日本を代表するソプラノ・幸田浩子が、「日本のうた」を集めたアルバムの第3弾をリリースすることが発表された。
国内外のオペラ劇場に出演を重ね、ウィーンの名門フォルクスオーパーの専属歌手としても活躍、今年は狂言師・俳優・演出家として活躍する野村萬斎がオペラ初演出をする名作喜歌劇『こうもり』へ幸田の当たり役のアデーレで出演するほか、各地でのコンサートも多数決まっているなど、まさに名実ともに日本随一のディーヴァとして人気を博している存在だ。
9月20日に発売される「花のまち ~日本のうたⅢ~」は、継続的にセールスを重ねている不朽の名作「ふるさと 〜日本のうた〜」(2013年4月)、「このみち〜日本のうたⅡ〜」(2020年1月)にリリースされた後継作と位置付けられるもので、ファン待望の日本のうたのアルバムとなる。
今作は日本のうたを知り尽くした作曲家でありピアニストの寺嶋陸也と共に、今年生誕100周年を迎えた作曲家の中田喜直の代表する歌曲から、現代を生きる作曲家たちの歌曲まで全23曲を収録。日本人ならば誰しも耳にしたことのある「さくらさくら」や「落葉松」、「揺籃のうた」をはじめとる花々の歌と子守歌を中心に選曲された楽曲に加え、今作のために書き下ろされた寺嶋の新曲も収録されている。
聴く者の心へと直接語り掛けてくれる、幸田の言葉を大切にした歌唱が生み出す「日本のうた」は、親子三代で是非聴いてほしい。
【メッセージ】
幸田浩子さんは、オペラ「鹿鳴館」、同「おしち」そして「シンフォニーⅠⅩ」と、これまで3つの重要な拙作を歌ってくれている。日本語の歌唱に関して、作曲家として僕がいかに幸田さんを信頼しているかの証(あかし)だが、上記3作に共通して言えるのは、純な静けさと女性らしいうるおい、しなやかさというキャラクターである。決して、気負って肩肘張った女性ではない。今回リリースされるこの1枚のコンセプトと曲目は、まさに幸田さんらしさに貫かれている。加えて、やはり僕が常に瞠目を禁じ得ない我が友・寺嶋陸也君のピアノ。このCDは、多くの人々の心に真に優しく美しい心を届けるだろう。それこそ、幸田さんならではの音楽なのだ。 作曲家・池辺晋一郎
幸田さんによって選ばれた歌の花園に曲を手向けることを許されて、『蝶』をこのCDのために作りました。紫野京子さんの詩は、つねに生命と向き合っていますが、ここに咲きほこる歌のひとつひとつにも、蝶や花のように、そしてそれらよりも長く続くいのちが宿っていることを聴きとっていただけたら幸いです。 作曲家/ピアニスト・寺嶋陸也
表情豊かで、どこか子どもの純真さをも感じさせる幸田浩子さん、そして声と楽器(ピアノ)の境界線を自然に越えていくような佇まいの寺嶋陸也さん。こんな魅力のある曲だったのか…と自分で驚いてしましました。多くの方にこの素晴らしい世界をお届けできることを心から嬉しく思っています。 作曲家/ピアニスト・山中惇史
【アルバム情報】
幸田浩子「花のまち ~日本のうたⅢ~」
2023年9月20日発売 UHQCD COCQ-85614 ¥3,000+税
【収録曲】
さくら(さくらさくら)(日本古謡/寺嶋陸也・編)
さくら横ちょう(加藤周一・詩/中田喜直・曲)
たんぽぽ(三好達治・詩/中田喜直・曲)
サルビア(堀内幸枝・詩/中田喜直・曲)
わらい(金子みすゞ・詩/中田喜直・曲)
林檎の花が降りそそぐ(城 左門・詩/宅 孝二・曲)
びいでびいで(北原白秋・詩/平井康三郎・曲)
平城山(北見志保子・詩/平井康三郎・曲)
花のまち(江間章子・詩/團 伊玖磨・曲)
舟唄-片戀-(北原白秋・詩/團 伊玖磨・曲)
紫陽花(北山冬一郎・詩/團 伊玖磨・曲)
蝶(紫野京子・詩/寺嶋陸也・曲) ※新曲
挿木をする(中野重治・詩/林 光・曲)
春がすみ(まど・みちお・詩/山中惇史・曲)
落葉松(野上 彰・詩/小林秀雄・曲)
風をみたひと(C.ロゼッティ・詩/木島 始・訳詩/木下牧子・曲)
