創業者の信念が社員やビジネスパートナーに受け継がれ、SUNACEを世界的メーカーへと導きました。✨
解説
SUNACEは吉田利夫の信念と挑戦からスタートした企業で、今では世界12カ国に製造拠点を持つグローバル企業に成長しました。🏭💪創業当初の困難を乗り越え、顧客のニーズに応える柔軟な経営を実現。特に、「人を大切にする」という吉田の精神が、企業の成長を支え、世界中のメンバー間で築かれた信頼関係が、その発展に寄与しています。📈✨このような姿勢が日本のビジネスマンに勇気を与えているのです!
この記事のポイント!
1. 吉田利夫による起業から始まった物語
2. 厳しい財務状況を乗り越える決断と信念
3. 海外進出を果たした小さな企業の挑戦
4. 従業員やパートナーを大切にする経営理念
5. 現在のグローバルな展開と成長
塩化ビニールの安定剤や金属石鹸の分野で世界有数のメーカーとして知られるSUNACE。彼らの歩みは、戦後の混乱のなかで東北の寒村から一人上京し、「世のため、人のために」と事業を起こした往時の起業家・吉田利夫の信念から始まった。企業存続のために敢えて海外進出を選ぶなど、強き信念と不断の努力を続けた経営者の姿勢を二代目会長や各国のビジネスパートナーが引継ぎ、言語や立場の差を超えて小さな企業を世界的メーカーにした感動のヒューマンドキュメントだ。
東北の寒村から上京した青年が起業
会社の歴史は、戦中に宮城県登米市から一人上京した吉田利夫が「世のため、人のために」という思いで事業を開始したところから始まる。目をつけたのは、塩ビ安定剤だった。塩ビは私たちの生活に不可欠なプラスチックだが、成型加工時に水素と反応し塩酸が副次的に生成され、自己分解を始めてしまう難点があった。それを防ぐための安定剤の開発を進め、金属石鹸とともに、会社を支える事業の柱となった。
「あせるべからず」で厳しい財務状況を乗り越える
彼らの前には、さまざまな厳しい国内事情が立ちはだかった。従業員数が少なく、大企業でも財閥系企業でもない集団が海外進出を決めたのは、むしろ企業存続のためだったのだ。その後厳しい財務状況に追い込まれても「いばるべからず」「あせるべからず」の覚悟を持つ吉田はシンガポールをはじめとした海外から撤退しない決断を貫いた。
創業者の孫が海外事業を拡大する
吉田の孫である佐々木亮は、大学を中退して家具職人を目指していた。しかし祖父から「シンガポールで働いてみないか」との誘いを受けて入社する。「海外旅行の経験すらなく、スーツなど着たことがなかった」という青年は、現地で走り回るうちに東南アジア市場の高い可能性を信じ、逆にマレーシア工場の建設など積極的を訴えるまでになった。やがて佐々木のもとには多国籍企業で経験を積んだ優秀な人材が集まり、彼らの的確な指南によりSUNACEの海外事業は急拡大。アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパ、南米へグローバル展開を続ける。
グローバル市場で力となった、「人」を大切にする創業者の精神
現在は世界12カ国14カ所に製造拠点を持つSUNACEが大きな発展を遂げた理由とは、顧客ニーズに応えるスタッフの力量と技術力、そして世界各地のメンバーやローカルパートナーたちと築き上げた信頼関係だ。柔軟な経営方針と意思決定のスピードに多様性を重視した組織文化といった特徴は、どこまでも、「人」を大切にすることに徹した吉田利夫の理念が世界中のSUNACEに浸透している証だ。起業が身近になったともてはやされる今だからこそ、困難な時代に信念をもって立ち上がった創始者の精神が尊い。太陽のように輝くSUNACEの姿は、日本のビジネスマンに希望と勇気を与えるはずだ。
【書籍情報】
『すべては一人から始まった』
ISBN:978-4-478-08519-6
定 価:1,600円(税別)
判 型:四六判 – 並製
発 行:ダイヤモンド・ビジネス企画
発 売:ダイヤモンド社
発刊日:2025年3月25日
【Contents】
■第1章 産業が拡大する大正から昭和の中で
■第2章 戦後日本の経済成長と共に
■第3章 世界へ ―― 大いなる決断
■第4章 グローバル企業へのバトンを次代へ
■第5章 アジアから世界へ
■第6章 100年企業をめざして
【著者プロフィール】
岡田晴彦(おかだ・はるひこ)
1959年東京生まれ。1985年株式会社流行通信入社。『X-MEN』、『流行通信homme』を担当。1995年同社退職後はフリーの編集者として雑誌・書籍の制作に参加するとともにアパレル・ブランドや一般企業の広告を制作。2000年株式会社ダイヤモンド・セールス編集企画(現・ダイヤモンド・ビジネス企画)に入社、『ダイヤモンド・セールスマネジャー』、『ダイヤモンド・ビジョナリー』編集長を経て、2007年取締役、2023年代表取締役社長に就任。
「ビジネスの現場にこそ、社会と人間の真実がある」がモットー。これまでに100冊以上のビジネス書・ビジネス誌の編集を手掛ける。著書に『絆の翼 チームだから強い、ANAのスゴさの秘密』(2007年)、『テクノアメニティ』(2012年)、『陸に上がった日立造船』(2013年)、『復活を使命にした経営者』(2013年)、『ワンカップ大関は、なぜ、トップを走り続けることができるのか?』(共著・2014年)、『サラリーマンショコラティエ』(2018年)など全15冊がある。