2025年の総務の展望として、戦略的な役割やAI活用の実態が浮き彫りに!未来の総務像を一緒に見てみましょう💡。
解説
株式会社月刊総務が実施した2025年の総務トレンド調査では、全国の総務担当者から142名の回答が集まりました。調査の結果、約3割の担当者が「戦略総務」を実践している一方で、多くの課題が浮き彫りに。特に「社内コミュニケーション」と「DX」に関しては、解決が求められているテーマです。さらに、多くの人が自分たちの評価についてポジティブに感じている一方、実際のところ評価されにくいという声も聞かれました。これらを踏まえ、業務効率化や評価基準の見直しが喫緊の課題として挙げられています。全体的には、戦略総務という新たな役割に向けて、変革を進める必要性が強調されました💼✨。
この記事のポイント!
1. 総務が目指すべきは「戦略総務」。
2. 最大の課題は社内コミュニケーションとDX。
3. 評価制度が依然として不透明。
4. AIエージェントの活用が進むべきポイント。
5. 業務効率化が急務として求められる。
株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の総務担当者を対象に、2025年の総務のトレンドに関する調査を実施し、142名から回答を得ました。
【調査結果 概要】
・戦略総務を実践しているのは約3割
・課題が多いテーマは「社内コミュニケーション」、2025年の注力テーマは「DX」が最多
・約半数が総務の仕事は正当に評価されていると実感、前回調査から5.9ポイント増
・経営判断において約6割が「総務の影響力がある」、前回調査から12.5ポイント減
・今の総務は「なんでも屋」、2030年の総務は「経営の参謀」「プロフェッショナル集団」を
目指す
・AIエージェントを活用している総務は5.6%
・新卒の初任給と全体的なベアともに、約4割の企業で実施予定
【調査結果 詳細】
■戦略総務を実践しているのは約3割
所属する総務部門は「戦略総務」を実践していると思うか尋ねたところ、実践していると回答したのは約3割でした(n=142)。
<戦略総務とはどんな総務だと思うか/一部抜粋>
・自ら進んで経営層へ提案を行い、企業価値向上に寄与していく者、集団のこと
・会社の経営課題を把握し、経営陣に解決策を提案する役割を担うポジション
・経営陣とは違う視点からリスク回避含め多方面にアンテナを張れるような総務
■課題が多いテーマは「社内コミュニケーション」、2025年の注力テーマは「DX」が最多
課題の多いテーマについて尋ねたところ、「社内コミュニケーション」が52.8%で最も多く、「DX」が47.2%、「コンプライアンス」が42.3%と続きました。一方、2025年に総務として力を入れたいテーマとしては「DX」が32.4%で最多となり、「社内コミュニケーション」が30.3%と続きました(n=142)。
<その他、総務として気になっているテーマ/一部抜粋>
・人材確保
・育児介護休業法の改正
・同一賃金同一労働
・AI活用
<2025年に総務として挑戦してみたいこと/一部抜粋>
・カーボンニュートラル
・オフィスコンシェルジュ
・生成AIの導入
■約半数が総務の仕事は正当に評価されていると実感、前回調査から5.9ポイント増
総務の仕事が正当に評価されているか尋ねたところ、47.2%が「評価されている」と回答し、前年よりややポジティブな改善が見られました(n=142)。
<どうすれば総務の仕事がもっと評価されるようになると思うか/一部抜粋>
・業務の数値化
・成果だけでなく、プロセスや業務に取り組む姿勢も評価の軸に入れる
・総務単体ではなく、経理、人事、法務等、複合的な役割を担う
・そもそも評価されるような部門ではないような気がします。縁の下の力持ち的な気がします
<総務の仕事で不満に思うこと/一部抜粋>
・できてあたりまえと見なされる業務が多く、総じて、減点的な評価になること
・「とりあえず」で仕事を放り投げられる
・給与水準の低さ、キャリアアップのしにくさ
・成長意欲がない(あまり上に上がる部署ではないのであきらめている)
■経営判断において約6割が「総務の影響力がある」、前回調査から12.5ポイント減
経営判断において総務の影響力があると思うか尋ねたところ、「影響がある」と回答した人は64.8%で、前回調査と比較すると、影響があると回答した人が減少しました(n=142)。
■今の総務は「なんでも屋」、2030年の総務は「経営の参謀」「プロフェッショナル集団」を目指す
今の総務は会社にとってどういう立場だと思うか尋ねたところ、「なんでも屋」が70.4%で最多となりました。加えて、2030年に総務は会社にとってどういう立場になっていたいか尋ねたところ、「経営の参謀」と「プロフェッショナル集団」が多い一方で、現在地とのギャップがあることが明らかになりました(n=142)。
