各業界の実情を赤裸々に語り合った「業界関係者座談会」も収載し、業界のリアルに迫る一冊です。
怪奇体験から垣間見える、現代社会の実像と歪み――。
その業界にいれば当たり前のように周囲の間で知られていたり、経験したりするような出来事でも、その外にいる人間には知る由もない、ときに不思議で、ときに身も毛もよだつ恐ろしい体験談が多数存在します。体験者たちが語ったエピソードの数々はどれも生々しいだけでなく、奇しくも怪奇体験を通してその業界の「いま」を映し出すのです。
例えば、登山やハイキングが以前より身近なものになったことで“映え”を求めて気軽に登るハイカーが増える一方、日本では山は古来「畏れ」の存在でした。それを知らずに山に臨むと何が起こるのか。
また、リフォーム業界では、生活様式や家族形態の変化に伴って、需要が高まり依頼件数が増えています。ですが、その依頼場所が思いもよらない土地の縁に“触れる”ことも……。
社会の変化によって、いままで見えていなかったものが「怪談」として現れることもしばしばであり、業界ごとにその怪談も多様です。
本書は、2020年からNHKで不定期に放送されている人気番組「業界怪談 中の人だけ知っている」のシリーズ1~シリーズ3から書籍化。番組の再現ドラマを参考に、体験者たちひとりひとりに徹底追加取材することで、ノンフィクション系怪談小説として細部にまでこだわって編み上げました。番組ファンの方、怪談愛好家の方やホラー好きな方、ぜひリアリティあふれる怪談小説から、体験者たちの見たもの、聞いたものを一緒に感じてみるのはいかがでしょうか。
-
推薦コメント
自分一人の人生では体験できぬ怪異、まさに「私の知らない世界」――“事故物件住みます芸人”松原タニシ
-
内容
【怪談小説】文・橘 もも
建設業界 地下からの声/おきつねさん
清掃業界 終わらなかったワックスがけ/忘れもの
美容師業界 それ私のせいかも……/髪の毛には、宿る
葬儀業界 聞こえるはずのない音/コンセキノコスナ
タクシー業界 幽霊からの配車依頼/過去からの叫び
登山業界 彼岸に現れた男/白い足袋の女
リフォーム業界 両親の愛した家/そこに、誰かいます
フードデリバリー業界 五階に棲むお婆さん/夜桜の下で
【業界関係者座談会】
建設業界編、清掃業界編、美容師業界編、葬儀業界編、タクシー業界編、登山業界編、リフォーム業界編、フードデリバリー業界編
はじめに 彼岸風呂 まえがきに代えて
おわりに 〝昭和〟の終わりとアプリ社会
-
「NetGalley」レビュー紹介
発売前にゲラを読んでくださった方の感想を一部ご紹介します。
・怪奇現象を職業できっていくという発想はありそうでなかなかない。それを書籍にまとめたのだから、面白くないはずがない。 業界の選び方もなかなかいい。これぞという業界もあるが、意外な業界もある。 テレビ番組でも書籍でも感心させられる企画はなかなかない。さすがだ。(メディア/ジャーナリスト)
・夜に読み始めたので、最初の数話は怖くて仕方なかったのだけれど、徐々に作品世界にも慣れてきて、数日で読破した。 私は見えない人だが、身近に見える人がいるので、見えなくて本当に感謝良かったと常々思っている。そんな私でも、そういえばと言うような奇妙な体験を思い出したりもした。説明出来ないような事は人間、忘れようとするみたいだ。気のせいだと思うのが一番手軽な方法だし。本書は、様々な業界の話で、みんな仕事なので、怖いと言って単純に逃げることは出来ない。タクシーにしても、山小屋にしても、話として読んでる側にいるありがたさを痛感。世の中は見えてる世界だけじゃないんだと、再確認した。(レビュアー)
・怖い話は苦手である。それなのに、惹かれてしまうのは、それが見えない世界のことだから。
この本はその見えない世界を具体的に目の前に再現してくれるという、やっぱり怖い本だった。しかし、それでもそのなかに登場してくる「そんな目にあっている」業界の人たちが、自分の仕事を通して出会うお客様(これは生きている人のほう)が喜んでくれる姿を見るのがうれしいと、口々に言っておられるのがすがすがしく、読んでいて清涼感を感じられる。
清涼感と恐怖感を交互に味わいながら読み進め、でも夜の道はやっぱり怖くなってしまうのだ。(教育関係者)
・本書の特徴を挙げれば、怖い話が業界ごとに分けられていることだろう。各業界から2つほど背筋がぞっとするような話を収録している。「登山業界」というのがあったので、最初登山は各人が趣味で行う者だろうと思ったのだが、出てきたのは山小屋などの経営者。確かに「登山業界」だ。「葬儀業界」なんかは分かるような気がするが、他にも「美容師業界」とか「フードデリバリー業界」なども入っている。要するに色々な人を相手にするような仕事が危ないということだ。私自身は「見えない人」だが、「見える人」がそういった仕事をやっていると、あちこちで変なものが見えて大変だろうなと思う。自分を「見えない人」と思っていても、もしかすると見えている中に結構この世の者ではない人たちが混じっていて、それに気が付いていないだけという可能性もある。本書を読むと、怖くなって日が落ちてからは歩くのがいやになってくるのではないだろうか。(レビュアー)
・読み始めたら止まらなくて一気に読みました。きっと私たちが知らないだけで沢山あるんだろうな……業界怪談。不可解な話であればあるほど、外には出ない。出せない。自分の仕事でも確かにある。そこを「業界怪談」という括りで集めたのは素晴らしい。業界の現状と照らし合わせて考えることができるから。不可思議な話というのは全てが説明できるものではないが、だからこそいろんな解釈ができる。そこに意味を持たせるのは生きた人間だ。1つだけ言えるのは、人間がわかっていることなんてほんの僅か。説明のつかないことを迷信、古い考えと一蹴することはできないよなと改めて思った。(メディア/ジャーナリスト)
(NetGalley会員レビューより一部抜粋)
※「NetGalley」(ネットギャリー)とは、出版社が提供する発売前の作品をデジタルデータで読めるサービスです。
-
「業界怪談 中の人だけ知っている」放送情報
NHK BSPにて2023年11月 最新シリーズ 4週連続放送予定
-
商品情報
書名:業界怪談 中の人だけ知っている
編者:NHK「業界怪談 中の人だけ知っている」制作班
発売日:2023年10月6日
定価:1,760円(税込)
仕様:四六判並製・240ページ
ISBN:978-4-14-081949-4
Amazon▼
https://www.amazon.co.jp/dp/4140819499
楽天ブックス▼
https://books.rakuten.co.jp/rb/17618028/
NHK出版商品ページ▼