揺籠のうた(北原白秋・詩/草川 信・曲/寺嶋陸也・編)
いつもの子守歌(別役 実・詩/池辺晋一郎・曲)
ウムプリ ヤーヤー(原詩:オロッコ族伝承詩/伊福部 昭・曲)
祖母の子守うた(江間章子・詩/林 光・曲)
星の旅(谷川俊太郎・詩/寺嶋陸也・曲)
歌ごえはささやく(中村千栄子・詩/湯山 昭・曲)
あしたのうた(宮本益光・詩/加藤昌則・曲)
ソプラノ:幸田浩子 ピアノ:寺嶋陸也
【コンサート出演情報】
■広響 ディスカバリー・シリーズ 2 〜日本人の交響曲と交響曲の父〜
公演日:2023年9月21日(木) 18:45開演
会場:JMSアステールプラザ大ホール
管弦楽:広島交響楽団
指揮:下野竜也
http://hirokyo.or.jp/concert/discovery
■美しき日本のうた2023
公演日:2023年9月29日(金) 15:00開演
会場:ザ・シンフォニーホール
https://www.symphonyhall.jp/?post_type=schedule&p=33640
■クラシック音楽が世界をつなぐ〜輝く未来に向けて〜煌めくガラ・コンサート
今聴いておきたい世界の名曲集-美しい映像とともに-
公演日:2023年 10月15日(日)14:00開演
会場:富山県民会館
https://www.classic-caravan.com/p/1015-toyama.html
■全国共同制作オペラ J.シュトラウスII世 喜歌劇『こうもり』
指揮:阪哲朗、演出:野村萬斎
公演日:2023年11月19日(日)14:00開演
会場:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
公演日:2023年11月25日(土)14:00開演
会場:東京芸術劇場
公演日:2023年12月17日(日)14:00開演
会場:やまぎん県民ホール
■~歌声の響演~ 幸田浩子&Jスコラーズコンサート
公演日:2023年12月3日(日)14:00開演
会場:大井川文化会館ミュージコ
■幸田浩子ソプラノ・リサイタル
公演日:2024年1月21日(日)14:00開演
会場:川口総合文化センターリリア 音楽ホール
【プロフィール】
幸田浩子(こうだひろこ)ソプラノ
東京藝術大学首席卒業。同大学院及びオペラ研修所修了後、ボローニャ並びにウィーンに留学。数々の国際コンクールで上位入賞後、欧州の主要歌劇場へ次々とデビュー。カターニア・ベッリーニ大劇場『清教徒』エルヴィーラ、ローマ歌劇場『ホフマン物語』オランピア、シュトゥットガルト州立劇場『皇帝ティトの慈悲』セルヴィーリア等大舞台で重要な役を演じ、オペラの母国で豊かな経験を積む。2000年には名門ウィーン・フォルクスオーパーと専属契約し、『魔笛』夜の女王、『ファルスタッフ』ナンネッタ等に出演。
帰国後も、二期会『ナクソス島のアリアドネ』ツェルビネッタ、『魔笛』パミーナ、『ばらの騎士』ゾフィー、『清教徒』エルヴィーラ、『こうもり』ロザリンデ及びアデーレ、新国立劇場『ホフマン物語』オランピア、『鹿鳴館』顕子、『夜叉ヶ池』百合、『ファルスタッフ』ナンネッタ、石川県立音楽堂『おしち』題名役、びわ湖ホール『リゴレット』ジルダ等多数出演。また、幸田を”かぐや姫”役に想定して指揮者沼尻竜典氏が作曲したオペラ『竹取物語』は、2014年の初演以降も2015年2月のハノイ公演、8月びわ湖ホールでの舞台上演日本初演、2022年の再演といずれも絶賛を博した。
その他主要オーケストラとの共演や、全国各地でのリサイタルなど多彩な活動を展開。メディアへの登場も多く、NHK-FM「気ままにクラシック」で笑福亭笑瓶氏と4年間パーソナリティを務め人気を博し、BSフジの音楽&トーク番組「レシピ・アン」では5年に渡りメインMCとして出演。
第14回五島記念文化賞オペラ新人賞、第38回エクソンモービル音楽賞洋楽部門奨励賞受賞。第3代クルーズアンバサダー(クルーズ振興大使)。二期会会員