■AIエージェントを活用している総務は5.6%
総務の業務でAIエージェントを使用しているか尋ねたところ、活用できている総務は5.6%という結果になりました(n=142)。
※AIエージェント:単なる応答型AIを超え、タスクの計画、実行、結果の評価を自律的に行う能力を備えた、特定のタスクをこなすことに特化したシステム・プログラムを指します。
<AIエージェントは総務のどんな仕事に役立つと思うか/一部抜粋>
・ヘルプデスク機能
・従業員からの相談に自動で答えるチャットボット
・備品の発注のようなルーティン業務
・役員のスケジュール調整
■新卒の初任給と全体的なベアともに、約4割の企業で実施予定
賃上げの予定があるか尋ねたところ、新卒の初任給は37.3%、全体的なベアは41.5%の企業で予定されていることがわかりました(n=142)。
■9割以上の総務が副業をしていない
副業をしているか尋ねたところ、9割以上がしていないことがわかりました(n=142)。
<今後やってみたい副業/一部抜粋>
・セキュリティコンサル
・産業カウンセラー
・SNS関連
・経営全般やDX化のコンサルティング
・経験したことのない職種にチャレンジしたい
■総務専任者は約2割
総務と他の仕事を兼務しているか尋ねたところ、「人事」を兼務している人が約4割で最も多く、「法務」が約3割に続きました。総務専任者は2割にとどまりました(n=142)。
人事:42.3%
法務:36.6%
経理:21.8%
総務専任:21.1%
情報システム:18.3%
広報:13.4%
企画:13.4%
購買:12.0%
秘書:10.6%
営業:4.9%
その他:9.2%
■総評
今回の調査結果から、戦略総務としての役割を果たすためには、総務部門が抱える課題が依然として多いことが明らかになりました。
特に「社内コミュニケーション」と「コンプライアンス」への課題感が根強く、近年の企業によるコンプライアンス事案の多発がその背景にあると考えられます。総務部門として、リスクを軽減するためのコンプライアンス教育や内部統制の強化が急務です。
また、総務部門が正当に評価されているとポジティブな声が増えつつも、評価されにくいという声が引き続き多く上がっている点も見逃せません。日常業務の幅広さや成果が目に見えづらい特性が背景にあり、特に「DX」や「働き方」など、変革が求められるテーマにおいては評価基準の不透明さが課題となっています。評価の仕組みづくりや、貢献を可視化する取り組みが欠かせません。
加えて、業務量の多さに対する不満も依然として根強く、業務効率化の必要性が浮き彫りになりました。総務部門が本来の役割である経営サポートに注力できるよう、業務プロセスの見直しやタスク管理の工夫が求められるでしょう。
■株式会社月刊総務 代表取締役社長 豊田 健一 プロフィール
株式会社月刊総務 代表取締役社長
戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)FOSCの代表理事、(一社)ワークDX推進機構理事、(一社)IT顧問化協会専務理事、日本オムニチャネル協会フェローとして、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。
※「戦略総務」は株式会社月刊総務の登録商標です。
▼メディア実績はこちら
https://www.g-soumu.com/company/message
【調査概要】
調査名称:2025年の総務のトレンドについての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年2月19日〜2025年2月26日
有効回答数:142件
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
■『月刊総務』について
創刊61年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)
■株式会社月刊総務 会社概要
社名:株式会社月刊総務
代表:代表取締役 豊田健一
住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
設立:2018年8月
事業内容:
・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行
・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営
・「総務セミナー」「総務サロン」の主催
・働き方改革関連コンサルティング 等