回「でんきの礎」受賞概要
顕彰名称:エアコン用高効率リラクタンストルク併用希土類磁石モータとその省電力運転
顕彰カテゴリー:モノ/こと
顕彰先:ダイキン工業株式会社、大阪公立大学
顕彰理由:
ロータに希土類永久磁石を埋込み、磁石トルクだけでなくリラクタンストルクを併用できるモータと、位置センサレスで電流ベクトル制御を行うインバータ制御技術を組み合わせ、エアコンの快適性と省電力運転を達成した。その後、1996 年に世界で初めて本モータを搭載した家庭用エアコンを実用化した後、ビル用エアコンにも展開し、電力使用量の削減に大きく貢献した。また、産業機器やHEV/EVなど他業界へも省電力技術の方向性を示した。