ポーラ化成工業がプロテアソームの活性が肌の透明感に影響していると発見!これが美容界に与える影響、気になるよね✨
解説
ポーラ・オルビスグループの一員であるポーラ化成工業が行った最新の研究では、表皮細胞におけるプロテアソーム活性の重要性が明らかになりました。この酵素複合体が肌の透明感に深く関わっていることが分かり、シミやくすみなどの肌悩みに影響を及ぼすことが示されたんです!👀プロテアソーム活性が低下すると、色素細胞であるメラノサイトの働きが活発になり、メラニンの産生が増えることが実験で確認されています。📈これにより、美肌を目指すための新たなアプローチが期待されますよ!✨
この記事のポイント!
1. プロテアソームの活性が肌の透明感に影響
2. メラノサイト刺激因子ADMの液性分泌
3. 表皮細胞の重要な機能が保持される
4. シミやくすみ改善への期待
5. 美肌への新たなアプローチが可能に
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、タンパク質分解酵素の複合体である「プロテアソーム」の働きが肌の透明感に関わる可能性を発見しました。
プロテアソーム活性が低下した表皮細胞は、くすみ原因となるメラノサイト活性化因子ADMの発現が増える
表皮細胞の働きは肌状態を大きく左右する
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の三層構造をしていますが、なかでも表面に位置する表皮は肌の水分保持やシミ・くすみなどの色調と深く関係します。乾燥やシミ・くすみといった肌悩みの一因として、表皮細胞の働きの低下が関係していると考えられています。
表皮細胞のプロテアソーム活性が低下するとメラニン色素の産生が過剰に
プロテアソームは、細胞の中で不要になったタンパク質を取り込み分解する酵素の複合体です(補足資料1)。プロテアソーム活性が低下すると細胞分裂をはじめとした細胞の基本的な働きが滞るなど、さまざまな悪影響を及ぼします。
ポーラ化成工業のこれまでの研究では、表皮細胞でプロテアソーム活性が低下すると、表皮自身の重要な働きである水分を保持する働きが弱ってしまうことが分かっています(図1)。一方、表皮細胞は表皮の下層にいる色素細胞(メラノサイト)に指令を与える因子を分泌する役割も担っています。しかし、これに対するプロテアソームの影響は分かっていませんでした。
そこで本研究では、表皮細胞のプロテアソーム活性がメラノサイト刺激因子の産生に及ぼす影響を調べました。細胞実験の結果、表皮細胞でプロテアソーム活性が落ちるとアドレノメジュリン(ADM、補足資料2)というメラノサイト刺激因子の遺伝子発現が活発になることが判明しました(補足資料3)。
実際にプロテアソーム活性が低下した表皮細胞の分泌物をメラノサイトに与えると、黒っぽくなり触手を伸ばす様子が観察されました(図2)。このことは、メラノサイトがメラニン色素をたくさん作り、周りの細胞に受け渡す準備をしていることを示しています。つまり表皮のプロテアソーム活性低下は、シミやくすみにも影響すると考えられます。
皮膚三層のプロテアソーム活性が高ければ複数の肌悩みに同時にアプローチできる可能性
本研究により、表皮におけるプロテアソームの重要性がますます高くなりました。これまでの皮膚のプロテアソーム研究では、すでに真皮や皮下組織でもプロテアソーム活性低下が弾力低下やたるみなどの肌悩みにつながる可能性が示されています(図1)。これらの知見を総合すると、表皮・真皮・皮下組織それぞれの細胞のプロテアソーム活性が高いと、シミやくすみをはじめさまざまな肌悩み改善へつながると期待されます。
【補足資料1】 プロテアソームとは
プロテアソームは細胞の中に存在するタンパク質分解酵素複合体の一つです。不要になったタンパク質にユビキチンという目印が付くと、プロテアソームがユビキチンを認識してそのタンパク質を選択的に内部に取り込み、分解します(図3)。タンパク質が分解されて生じるアミノ酸は生体内で再利用されます(※1)。この働きが鈍り不要なタンパク質が溜まってしまうと、細胞増殖やタンパク質の産生など、細胞にとって基本的な働きが滞るなど、さまざまな悪影響を及ぼします。
ポーラ化成工業では、表皮細胞、真皮線維芽細胞、そして皮下組織の腱細胞のプロテアソーム活性を高める植物エキスを見出しました(※2)。
※1 細胞内の不要なものを分解し再利用する機構として「オートファジー」の存在も知られている。オートファジーは原則として非選択的に起こり、タンパク質以外にミトコンドリアなどの細胞小器官も分解する。
※2 「プロテアソーム活性の低下が表皮、皮下組織の状態を悪化させることを発見 皮膚三層のプロテアソーム活性を高め、健やかな肌へ」(2024年3月13日) https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20240313_1.pdf
【補足資料2】 メラノサイト刺激因子アドレノメジュリン(ADM)
アドレノメジュリン(ADM)はもともと血圧に関わる作用を持つ因子として知られていましたが、ポーラ化成工業の研究によりメラノサイトを刺激し、活性化させる作用も持つことが明らかにされました(※3)。皮膚ではADMは表皮細胞によって分泌されます。ADMを受け取ったメラノサイトはメラニン色素を活発に産生し(図4)、表皮細胞にメラニンを受け渡すための触手の本数を増やします(図5)(※4)。本研究成果は化粧品技術の国際学会のポスター発表部門で最優秀賞を受賞しました(※5)。
※3 「遺伝子研究からシミの一因を発見 メラノサイト活性化因子ADMがメラニン産生量を増加させることを確認」 (2011年09月21日) https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20110921.pdf
※4 「メラノサイト活性化因子ADMの新たな作用を発見するとともに ADMの作用を抑制するエキスを配合したルシノールCXを開発」 (2011年11月22日) https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20111122.pdf
※5 「ポーラ化成工業 世界で唯一の国際的な化粧品技術専門学会 第27回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会でポスター賞を受賞」 (2012年10月19日)https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20121019.pdf
【補足資料3】 表皮細胞におけるプロテアソーム活性の低下による影響
表皮細胞において、プロテアソーム活性が低下すると、メラノサイト刺激因子ADMの遺伝子発現量が増加することが確認されました(図6)。
これまでの研究により、表皮細胞のプロテアソーム活性が低下すると皮膚の乾燥につながる可能性が報告されていましたが(図1)、新たに皮膚のシミやくすみにも影響している可能性が示唆されました。