『TOPPOINT』は、毎月数多く出版されるビジネス関連の新刊書の中から、「一読の価値ある本」を厳選し、その要約を紹介する月刊誌です。1987年の創刊以来、30年以上にわたって第一線のビジネスリーダーを中心に愛読され、現在1万名以上の読者の方々に購読されています。
『TOPPOINT』の定期購読者専用WEBサービス「TOPPOINTライブラリー」(https://www.toppoint.jp/library)では、最新号からバックナンバーまで、『TOPPOINT』で紹介した約2000冊の書籍の要約を掲載しています。毎年12月には年間閲覧数を集計、その年で最も多く読まれた上位10冊を選出します。このたび、「2023年最も多く閲覧された書籍Best10冊」が決定しましたので、そのラインナップを発表いたします。
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【2023年最も多く閲覧された書籍Best10冊】
1位 『MEGATHREATS(メガスレット) 世界経済を破滅させる10の巨大な脅威』ヌリエル・ルービニ 著/日経BP・日本経済新聞出版
2位 『人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法』アーサー・C・ブルックス 著/SBクリエイティブ
3位 『2040年の日本』野口悠紀雄 著/幻冬舎(幻冬舎新書)
4位 『この一冊でわかる世界経済の新常識2023』熊谷亮丸 監修、大和総研 編著/日経BP
5位 『BCGが読む経営の論点2023』ボストン コンサルティング グループ 編/日経BP
6位 『リデザイン・ワーク 新しい働き方』リンダ・グラットン 著/東洋経済新報社
7位 『解像度を上げる 曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』馬田隆明 著/英治出版
8位 『4段階で実現する 心理的安全性』ティモシー・R・クラーク 著/日経BP
9位 『半導体戦争 ――世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』クリス・ミラー 著/ダイヤモンド社
10位 『ゆるい職場 若者の不安の知られざる理由』古屋星斗 著/中央公論新社(中公新書ラクレ)
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1位は、『MEGATHREATS(メガスレット)』!
2023年、最も多く読まれた書籍は、『MEGATHREATS(メガスレット) 世界経済を破滅させる10の巨大な脅威』(ヌリエル・ルービニ 著/日経BP・日本経済新聞出版)でした。
著者は、ニューヨーク大学スターン経営大学院名誉教授のヌリエル・ルービニ氏。2007年の世界金融危機を予見した経済学者として知られる人物です。
そんなルービニ氏が、現在の世界はケタ外れの「巨大な脅威(メガスレット)」に直面していると述べ、迫りくる経済・金融危機を警告したのが本書です。過剰債務、スタグフレーション、脱グローバル化…。こうした脅威がかつてない規模で進み、広範囲に大きな損害をもたらす可能性が高いと、警鐘を鳴らします。
本書の要約が『TOPPOINT』のWEBサービスで公開されたのは2022年12月下旬。以後、1年間にわたり多くのアクセスがあり、今年、最も多く閲覧された書籍となりました。
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「将来への不安」と「新しい職場づくり」の指針となる書籍への関心が高まる
『TOPPOINT』の購読者は、約半数が経営者層、6割以上がマネジメント層です。知識欲が旺盛で、情報収集に熱心。そんなビジネスリーダー層が多く関心を寄せた書籍を見ると、「将来への不安」と「新しい職場づくり」というキーワードが浮かび上がってきます。
<将来への不安>
『人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法』(2位):中年期以降、高度なスキルを持つ人ほど成果も幸福度も落ち込むのはなぜか。その原因とキャリア再設計のヒントを説いた、人生後半の指南書。
『2040年の日本』(3位):経済学者の野口悠紀雄氏が、20年後の日本の姿を予測。経済や安全保障、医療・福祉にメタバース等々、幅広い分野について考察し、未来の変化に備えるヒントを示す。
『この一冊でわかる世界経済の新常識2023』(4位):2023年、世界の経済はどうなるのか。エコノミストたちが米国、欧州、そして日本などの先行きを多面的に解説する。
『BCGが読む経営の論点2023』(5位):物流のデジタル化、仮想空間が生む巨大市場…。2023年のビジネスの成否を分かつ、トレンドの変化を紹介する。
まず、上記のラインナップから見えてくるのは、人生や仕事の将来を憂慮する、ビジネスリーダーの姿です。
2023年は世界的な猛暑をはじめ、消費者物価の高騰、ハマス(パレスチナ)とイスラエルとの戦闘など、昨年に引き続き波乱の1年となりました。
その中にあって、経営者や管理職の方々は将来への危機感を募らせているでしょう。今後、どんなことが起こりうるのか。自社の経営はどこに向かえばよいのか ―― 。今回ランクインした書籍は、こうした問題意識の高まりを反映しているように思います。
ところで、今年は「アフターコロナ」といわれるように、5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類」へと変更されました。それ以降、オフィスに人が戻ってくるようになりました。それを反映してか、「組織・人事」に関する書籍が3冊もランクインしています。
<新しい職場づくり>
『リデザイン・ワーク 新しい働き方』(6位):未来に向けて、組織のあり方を「再設計」する。そのプロセスをベストセラー『LIFE SHIFT』の著者が詳述。
『4段階で実現する 心理的安全性』(8位):誰もが失敗を恐れず学び、挑戦する。そんな活力あるチームのつくり方を説く。
『ゆるい職場 若者の不安の知られざる理由』(10位):負荷が高くなく、上司の叱責もない。そんな「ゆるい職場」からなぜ若者が去るのか。その理由を明らかにする。
こうした書籍が読まれているところからは、コロナ禍で浸透したリモートワークの活用を含め、職場をどう変えていくべきか思案するビジネスリーダーの様子がうかがえます。
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